《すばらしき竜生!》第37話 久しぶり

「――なんで俺の本名を知ってるんだテメェ!」

その言葉を聞いてロードはすぐさま竜眼を発させる。カリムのステータスを確認するためだ。

(いや、まさかそんなはずは……)

『カリム・コウルス(寺てらうち真まこと)

種族:人族

稱號:軽業師』

「お前……真、なのか?」

ロードは震えた指でカリムを指す。 シエルは聞いたことが無いロードの激しく揺した聲を聞いて何事かハラハラして二人を相互に見ている。

(なんで真が……どういう事だ? 真も死んでこの世界に來たってことか? にしても偶然すぎ………)

深い考えに陥っていたロードはそこで夢に出てきた神の言葉を思い出す。

『――君が行こうとしてる學校で再會があるでしょう』

「そういうことか……」「そういうことってどういう事だ!」

ロードは竜眼があるのでカリムの正が分かったが、逆にカリムはロードの正が分かっていない。本名を知っているという點だけで前世の知り合いと結びつかせようとしている。

ロードは自分が赤羽クロトだということを説明するには前世のことも踏まえて話さなければいけない。 そうなるとシエルとツバキの存在が邪魔になるので、シエルにはツバキを連れて自宅に戻ってもらうことにした。

シエルは渋々といったじだったが、ロードの頼みなので承諾して先に帰ってくれた。ロードの様子からして自分が関わったら余計に面倒なことになると理解してくれたようだった。 し申し訳なさがあったので後で竜王國を観しようと約束したらすぐに笑顔になってツバキを連れて出て行った。

そして教室にはロードとカリムのみとなる。これから話すのはこの世界の人にとって未知なる出來事だろう。 もし、誰かに聞かれてしまったらそれこそ面倒なことになるので教室を囲む結界を作り出して音を遮斷させる。

「そろそろ話してくれても良いんじゃねぇか?」

待ち遠しいように椅子に座って腕を組組みながら貧乏揺すりをしているカリム。 ロードも椅子をカリムの対面に來るように配置してそこに座る。これでゆっくりと話ができる。

「まず聞かせてくれ。お前は寺真。これは間違いないんだな?」「……あぁ、元だけどな」

なぜ分かっていることをもう一度聞いているのか。ロードも突然のことに揺してしまって脳の処理が追いついていなかった。

「今度はこっちの番だ。てめぇは誰だ? 俺を知っているってことは……あのメンバーの誰かだよな」

あのメンバー。それは『竜の心臓ドラゴンハート』のことだろう。メンバーというよりもロードはそこのリーダーなのだが。

「そうだ。俺は『竜の心臓ドラゴンハート』の元メンバー……メンバーなのか? まぁ、一応そうだ」「なんとも煮え切らねぇ回答だな。ここには俺とお前の2人しか居ないんだろ? 正直に話してくれよ。お前は俺と良くつるんでた疾風はやてか? それとも俺の舎弟の岡田おかだか?」

どうやらカリムにも舎弟が出來ていたらしい。思わぬ後輩の長にほっこりして親の気分が味わえる。

「……お前にも舎弟が出來たなんてな」「あ? なんだって?」「わりぃ、何でもない」

……さて、そろそろこちらも本名を明かさないとカリムに悪い。

「お前は『赤羽クロト』を知ってるか?」

カリムがそれを聞いて勢い良くロードのぐらを摑みにかかる。ロードはあえて避けない。

「兄貴がどうした! お前は兄貴の何を知っているんだ!?」「……まぁ待てって。落ち著けよバカト」「――ッ! ……そ、その……その呼び方は、まさか……」

しているカリムをいつもの口調でなだめる。

『バカト』というのは前に真がテストの結果について泣きながら助けを求めてきた時にクロトがつけたアダ名だ。 そして、真が馬鹿な事をやらかした時にクロトがいつもバカトと言ってネタにしてきた。 そして真をバカトと言っていたのはクロトだけだ。もうカリムもロードの正が分かってきたことだろう。

「俺は赤羽クロト。……久しぶりだな、真。元気そうで安心したぜ」「――兄貴!?」

ぐらを摑んでいた手を放してよろよろと後ろに下がって、まだ信じられないようにロードを凝視するカリム。

「……よし、ここは久しぶりにあれをやるか。まさか忘れてねぇだろうな?」「な、何を……」

ここはもうひと押ししなければロードがクロトだと信じてくれなさそうだったので、先程の夢もやった號令をする。

「――ここは何処だ?」「――ッ、俺達のシマだ!」

「あいつらはなんだ?」「他のシマから來た奴らだ!」「そうだ。他から來た『客』だ。だったら大切なお客様を丁寧に接待しようじゃねぇか! なぁ! ボケ真!」「――オウ!」

きちんと覚えててくれたようで嬉しかった。これで覚えてなかっらロードがただただ恥ずかしいだけだ。

「……ということで改めて久しぶりだな」「……うぅ、あ……兄貴ぃいいい! ――ブフッ!?」

カリムが極まったように抱きついてくるが、ロードにそういう趣味は無いのでビンタで飛びつきの軌道をずらす。 カリムはロードの真橫を通りすぎて、すぐに後ろからズザザザッという音が聞こえてくる。

「兄貴、酷いっす! の再會がビンタってそりぁ無いですよ!」「それを言うなら本當のの再會はお前の威嚇だけどな。いやぁ會った瞬間に怒鳴られるのは傷ついたな……主に心が」「――サーセンっしたぁ!」

戯けたようにを抑えて悲しそうにしているとカリムは綺麗な土下座を見せてくれる。昔と今でもノリが良いのは変わらないようで安心したロード。

上からニヤニヤして見ていると、だんだんとカリムのが小刻みに震えているのが分かる。もしかして本気でロードが怒っていると思ってしまったのだろうか。

「お、おい真? 大丈夫か?」「――大丈夫じゃばいべぶ」「――うおっ!?」

顔を上げたカリムの顔は鼻水をダラダラと垂らしながら號泣して凄い顔になっていた。 心配して屈んで間近で見たロードはそんなカリムの顔に素で驚いてしまう。

「……俺……兄貴が――ヒグッ、心配で………うぁああぁあん」

これが男泣きってやつかと他人事に思えてしまう。

〜三分後〜

マジ泣きがやっと終わって今は真がどのようにこの世界に來たのかを聞いている。

ちなみに真とカリム、どちらの呼び方がいいのか聞いてみたら「カリムでお願いします!」とのことだった。 こちらのほうが後で誤魔化しやすいのでロードとしてもありがたかった。

どうやらクロトが死んだ後、驚いたことに馬鹿で有名だった真がクロトの後を継いだようで、ロードは更に真の長にホロリと來てしまう。

そして素行が悪いなりにもなんとか高校を卒業。ちゃんとした會社にもって彼も出來たらしい。 何故かちゃっかりリア充していたのでとりあえず憂さ晴らしに毆った。これが理不盡大魔王のロードである。

そして彼と旅行に行くことが決まり、その日に飛行機に乗っていたところエンジントラブルで飛行機が墜落。飛行機に乗っていた全員が死んだ。 普通に凄慘な事故に両手を合わせて南無南無しているロード。……一応気を使えるのが理不盡大魔王の良いところだ。

「それじゃあ彼さんとは……」「あ、それは大丈夫っす!」「……チッ……」

どうやらロードが出會った神と真が出會った神は同じらしく、真が土下座して同じところで生まれ変わらせてくださいとお願いしたら。簡単に許可を取れたらしい。

ということで現在、カリムと彼さんは仲睦まじく同居しているらしい。

「死ね」「……なんとも直球っすね。兄貴もシエラさんと同居してるじゃないですか。俺の彼も十分可いですけどシエラさんは反則ですって。なんですかあの超絶は、どこであんな國寶と出會ったんですか?」

やっぱりシエルは超絶に見えるらしい。ロードとしてもシエルはとても可い……なのだが外側が良くても側やわらか殘念すぎてプラスマイナスゼロになっている。

「別にシエルと同居しているからってそんな深い理由は無いぞ?」「稱で呼んでるじゃないですか」「あれはシエルがそう呼ばなきゃ無視しやがるから」

(完全に好かれてるじゃないですか。……まさか兄貴が唐変木だったとは驚きだわ)

これは自分が何を言っても無駄だと思い、唐変木ロードをそっとしておく。 というよりもお互いをあんなに信頼しあっているのは夫婦の仲でも數ないのだが、それを気づいていない時點でどうしょうもないと思う。

「そろそろ兄貴の話も聞かせてくださいよ。俺も気になるっす」「……あぁそうだな。死んだ後のことだが………」

ロードは死んでから神と出會って強くてタフな種族にしてくれと頼んだこと。そしたら竜族に、しかも最強と恐れられている黒竜種に生まれ変わったことを話したところでストップが掛けられる。 どうやらいきなりの展開すぎて々お馬鹿なカリムには整理が追いつけていないようだ。

「どうりで七天竜に詳しいわけだ。しかもその強さ……納得できました」「そりゃあ俺が七天竜なんだからな。しかも黒竜種だしな、いつの間にか強くなってたぜ」「さすが兄貴っすね!」

なんとも強引な納得の仕方だったように思えるが、そこが真らしい。 だが、これでロードの異常な強さ、黒竜の鱗を大量に持っている理由、七天竜に詳しい理由が分かったようだった。

そして黒竜種が帝國軍に襲われてロード以外は死に、父親と母親は行方不明ということも話した。 そして、行く宛もないまま彷徨っていたらシエルと出會い、行を共にしているうちにここまで來たことまで話す。

「帝國軍が異常なまでに戦力をばしてるのは耳にってましたが、まさかここまでとは」

なんかギルドマスターと同じようなことを言っている。 カリムも神からロードがこの世界にいると聞いて報を集めるのに必死になっていくうちに報屋として有名になったらしく、々な報がってきているらしい。

ちなみにギルドマスターとも認識があり、よく換をしているようだ。だから考えが同じなのかと納得する。

「まぁ、それはどうでもいいんだよ。あちらさんも俺達を追っているらしいから後で潰す」「徹底抗戦ってわけですか……その時は俺も使ってください!」「……その時はな。多分、俺だけで終わるだろうけど……」「……まさかの出番無しっすか」

その後もロード達は様々な話に盛り上がった。 この世界で驚いたことや初めて魔と戦った時の興した覚。挙句には前世での思い出話に切り替わっていた。

話は思ったよりも長く続いてしまい、いつの間にか外が夜になっていたので學院を出てロード宅まで歩いている時も話は続いていた。 それほど二人は互いに出會ったことが嬉しく、今まで話ができなかった分の埋め合わせをしていた。

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