《異世界転生~神に気にられた彼はミリタリーで異世界に日の丸を掲げる~》第二十話 パララルカ王國殲滅戦4~王都襲撃~
No Side
アクラ率いる二萬の軍勢は順調に北進していた。今のところ南下してきているはずの日本帝國の姿は確認できない。とは言えアクラは五年前の戦いで日本帝國の強さをそのをもって知っている。故にれ替わりで斥候を出して常に敵をいち早く発見、対応出來る準備を整えていた。
しかし、兵の質は最悪でありきちんとした斥候の役目を兵士たちが出來ているかは分からなかった。加えて、彼らはこういった軍事遠征は初めての経験であり目に見えて疲労が溜まってきていた。もしこのまま戦闘になれば彼らは満足に戦う事が出來ないだろう。
「(途中の補給基地でいったん休ませる必要があるな。補給基地は無法地帯に建てられた最初で最後の砦だ。そこで休養を取れれば……)」
と、アクラは考えていたが補給基地は既に壊滅している上に彼の想像以上に日本帝國軍の進軍速度は速かった。その差は直ぐにやって來る戦いにおいて大きく影響する事となるのだった。
その時だった。遠くからブゥンと言う羽蟲の様な音が聞こえてくる。
「?何の音だ?」
アクラは馬の足を止めさせて上空を確認する。兵士たちも音に気づいたようで軽くざわめきが起こる。本來なら止めるはずの指揮クラスの兵も同じように上を見ている為ざわめきはどんどん大きくなっていく。
そして、”それ”はやってきた。細長いに左右に平べったい羽がついた空飛ぶ鉄。日本帝國の航空機である。しかし、補給基地を襲った戦闘機ではなかった。何処かスマートな印象を思い起こすそれは史実の大日本帝國が開発、運用していた艦上偵察機”彩雲”である。大日本帝國海軍に置いて最速の期待と知られており敵機から逃げきるなど偵察機として必要な能を持っていた機である。
彩雲は一機のみ、良太によって召喚されていたが専屬のパイロットはいない為、攻撃機部隊の人間から運用されている。
「て、敵だ!」
「ひぃぃっ!」
「殺される!」
「ま、待て!逃げるな!」
彩雲を見た兵士たちは大混に陥る。中には進んできた道を逆走して逃げていく兵もおりアクラは彩雲の向に気を付けながら兵の統率を行わなければならなくなった。その様子は彩雲からも見て取れ通信機を通じて赤城に、そして陸上から侵攻中の博の下へ伝えられるのだった。
Hiromi Side
パララルカ王國の兵は脆弱の様ですね。偵察に出た彩雲より送られてきた報を見て私はそう判斷しました。パララルカ王國にとっては未知の兵かもしれませんがいくら何でもたった一機で混するのは笑いを通り越して呆れてしまいます。兵士たちがある程度強くなるまで待ってあげたくなるほどです。
ですが、それを行う事は出來ません。すべては鹿島総統の為に。
「朝霞大將。彩雲からの報告から計算すると、接敵は二日後あたりになります」
「いや、敵の混合によっては敵が進軍しない可能もある。三日はかかるのではないか?」
「こちらも偵察兵は出しているが……、どちらにしろ敵が混したままなら撃退は容易だろうな」
參謀たちが話し合っていますが私もほぼ同意見のものばかりですね。こちらの利點は90式戦車のアウトレンジ攻撃に歩兵用の武裝である64式小銃などと言った兵で敵に近づかれる事なく攻撃できます。流石に人海戦を用いた一転突破を図られれば白兵戦となってしまいますが。
そこで、ふと面白い事を思いつきました。パララルカ王國の兵は二萬。いくら簡単に瓦解する程度の兵とは言えこれを撃滅しておかないと面倒な事になるのは確定しています。そうならないためにもここである程度でも減らさないといけません。そうするには正面からやり合うだけは駄目です。
「皆さん。もし接敵した場合ですが……」
私は參謀たちと共に策を練り上げます。鹿島総統より教わったものですが今こそ用いる時でしょうね。
No Side
アルバ島の東側の沿岸部をなぞるように航行していた聯合艦隊は遂に王都の目前までやってきていた。途中で偵察に出ていた彩雲を回収した聯合艦隊司令長のナオツグは雙眼鏡で王都を、正確にはその沿岸部にある港を見る。
「あらあら~。あんなに慌てちゃって~」
ナオツグが雙眼鏡には慌てて港に係留してあった戦闘用の船に乗り込み出航の準備を始めるパララルカ王國の海軍の姿があった。とは言え聯合艦隊にとってそのきはとても遅くじる上に視認できる所まで近づかれた段階で相手は詰んでいる狀況だった。
「港に停泊中の敵船に砲撃を行います。その後に王都に対して艦砲撃を敢行。敵首脳部を崩壊させます。よろしいですね艦長?」
「ああ、初めてください」
聯合艦隊旗艦である大和の艦長學人の賛をけて砲撃が行われる。暁、響の12.7cm砲や川の14cm砲、大和の46mが一斉に火を噴く。未だ出航する気配すらないパララルカ王國の軍船に次々と砲弾が突き刺さっていく。大和の砲撃した砲弾は木造の船を簡単に貫通したが暁、響、川の砲弾は途中で止ると同時に発を起こし船を部から破壊していく。
「全弾命中!」
「あら?半分くらいは外すと思っていましたが意外と當たりましたね」
「初めての砲撃ですからね。砲手たちが張り切っているのではないですか?」
「ならもっと活躍の機會を與えましょう。副砲も砲撃開始。機銃手は近づいてくる可能のある小型船に対して攻撃せよ」
「はっ!」
容赦のない聯合艦隊の砲撃はパララルカ王國で最も繫栄していた港を次々と破壊していく。軍船のみならず停泊していた船は全て沈められ、様々な積み荷が置いてあったであろう倉庫は辛うじて形だけを殘していた。
港の破壊を終えた聯合艦隊は続いて王都へと砲撃を開始した。陸上に置ける野砲の砲撃とは比べにならない大口徑の砲塔による砲撃は王都の建造を次々と破壊していき巨大なクレーターを生み出していく。砲撃の雨は最低限の迎撃が行えるだけの砲弾を殘して討ち盡くされた。一時間以上に渡り行われたこの艦砲撃により王都は瓦礫とクレーターの廃墟と化した。
パルザ2世以下王國の主要メンバーは砲撃が始まる前に第二の都市である西部沿岸部に位置する都市に逃げた為無事であったが一時的にパララルカ王國の指揮系統は壊滅するのだった。
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