《魔法の世界でプログラム》出會い
散々な事を言われた記憶はあるが、概ね。俺の魔法については理解してくれた。
最後にギルが言った一言が全てだったような気がする。『まぁアルだからしょうがないか。』だ。なんとなく釈然としないが、それでも、俺の事を認めてくれた事には違いない。その上で、イーヴォさんやフォイルゲン辺境伯が、噂話として俺の事を流してくれる事になった。加護が多い事や、大きな蛇(結局、龍の事は理解してもらえなかった)の魔法を使う事が出來る。そんな本當か噓か解らない噂を流して、王家に保護されている事にしてもらった。あくまで、保護されているのは、”アルノルト・フォン・ライムバッハ”だけだ。冒険者登録も、”ライムバッハ”から、”マナベ”に変更され、ラウラとカウラに渡そうと思っていたポイントも俺がもらう事になった。これで、俺のランクは10に上がる事になった。9も見えてくると言ってくれた。
文が用意している書類が出來るのが、3日後だという事なので、それまで寮で過ごす事になった。皆は昨日の段階で準備を終えて、ライムバッハ領に向かっている。エヴァとエヴァの母親からの依頼で、教會に居る孤児達も連れて行く事になった。ライムバッハ家は健全な領地運営をしているので、人手が足りない事もないが、余っても居ない。その為に、新しい事をやろうとした時に、人手が足りなくなってしまう。ギルはひとまず、シュロート商會から委託される形で、ボードゲームの作を行うと言っていた。そのうち、現代日本の知識と多種多様な業務知識から役立ちそうな事を教えてみる事にする。しでも領地運営が楽に出來る方がいいだろう。
後は、いつまでも起きないでいる、ユリアンネとラウラとカウラをどうするかだ。眠るのなら、ライムバッハがいいだろう。本來なら、ユリウス達に頼んで、父や母と一緒に移してもらおうかと思ったが、俺の我儘で3人は俺と一緒に行く事にしてもらった。
今日、王城からの呼び出しがかかった。文達がまとめ終わったのだろう。明日の晝に、け取りに來るように言われた。
翌日に備えて、今日は早く寢る事にした。ユリアンネ達に、魔法を重ねがけした同じ加護の魔法だと重ねがけは出來るが、ちがう加護の魔法の場合には、範囲や効果をしっかりと調整しないと、魔法が崩れてしまう。
朝起きて、同じように魔法をかけておく。今日は、何時に返ってこられるかわからないからだ。同じ制で同じドレスで眠る3人に見送られながら・・・。部屋を出た。最近通っている。食堂でいつもの様に朝食を注文した。
時間まで、街を散策して過ごす事にした。鍛冶屋に刀のメンテナンスを頼んだらやんわりと斷られた。しょうがないので、ドワーフが居る工房を紹介して貰った。この刀はドワーフ以外にはメンテナンスできないようだ。なんと面倒な・・・と、思ったが、しょうがない。刀になってしまっているし、加護も強くついている。手間だけど、これと付き合っていこうと決めた。脇差しと両方のメンテナンスで、大銀貨8枚取られた。今度、ディアナに教えてもらって、自分でも出來るようになろうと考えた瞬間だった。
時間になり王城に向かった。何度か來ているので、要領はわかっている。待ち合わせの人と場所を告げる事で、哨戒してもらって、問題がなければ、相手が迎えに來てくれる仕組みだ。ちょっとセキュリティ意識がある企業なんかで取られている方法だ。ただ、付が人のお姉さんではなく、いかつい警備兵なのは、深夜帯にビルの裏口からる時を思い出してしまった。
10分位待っていると、警備兵が來た。”迎えが來たかな”と、思ったが、自分についてきてしいと言われた。初めての事で戸ったが、悪いようにはならないだろうと思い。警備兵の後に続いた。どんどん、行った事がない報告に進んでいる。なんとなく、嫌な予がし始めて、戻りますといいかけた時に、「アルノルト・フォン・ライムバッハ殿。この中におりください。」
遅かった。通常の打ち合わせのつもりで居たら、違う部署に案された気分だ。そんな事が出來るのは、ある程度以上に報に優れていて、ある程度以上権力がある人間だ。逆らってはダメなパターンの人が多い。無理難題を言ってくる、こちらを値踏みする事で真価を図ろうとする面倒な人が多い。
さて、どういった人が出てくるか・・・。できれば、殘りの辺境伯とか、ヘーゲルヒとかじゃないことを祈ろう。できれば、俺に興味がある程度の人間の方が嬉しい。
扉を開けて、中にると、あぁダメかも知れない。學校の闘技場と同じくらいの広さを持つ場所の様だ、雰囲気でわかる。ここをまっすぐ歩いていけば、闘技場に出るのだろう。控室のような部屋があるが、そちらでは無いだろう。まっすぐに歩いた。頭が痛くなってきた。やはり闘技場だ。王城の中にと闘技場と思ったが、守備隊や兵も居るだろう。訓練用の施設だろう。そもそも、おかしいと思ったのだよな。付から連れ出される時に、武裝を解除されなかったからな。はぁ値踏みする程度の人だと嬉しい。
り口付近で佇んでいると、中央にある人影から聲が聞こえた「貴殿が、アルノルト・フォン・ライムバッハであるか?ここまで來なさい。」「はぁ」
やる気の無い聲になってしまったが、実際に気分も悪いし、やる気なんてない。しょうがないから従いますという雰囲気を出しながら、中央まで歩いた。
一人の男が立っていた。完全武裝した重戦士と言ってもいいような面持ちだ。
「貴殿が、アルノルト・フォン・ライムバッハであるか?」「はい。そうですが、貴方様は?私は、今日、ライムバッハ家に関する資料がまとまったとお聞きして來ています。早く資料をけ取って、ライムバッハ領に向かいたいと思っております。」
こちらの立ち位置と思を先に全部ぶつける。この手のタイプにはそれが有効に働く。そうしないと、なし崩し的に仕事を割り振られる事になる。
「吾輩は、ヴィリバルト・フォン・ロットナー。お主の父。エルマールの友である。」「父上の?」「そうだ。お主とも子供頃だが會っている。」「え?そうでしたか?申し訳ありません。」「いや、大丈夫だ。子供と言っても、2歳か3歳の時の事など覚えていないだろう。」「・・・・クマおじさん?」「なんと、覚えておったか・・・。吾輩の事を見て、泣き出してから、アトリアに出りを止されてしまって、な。そのうち、王城の守備隊の隊長へと推挙があって、ライムバッハ領を離れてしまっていた。」「そうだったのですか。」「すまなかった。アルノルト。吾輩がついていれば・・・。」「それはいいのです。ロットナー様。」「そうか、今日、著てもらったのは、二つ。いや、3つだな。」「え?ロットナー様が私を呼んだのですか?」「そうだ。まず、一つ目。これは報告という事になるが、ライムバッハ家を襲ったリーヌス・フォン・ルットマンの聴取が終わった。死刑が確定しているが、族であり被害者であるお主の希を聞く事になった。なにかあるか?かなりの事まで出來るぞ」
「そうですか、全部話したのですか?」「それは、調書を読んでしい。吾輩が話す事はできない。」「解りました。先に、殘り二つを聞きます。」
「そうなのか?二つ目は、その調書を含めた報告書が出來上がっている。今日持っていく事も出來るが、量がかなりある。重いので、屆ける事も出來るがどうする?」「持って帰ります。重さは大丈夫です。」
「三つ目が一番大事な事だ。吾輩と立ち會ってもらおう。」
あぁやはりな。この人は脳筋なのだろう
「理由をおきかせいただいてよろしいですか?」「理由など、お主は強い。吾輩は強い者と戦いたい。それだけだ。大丈夫。」「はぁ解りました。これで最後にしてください。」「そうだな。お主が勝ったら最後にしてやろう。」
絶対。これ最後にならないやつだよね。勝てば、これから顔合わせる度に、何度も、何度も挑まれる、負けたら負けたで鍛えてやるとかいい出すに決まっている。さて、どうするか?
「解りました。それでは、立ち會いましょう。でも、二人だけではどちらが勝ったと判斷できません。誰か、立會が居ないとり立たないと思います。」「大丈夫だ。もうすぐ來られる。」「來られる?」
あぁダメなパターンだ。陛下じゃなかっただけマシと考えるべきなのだろうか?
皇太子が出てきてしまった。第一皇太子。ユリウスの父親だ。本命はこっちだったのか・・・。
「皇太子様が立會人でありますか?」「そうだが、私では不服か?」「滅相もありません。」「そうか、ならよい。ロットナー。アルノルト殿の実力がどの程度か、ユリウスが言うほどの者か確認せよ」「はっ」
あぁやっぱり、そういう事なのだろう。勝てないまでも、いい勝負をする必要はありそうだ。
「お互いに準備はよいか?」「はい」「問題なし」「それでは、お互いに開始位置に著け。致命傷。或いは、致死の魔法の使用はじる。あくまで、演習だという事を忘れるな。5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・はじめ!」
刀をいで、橫に逃げる。何か仕掛けてきそうだった。案の定、俺が居た所に、重戦車よろしく突っ込んできた”思考加速””風龍。雷龍。我を補佐せよ””氷龍。刀を補助せよ””炎龍。脇差しを補助せよ”
準備は整った。世界がスローモーションでき出す。また、盾を前面に出して、シールドバニッシュだろうか、重を乗せて攻撃してくる。盾をかわして、足に一太刀浴びせるが、弾かれる。”氷龍。炎龍。散””土龍。我と刀を補助せよ”
次も同じ攻撃だ。今度はかわさないで、盾を刀でけ止める。土龍の力を使って、盾をけ止めて、突進の威力を地面にそらす。
突進の威力がやんだ事を確認して、盾を踏み臺にして、空中に舞った。ロットナーを飛び越えて、刀を首筋に付ける。
「まだやりますか?」「吾輩の負である。」「ありがとうございます。」
「ロットナー!」「皇太子様。本ですよ。本気を出さないと止められません。それに、アルノルトはまだまだ奧がありそうです。」
皇太子が降りてきた為に、刀持った手を背中に廻して、臣下の禮を取った。「よい。アルノルト。見事だった。試すような事をして申し訳なかった」「いえ。大丈夫です。それで、私は合格でしょうか?」
ニヤっ笑いながら皇太子に話しかける。
「・・・ハハハ。合格じゃよ。陛下やユリウスの言うとおりの人じゃな。今日は悪かった。後で、今日の”わび”を屆けさせる。」
それだけ言って皇太子は返ってしまった。嵐のような人だな。でも、気にってもらえたのなら、良かった。
「アルノルト。すまんな。それで、最初の件はどうする?」「道には興味はありません。」「そうか、道か・・・。その道の処刑をむか?」「そうですね。できれば生かしておいてしいですね。」「なぜだ?」「殺したら、そこで開放してしまう事になりますからね。できたら、カールが人して、名実ともに、辺境伯になった時までは生かしておきたいです」「わかった、そうするようにしよう。」「あっ経費は私が持ちます。是非、贅沢な食事をさせてやってください。」「なぜ?」「優秀な貴族様が人の施しをけて、死刑になる日を待つのですからね。その間位は贅沢をさせてあげたいですからね。あと、時折、私の魔法の実験臺になってもらいます。そう伝えてください。」「わかった。その希をなるべく葉えられるようにしよう。」「よろしくお願いします。」「それで、アルノルト。今度は、本気の貴殿と手合わせをしたいのだが・・・。」
あっやっぱりそうなる。
「いえ、先程の約定通り、再戦は致しません。おれに、今はやることが多いので、ご容赦ください。」「うむぅわかった。だが、吾輩は諦めないからな。」「承知致しております。」
ロットナーに一禮して、書類の束があるという場所に向かった。今度は、しっかり書類をけ取る事ができた。本當にかなりの量だったが、ステータス袋のおかげで簡単にもつことができた。文は不思議に思ったようだが、王家の紋章がった袋に注目はしても聞いてきたりしてこなかった。
書類を持って、寮に戻ると、王家の紋章が著いた馬車が一臺泊まっていた。
寮の玄関前で、執事風な人が俺に気がつくと一禮してきた。禮を返すとにこやかに微笑んでくれた。
「皇太子から、『”わび”の品』をお屆けに參りました。」「それはお疲れ様です。一人ですので、おもてなしはできませんが、どうぞおりください。」
寮の玄関を開けて中に招きれた。執事につづいて、馬車から一人のが降りてきた。年齢は、僕よりもし若いくらいだろうか?12~3歳という所かな?顔立ちはユリウスに似ていると思えないわけではない。髪のが、赤ではなく、RGBで言えば、FFC0CB で表現されるピンクだろう。彼が実質的な使者なのかな?
応接室に通した。誰も居ないので、魔法でお湯を沸かして(作り出したお湯では味しくなかったので、火龍を使って沸かすようにしている)紅茶をれる。作り置きしていた。クッキーもどきを持って、応接室にった。
ん?し違和がある。こういう時は、使者であるが上座に座って、執事が後ろに控えるだろう。なんで、橫並びで、が下座に居るのだ?
「どうぞ、こちらにお座りください」「いえ、私達はこちらで構いません。」
ふむ、何か意図があるのかもしれないが・・・。
「解りました。どうぞ、おかけください。あっすみません。無作法ですが、お茶です。おまたせして申し訳ありません。を潤してください。」
お茶とクッキーもどきを置いた。
「ありがたく頂戴致します。」
執事風の人が話しを仕切るようだ。
「皇太子様から、『”わび”の品』を屆けるように申しつかりました。ツェーザル・ザイデルといいます。ツェーザルとお呼びいただければ幸いです。」「あっはい。ツェーザルさん。アルノルト・フォン・ライムバッハです。」「お聞きしております。辺境伯代理様でございましょう。」「え?あっそうなります。」
「すみません。長話は今度時間が有る時にでも致しまして、早速『”わび”の品』をお納めいただければと思います」「あっはい。それで?」
「はじめまして、アルノルト・フォン・ライムバッハ辺境伯代理様。私が『”わび”の品』でございます。」「・・・・言っている意味がわからないのですが?」「ですから、私、ヒルデガルド・ローゼンハイム・フォン・アーベントロートでございますわ。ヒルダとお呼びください。旦那様。」「は?」「降嫁の手続きはできております。冒険者への登録もできております。」「え?」
「アルノルト様。ヒルデガルド殿。私はここで失禮いたします。」「あっ・・・。」
遅かった。執事が立ち上がって、部屋から出ていってしまった。にこやかに座る。ヒルダを連れて帰ってくれなかった。
「スキルも、”加護取”と”思考加速”をアリーダ様から頂いております。」「う?え?」
「シン兄。すごくかっこよくなっちゃいましたね。待ちくたびれましたよ。でも、これで、シン兄と一緒にいられます。それに、結婚もできますね!約束しましたよね?5歳の時に?」「ん?え?あ?はぁぁぁぁぁぁぁ?」
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