《すばらしき竜生!》第45話 魔剣祭開催

魔剣祭開催初日。

それは竜王國にとって大きなイベントとなり他國では闘技會と同じくらいに有名となっている。 そのため朝から花火の音が所々から鳴り響いており、ぐっすり寢ていたロードはうるさすぎて強制的に起こされた。そのせいで機嫌が悪く、仏頂面で學院に登校した。

「今年も無事に魔剣祭を開催出來たことに謝をしつつ、生徒諸君には各々の持てる最大の力を出しきってしいと思います。更に今回の各ブロックの上位者には闘技會への參加権を獲得出來るので、魔剣祭だけではなく、さらなる限界を高めていってしいと…………」

そして、このような學院長の馬鹿みたいに長い話が相まってロードの機嫌は下がるところまで下がっている。元々ロードは人の話を聞くようなタイプではないので學院長の話の容なんかは一切ってきていないのだが、他のことをするのも出來ないので大人しくするしかない。

他の生徒は真面目に聞いている者が大半だったが、中にはロードのように飽きている者もちらほら見けられる。會場は闘技場のような場所でやっているので観客も當然いる。しかも、かなりの人數が見に來ており、席はほとんど埋め盡くされている。 観客は學院長の話はあまり聞いておらず、各々が自由に會話をしているのでロードも出來るならそっち側に移したかった。

あまりにも暇なので隣に立っているシエルに竜族が使う念話で話しかけようと思い、チラリと見たら驚くことに立ちながら寢ていた。それを見たロードは早々にこいつはダメだと切り捨てる。

「ちょいちょい、そこの見るからに暇そうなロードさんや」

橫腹を軽く突いて小聲で話しかけてくるのはツバキだ。最初は違うところにいたはずなのだが、どうやら同じく暇でロードとシエルがいることろまでコソコソと來たらしい。

「あらぁ、シエルは寢てしまったか……立ちながらとはこれまた用やなぁ」

未だに気持ち良さそうに立ち寢しているシエルの頬を面白そうにツンツンしながら笑っている。やられているシエルは小さい寢言で「うへへっ、モチモチプリンケーキアラモードぉ……」と言っている。何の夢を見てどういった得のしれないを食べているのか知らないが、その顔は大好を食べている時のように幸せそうなのでれないようにしておいたほうが良いだろうと思い、ロードは話の話題を変える。

「ツバキ。カリムはどうした? お前と近いところに立っていたはずだが」

「ん? カリムか? あやつは街中でぶらぶら買い食いでもしとるよ」

さも當然のように言うツバキ。この場には大人數の生徒が居て、教員も後ろで待機しているというのに一切の騒ぎも起こさずに抜け出したと言う。 ちなみに出口は教員達の後ろの扉しか無いので高確率で教員に見つかってしまう。他に抜け出せるとしたら天井が空いているので飛んでいくしか方法は無いのだが、それはロードにしか出來ないだろう。

「あやつは人の目を誤魔化すのにしばかり秀でてるのでな、このくらいのことは朝飯前だと言っておったわ」

「人の目を誤魔化す……気配を遮斷するってことか?」

「ふむ、詳しくは知らぬが近いのではないか?」

ロードが思い浮かべているのは仮面の男について。

(あれもカリムに近い能力を得意としてる。……まさか、カリムが仮面野郎…………それはないよな。だとしたらなんで俺を憎んでいる? あいつの格上、本當に面倒だから抜け出したと考えたほうが正解だろう)

ただ、秀でた能力が同じだとしたらもちろんそれの弱點も知っているはず。もしかしたらカリムに何か手伝ってもらう時もあるかもしれない。あいつなら昔の時みたいに力になってくれるとロードは信じている。

「くふっ、ロードったらぁ……しょんなところじゃなくてもっと……ってイヤン。何を言わせるのよお馬鹿しゃん…………」

「馬鹿はてめぇだろうが……」

本當に何の夢を見ているのか。とにかく馬鹿な夢を見ているのは確か。寢ているのか、それとも起きててわざと言っているのか分からないシエルを睨みつける。 この場に大勢の人が居なければ間違いなくシエルの脳天に飛んでいたであろう拳は小刻みに震えている。

「――――それでは、ここに魔剣祭の開催を宣言する!」

そうこうしているうちに長ったらしい挨拶を終えて開催宣言する學院長。観客は待ちに待った開催に轟くような歓聲を上げ、生徒もそれに刺激されたのか拳を挙げて吠える。

「この歓聲を聞いてカリムも戻ってくるだろうな。俺達の出番はまだまだ先だしどうするか」

ロード達の出番はお晝過ぎ。 今から三時間も空いているので観戦しようにもどうせつまらない戦いしかない。それは生徒からしたら頑張っての結果なのだが、桁外れの戦闘力を持っているロードからしたらただの遊びにしか見えない。

「そうやなぁ、カリムを見つけて一緒に街を周るというのも面白いかもなぁ……ロードはどうせすぐに見つけられるんやろ?」

「當然。――ってことでさっさと起きろ」

「ほえ? ん、んん……終わったの?」

まだぐっすり寢ているシエルの頬をしばらくペシペシしていると、ようやく起きてばしている。あの轟く歓聲で起きないとは流石はシエルアホといったところか。

「俺達の出番まで暇だから街をぶらぶらしようかという話になった。とりあえずはカリムと合流だ」

「あーね、學生程度の戦いはお遊戯にしか思えないしね。私もさんせーぃ」

(まだ周りには學生居るってのに堂々と言い放ちやがって)

案の定、シエルの発言に苛ついてこちらを睨んでくる生徒が何人かいたが、発言したのがシエルだと分かって何も文句は言えなくなっていた。 それも當然のこと。生徒のエースである雑魚君ピクルスとの模擬試合でのことは生徒達の間で相當噂になっている。そりゃあ自分達の戦いはお遊戯だよな、と納得出來るほどの実力を持っているのを生徒は知っている。

「……じゃあ行くか」

カリムの捜索はすぐに終わった。ロードの竜眼を使わずとも街中の屋臺で買い食いしていたのを普通に見つけてしまった。しかも、存分に楽しんでたらしく屋臺の食べを袋に詰めていた。

「ふぉふ、ふへふぁふなあわらひふぉふぁほってくへればひひのに」

通訳『もう、抜け出すなら私もってくれれば良いのに』

「もぐもぐしながら喋るな」

その食べの半分はシエルによって食べられていた。カリムも兄貴分であるロードの仲間ということで斷るにも斷れなかったのでなくなくシエルにあげていた。 流石に可哀想に思えてきたロードはカリムが気づかない速度でポケットに金貨一枚をれておいた。

「カリム。この馬鹿に何でも付き合う必要は無いからな?」

「いえ、姉あねさんにならいくらあげても大丈夫です。兄貴も何か気になるがあったら言ってくだされば、俺が買います」

「流石にそこまでやらんでいい。確実に俺のほうが金も持ってるだろうし、たまには後輩に奢らせてくれ」

「兄貴……一生付いていきます!!」

「お、おう。ありがとう」

ロードが言った何気ない言葉に涙を流してするカリム。本人は素っ気無く言ったじなので予想外の反応にし戸ったが、元の世界でもこんなじだったなと思い出して懐かしくなる。

「ねぇロード! あそこに面白そうな屋臺ある! 行きたい!」

「おう、それじゃあ行くか。カリムとツバキもそれでいいか?」

カリムと合流してからずっとシエルに付き合わされているばかりなので、他の二人は飽きているかもしれない。そう思ったロードは一応確認を取っておく。

「妾は構わないぞ。むしろ、はしゃいでるシエルを見るのが面白い」

「俺も全然問題ないです。兄貴も気にせず楽しんでください」

「……ありがとう二人共」

こうして、四人は初戦の時間ギリギリまで街中を探索し、存分に祭り気分を満喫した。

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