《魔法の世界でプログラム》火消し作業
「はぁどういうことだよ・・・ですか?」「すまん。気が回らなかった。」
「いえ、すみません。篠原さんが悪いわけじゃないのは解っています。事説明をお願いします。」
いつもの店員のの子がお茶とお絞りを持ってきてくれた。(ナベさんって・・・あんな冷たい目つきをするのですね。)(あぁ仕事の話をしていると、時々な)
「はぁ・・・あぁ、會社の副社長は知っているよな?」「えぇどっちもよく知っていますよ。」「そうだな。」「それで、"ろくでもない"方ですか?」「あぁ息子の方だ。」
真辺の會社は、中堅どころのシステム會社だ。今の副社長の親が立ち上げた會社だ。今の社長は、そのときの右腕だった人がやっている。溫和な人で人もあるが経営者の視點もしっかり持っている。真辺の様な売上に直接貢獻しない部署でも必要をじて維持している。副社長は二人いて、一人は立ち上げ時に社した人間で現場の事をよく知っているし、業界にも顔が聞く。営業のトップをやっている。問題は、もう一人の副社長だ。先代の息子で、當初は大手電話會社系SIerに勤めていたが、先代がなくなってから、會社を継ぐと言い出して、戻ってきた。株主や役員の猛反対にあって、社長にはならなかったが、先代社長の伝手やSIerの伝手を期待して、副社長の地位にとどまっている。仕事は、できる方の副社長にすこし劣る位だから問題はない。重要な案件に関わらないようにさせておけばいい。この副社長の問題は、人格面にある。協力會社を子會社扱いしたり、リベートを要求したり、セクハラまがいな事を平気で行ったりしている。ちなみに、前回の案件で原因を作った、優秀な営業口の軽い愚か者は、この副社長が優秀だからと元の會社から引き抜いてきた者だ。そんなクズだが、數名の役員や株主を抱き込んでいるので、処斷する事が難しい。切ってしまってもいいが、その時に、抱き込まれた役員や株主がどうくのか解らないためだ。
「は・・・それで、なんで、白鳥は、馬鹿にアタックしたのですか?」「あぁ白鳥が副社長の元の會社の上司だったようだ。」「・・・終わったな。事は解りました。斷れなくなったって事ですね?」「すまん。ナベに連絡した後で、副社長から連絡があって、『白鳥さんの所の仕事、ける事にしたから、潰さないでいる赤字部署がすこしは稼いでくれるのなら、営業も嬉しいだろう』だってさ」「篠原さん。解りました。うちの部署は5月で解散って事でいいですか?」「待て、早まるな。」「だって、赤字を垂れ流す部署ならない方がいいでしょ。」「だから、待て。お前の部署が必要なのは、副社長以外みんなが理解している。赤字を垂れ流しているなんて思ってない。だから、早まるなよ。」「はやまりませんよ。部下たちの再就職が終わるまでは、機の中にっている”辭表”は出しませんから安心してください。」「だから、待てっよ。」「・・・はぁそれで、篠原さんとして、私に提供出來る、妥協點はどの辺りに有るのですか?」
「それを今からナベと話がしたい。」「・・・解りました。ようするに、るようにれって事ですね。」「・・・すまん。」
晝飯を食べてから會社に戻って、會議室にった。そこで妥協點を探す事にした。
まずは、札に関わらせる事。これは絶対條件だ。決定権をよこせと言ってもいいかもしれない。その他の妥協點を列挙していく。一人あたりの平均単価は、160/月として殘業清算ありとし、現場常駐はしない。月末締め翌10日払い。ようするに、『言い値』を払えという事だ納品は作業報告書のみ。毎週の定例ミーティングの開催と必ず白鳥氏/片桐氏の出席を行う事。出席出來ない場合は、白鳥氏の上司に當る人が出席する事。開発人員は、SIerが手配する事。行う業務は、プロマネとQA対応 及び 各社調整。試験の確認及び導サポート。契約は3ヶ月とし、延長は雙方話し合いで決める。
これでは向こうがGOを踏むとは思えない。そんな條件だ。なんか文句言ってきても、これでなければけられないと突っぱねる事が出來る狀態には持っていきたい。副社長は、社長に言って止めてもらうしかない。
「わかった。これで渉してみる。」「たのみます。俺は、明日から実家の街に帰りますから、1週間は連絡が出來ないと思って下さい。」「攜帯も、か?」「えぇ田舎ですからね。つながっても電波の狀況が悪いでしょうからね。」「・・・わかった、社長や白鳥氏には、そう説明しておく。」「頼みます。」
「ナベの所からは、何人くらい出す?」「そうですね。俺れて、4人って所でしょうかね?待機させておかないと不味そうな雰囲気が有りますからね。」「悪いな。ナベ以外の3名は?」「醫療関係だからな・・・石川と小林と井上かな、余裕があったら、山本を出すかな。ネットワーク関連でもめそうだから・・・・な。」「わかった、それじゃナベれて4~5名って話をする。予算で決めると言っておく。」「頼んます」
會議室を出て、家に帰宅した。駐車場代金が2,000円と高く著いたのが地味に苛ついた。
真辺には帰る実家がない。実際には、田舎はあるが、帰っても、遠い親戚がいるだけだ。両親はすでに他界している。両の父親も母親も早くに亡くなっている。妹が居たが、子供の時に他界している。ようするに、本當に天涯孤獨のなのだ。
家に著いてから、ホテルの予約をれる。いつものスパが空いていたので、そこに連泊する事にした。真辺の実家まで、東名高速を使って2~3時間。SAやPAに寄りながら帰るのが好きなのだ。ガソリンを満タンにして、首都高から東名高速にっていく。一応、いつも持ち歩いているノートパソコンとタブレットは持っていく。著替えなどは、旅先で買えばいいと、思っている。
両親や妹が眠る墓がある寺に連絡をれておく。急に訪れてもいいが、寺の住職が中學の時の後輩で良くしてくれているのは知っている。土産を持って訪れる事にする。ついでに、同級生何人かとも會うつもりで居た。
その後は、スパで墮落した生活を送る事に決めている。好きな時に溫泉にって、好きなだけ寢て過ごす。気が向いたら、釣にでも行けばいい程度に思っている。
墮落する前に、石川と小林と井上と山本の予定を確認する。二週間後には會社で揃う事を確認して、部で使うMLにて連絡しておく。質問は、篠原営業部長にするようにと付け足しておく。これだけで、火付け案件だと認識するはずだ。資料の場所を明記して、最後に『注確度:80%(副社長案件)』と書いて送った。
返事はMLでなく、LiNEで來た。名前が上がった人間たちは、『了解』と短く答えて、それ以外の人間は『ご愁傷様です』や『応援しています』と他人事な返事が続く。4人は必須でそれ以外は任意とする會議予定をれる。勿論、篠原営業部長にもご出席をお願いしてある。
さぁ何も考えないで済む時間を堪能する為に、車のハンドルを握って、エンジンに火をれる。
二週間後に、會議室に関係者が揃った、関係者が揃っている事が確認され、篠原営業部長から、正式注された旨が発表された。単価以外の全ての條件を飲んだということだ。平均単価自はOKで、殘業時間の清算をするのなら、常駐して作業をしろという事だった。殘業時間の清算をなくして、常駐もなくした。その代わり、現地作業時の殘業清算を約束させた。まぁそのくらいの徐歩はしょうがない事だろう。
6月初めから作業が始めると決まった。
札の最終プレゼンが今週あるというので、真辺と篠原はそれに參加する事になっている。
ここですでに誤差が生じ始める。札プレゼンといいながら、出來レースなのがミエミエなのだ。SIerの関連會社や、白鳥が屬していた會社の関連會社しか殘されていない。そして、対抗となるべき札會社も準備不足で數合わせに連れてこさせられた狀態だ。
(やられた・・・。)
バラバラなシステムになる。まぁ開発案件は発生しないから、まぁ勝手に苦しめばいいと投げやりな狀態になってしまっていた。
導するパッケージも決まり、ここのパッケージはそれぞれ、顧客に対して確認をする事になる。全システムの運営母は、SIerがけ持つ事になる。それは、最初から決まっていた事で、これが仕事として”おいしい”のだ。
それぞれのパッケージの仕様を確認する作業が始まる。作業としては、それほど重いものではなかった。
それぞれのパッケージの改修は、7月末に終わるとスケジュールが出された。安全を見て、8月中から2週間の確認期間を置くことになった。
7月はじめから、データの相互運営の為の話し合いが始まる。そこが一つの山だと思っていた。やはりというか、導する為のハードウェアとネットワークでめ始める。最初から解っていた事で再三注意喚起していたが、関連會社はそれぞれが自分の所では、改修で時間がない事を理由に他が合わせるべきだと言い爭いになっている。真辺達は、SIerに調停をお願いしていたが、都度擔當者が変わって、結局7月末までに調整が出來ないままテストに突する事になった。
ここでまた、大きな問題が発生した。テスト人員が足りない事が発覚した。実際には、足りているのだ。8月中は、俗に言うお盆の時期と重なる。SIerの関連會社や大手だと、福利厚生というありがたい言葉で、社員が強制的に休まされる事がある。その分、どこかが作業をしなければならない。白鳥は、片桐の所に依頼をだしたが、片桐の所は人手が居るわけではない。それにすぐに集めて、1週間位でバラす様なチームが急遽作れるわけではない。
白鳥は、また副社長に連絡をした。副社長は、なんの相談もなくける事を約束した。そして、真辺の所の人間が社に居る事を聞いて、それを使う事を言い出した。理由付はいくらでも出來る。1週間という約束で部下を現場に出す事にした。真辺が鍛え上げた部隊だけあって、現場での作業はスムーズにすすむ。テストも予定の7割程度消化する事が出來た。しかし、負荷テストを行っている時に、データが壊れたり、異常終了したり、遅延が発生したりする現象が出始めた。休み明けに戻ってきたパッケージの開発會社に聞くと、”仕様です”という返事が來た。”仕様”では済まされない問題である事は間違いない。そうすると、環境依存なので、弊社で再現しないので、修正出來ません。と、話がすり替わった。これも火を噴く現場でよく発生する現象だ。
データ項目の見直しをしていた部下が本的な問題を発見してしまった。データ連攜が出來ているはずのデータが全く出來ていない事が発覚したのだ。それだけではなく、パッケージだからある程度はしょうがないにしても、言葉の統一はしなければならない。元々の要件でもっていた部分も出來ていない。パッケージ単で見ているときには、細かい問題は見けられたが、全的にOKだったが、本番環境での連攜テストをし始めた途端に問題が発生し始めた。また、連攜部分に関しても、真辺達が指定した方法ではなく、自分たちが出來る方法で行っている事も発覚して、このままだと、OSや接続の為のライセンスが想定を越えてしまう。また、扱うデータの為にセキュリティにも十分注意する必要があったが、自社パッケージでは守られているが、接続部分で洩の危険がある方法になっていたりした。
これらの問題が発覚してから、真辺達チームが現場に出る事になった。容や、時間を考慮すれば、契約破棄しても良かったが、副社長がをだして、子飼いの役員がまとめる部署に『パッケージや基盤の修正』という案件を注させていたのだ。真辺達は、巻き込まれる形でズルズルと火消しを行う事になってしまったのだ
6月から始まった業務も気がついてみれば、8月末になっている。あと二ヶ月で施設がオープンになる。実際に、TVCMも打っているようだし、看板項目も見かける。従業員も多數雇いれているし、居者説明會は毎回満員だという話だ。
振り出しに戻せない狀況で、個々のパッケージは完されているだから、従業員への説明が出來てしまう。実は、この出來てしまったのが問題だったのだ。出來なければ、”最初は手書き”でお願いします。という事が出來た。中途半端な狀態で使えてしまっている為に、完全に後に引けない狀況になっている。パッケージを提供している會社は、自分の所の仕事は終わったとばかりに撤退を決め込んでいる。接続部分に関しては、相手の作業だと言って譲らない。
そして、悪い事に、”篠原営業部長”が倒れたのだ。真辺の味方が居なくなった瞬間だった。
白鳥が、副社長に話を持っていって、今後の運営を餌に接続部分全部の注に功したと、偉そうに社で発表した時には、真辺は目の前が真っ暗になって、社長室に辭表を持って毆り込んだ。だが、理される事はなかった。部下たちの事もある、中途半端に仕事を投げ出すのも分ではない。社長に説得されて、この仕事が終わるまでは付き合うと約束した。運営が起に乗るまで付き合う事になった。
涼しい時期から始まって、暑い季節を過ごし、9月の中頃。システムのカットオーバが見え始めて、安堵の聲が聞こえ始めた。最終テストと従業員への教育を擔當していた人間から、弾発言が落とされた。
大きな、大きな、問題が複數発覚する。
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