やはり【魔王】は足が遅い。ただ、それはシルバーゴーレムも同じな様で作の一つ一つがかなりスローモーションである。

「これなら何とかなるんじゃないか？」

「【魔剣ブロウ】は貫通攻撃ですからね」

その時、シルバーゴーレムのき方が変わった。何やらスキルを発させる為の予備作に移っている様だ。

「リリス、何か來るぞ！距離を置け！」

「レンジくんは？！」

「おれは魔剣でけ止める！」

シルバーゴーレムは真上を見上げ狂ったかのように怒聲を雄び、森中にその振を響き渡らせた。

「っっるせぇ...!!」

その噪音そうおんに思わず３人は耳を塞ぐ。やがてその音が止むとリリスは自慢の足を生かして瞬間的にゴーレムに詰め寄った。

「あろう事かご主人様に迷をおかけするとは...!!所詮は野良のね！」

リリスはあの十八番おはこのスキルを発させようと右手をばした。

「吹っ飛びなさい！【バニッシュ・コンパルション】！」

掌から時空の歪みの波が放たれる。その波はシルバーゴーレムの腳部分にヒットする。第一波。第二波。そして....

シルバーゴーレムのは急激に熱を帯び、一つ一つの巖を赤く染めていく。まるで火の中の石炭の様に。

「？！リリスっ！離れろ！」

ドゴォォォォォォォォン.....。。轟音を鳴らした発は凄まじい砂埃と熱風を放ち、周辺の木々や俺達にまで被害が及ぶ。

吹っ飛んだのは....リリスの方であった。発をダイレクトにけた彼は一瞬にして風と共に森の奧へ姿を消した。

「あわわ...リリスさんが！！ミアはリリスさんの無事を確かめてきます！」

「頼んだ！！」

くそ、この石ころもどきめ。なかなかやってくれる。確かにき自は早いものでは無いが、スキルの発時間が極端に短い。

タイムラグが殆ど無いので避けるのはかなり難しい。

更に霧のおで視界があまり良くない。狀況は正に最悪と言った所である。

「何か...策は無いか...。」

何か閃かないかと急いでステータスを開いてみる。生憎あいにく、【魔王】の方は暫く使っていなかった為変化は...

「あれ？」

パッシブスキル【カリスマ】Lv.3【強制服従】Lv.1

アクティブスキル【従屬者召喚】Lv.2 【絶対王者の風格】Lv.1【弱強食】Lv.1

【カリスマ】と【従屬者召喚】のレベルが上がっている。どうやら以前使用した際にレベルが上がっていたようである。ま、大量に召喚したからね....。

【カリスマ】Lv.3 召喚した魔を従わせることが出來る。一部の職業を持つ冒険者を任意で魔に変化させ、従わせる事が出來る。

【従屬者召喚】Lv.2 、の一部の魔を召喚することができる。

うーん。いまいち使い道が分からないな。を召喚できるようになったのはかなりメリットだとは思う。

「【従屬者召喚】！」

目の前に魔のメニューが現れる。俺はを試しに放してみることにした。

「アウェークニングラビット10召喚！」

１０粒のは俺の目の前に一斉に現れた。の粒が１點に集まりその形をしてゆく。

「ゴガァァァァァアアア!!!!!」

両手持ち棒こんぼうを肩に擔ぐ二足歩行の筋兎は長2mを超えるだろう。

うん、迫力半端ない。

「全員シルバーゴーレムを攻撃！」

ドドドドドドドド.....！アウェークニングラビット達は地響きを鳴らして一直線へ駆け出した。その踏みつけた地面はくっきりと足跡を殘している。

「レンジくん！リリスさんを見つけました！」

アウェークニングラビットが飛び出したとほぼ同時にリリスとミアが戻って來た。

リリスは合わせる顔がないというような表で目線を落としている。

「レンジ...くん。申し訳ありません....」

「仕方ないさ。それよりもダメージはどうだ？」

「一撃でHPの7割を削られました...けないです...」

7割か。リリスは恐らくHPが0になっても復活することは無いのだろう。だから絶対に死なせる訳にはいかない。

ドゴォン!!!!とアウェークニングラビットがシルバーゴーレムを棒で毆る打撃音が次々と鳴り渡る。

が、シルバーゴーレムのHPは殆ど減らない。アウェークニングラビットはの中でもかなりSTRが高い方の魔のはずだが、やつはそれを上回るVITなのだろう。さすがはレア種と言った所か。

シルバーゴーレムは多なりとも喰らわせられた攻撃に怒ったのか、腕を振り回し自分の腕の部分を形している巖を飛ばした。

見た目の割にHPが低いアウェークニングラビットは巨大な巖に押し潰され一撃で消滅した。合計４がやられ、殘りは６となった。これはまずいな。

「アウェークニングラビット！【パワーバースト】！」

アウェークニングラビットの持つスキルの中で最高の威力を誇るスキルだ。その瞬間火力は俺のHPを軽く一撃で凌駕するものである。

両手持ち棒は青白く輝き....綺麗な円を描いて上から下へ振り下ろされた。の殘像が暗い森をし照らした。

6本中3本のスキルがヒットした。スキルの命中率自も高い訳では無いし、視界が悪い分余計に不利であった。

「HP6割も殘るのか...」

「私にリベンジさせてください！」

そう言うとリリスは走り出そうとするが俺は手を摑みその足を止めた。

「だめだ、俺がやるよ」

「ですがっ....」

「まぁ聞いてくれ。俺に考えがあるんだ」