《異世界落ちたら古龍と邪龍の戦いに巻き込まれまして・・・》第37話 ビアンカとニーロ
ビアンカとニーロ
「よーっし、よしよし、よく頑張ってくれましたね」
「ぶるっ、ひんひん」
結局、野営も野宿もすることなくミキたちご一行は、無事『クライン・スタット』の町に到著した。そして 今現在 その立役者である二頭の馬さんたちを労(ねぎら)っているところである。
「ビアンカ」に「ニーロ」、皇都からともに旅をしてきた二頭の馬さんたち。ほんと、今日はよく頑張ってくれましたね、とミキは心から謝するのであった。
「ダンナ、馬の世話なら 俺たちにまかせてくだせぇ」
「若、そうですぜ。おれたちにとっても この二頭の馬はみてぇなもんなんだ。」
「そうですか?でも まぁ あとしですから」
「はぁ、まったく変わってなさる。うちの若様はよ」
「そういや、アニキ、いつから若って呼ぶようになったんで?」
「あぁ、それな。なんか若旦那って呼ぶと、バカダンナみたいな気がするって言われてな。ミキって呼んでくれって言われたけどよぉ。仕えるとしては それはちょっとな。護衛としても雇い主を呼び捨てなんてありえねぇし。で、おれなりにいろいろ考えたってわけよ。んで、若さまってことにしたんだよ。まぁ、ほんとに若さまだしよ。で、なし崩し的にそれを通したってわけさ」
「そっか、ならおれも今度から『若』って呼ぶことにしよう」
「いや、おめぇは ダンナのまんまでいいんじゃねぇか?」
「なんでだよ」
「いや、見分けがつきやすい」
「なんの話かわかんねぇけど アニキがそう言うなら そうするさ」
「って、おれは アニキじゃねぇって何度言わせんだよ」
と、またまた男二人が馬鹿話をしているうちにミキの方の馬の世話も終わったようです。
「さて、そんじゃ付を済ませるとしましょう。ヒサさん、タケさん、行きますよ」
「あっと、待ってくだせぇ」
「おいてかないでくださいよぉ」
◇
「では、こちらの宿帳の方に記をお願いしますね」
なんと、小さい町の宿屋だと思っていましたが 侮れませんね。なかなかに人さんな付嬢が いらっしゃる。これは タケさんあたりが…。
「はいはい、あっしから」
「あっしは、タケと申しやす。28、あいやまだ27ですぜ」
「はい、タケ様でいらっしゃいますね。お歳の方は、記されなくても大丈夫ですよ」
とさすがに手慣れた付嬢である。
「あっ、申し遅れました。わたくしは 當宿の將で ウェスティナと申します」
なんと、この世界の宿の將は みな 若くないといけないとでも?ときっとミキならば思っているかも知れませんね。
「なんと將さんでいらっしゃりましたか」などと急にていねいな口調になるタケである。
「意外かしら、本來ならわたしの代わりに母がみなさまを おもてなしするはずなんですけど、ここのところ調を崩してしまい…ですので いろいろと至らないところもあるかもしれませんが 誠心誠意おもてなしさせていただきますので どうぞよろしくお願い申し上げます」
「これは ご丁寧にかたじけない。タケさん、固まってないで 書き終えましたらヒサさんに宿帳をわたしてあげて」
「あっ、へい」と記が終わりヒサへと宿帳をわたす。
「あんがとよ。えっと、名前は…ヒサと。まぁ 年齢は 26と。んで、ほぉ、別欄があるんだな。男とんで、在所は……職業ね…護衛?従業員?どっちだ……まいっか」
「若、書き終わりましたぜ」とミキに手渡すヒサ。
そのとき、付嬢改め將さんのウェスティナが「?」を顔に浮かべたのであるが それに気付いた者はこの場にはいない。
「はい、じゃ、今度は僕が記しますね。えっと名前は、ミキ。歳は十五と。んで 職業は…商會主と。あと別欄ね。これは しっかりと書いておかなくちゃね…男っとあとは…よっし書けた」
「はい、こちら記が終わりましたので お渡ししますね。」
「はい、確かに…それとお部屋の方は どうされますか?」
「まえと同じでいんじゃないですかね」
「そうですね、では 一人部屋と二人部屋ということで お願い出來ますか?」
「はい、確かに承りました。そちらのお二方は、護衛も務められていらっしゃるのでしたら お部屋は近い方がよろしいですよね」
「あぁ、まぁそうだな(だよな油斷なんてしないぜ…クラリッサさま)」
「その方が、いいな(若にごえいなんていらないよなどと油斷してっと後からどんなお仕置きが…)」
「では、ミキさまのお部屋が二階の奧になりますが、二〇七號室、お二方がそのお向かいで二〇八號室となります。こちらが 部屋の鍵となっております。それでは 案の者をお呼びしますので お待ちくださいませ」
「それと 夜のお食事の方はどうされますか?」
「お願い出來ますか?あと こちらの二人には エールもお願いしたいのですが」
「かしこまりました。お食事が 三人様とエールでございますね。では 食堂の方へ後ほどご案いたしますので。シーラさん、お三方をお部屋の方へお願いします」
「はーい、ただいま」
◇
「ふぅ、なかなかここの宿も良いじですね。あとは 夕飯にどんなものが出るのかな。やっぱり地元産のお野菜とか?この辺りの名ってどんなものがあるのかな。あのお二人なら詳しく知ってるかな、聞きにいってみようかな」
◇
「あのミキさまでしたか、見た目は のようですのに…別欄は「男」って記してありますね。どうしましょう、あとでお風呂のご案するときにでも…あら、お風呂のことお伝えするの忘れてました!どうしましょう」
◇
さてさて、お馬さんたちが 頑張ってその日のうちにたどり著けた「クライン・スタット」の町でしたが…こちらの宿でも何か起きるのでしょうか?
じょっぱれアオモリの星 ~「何喋ってらんだがわがんねぇんだよ!」どギルドをぼんだされだ青森出身の魔導士、通訳兼相棒の新米回復術士と一緒ずてツートな無詠唱魔術で最強ば目指す~【角川S文庫より書籍化】
【2022年6月1日 本作が角川スニーカー文庫様より冬頃発売決定です!!】 「オーリン・ジョナゴールド君。悪いんだけど、今日づけでギルドを辭めてほしいの」 「わ――わのどごばまねんだすか!?」 巨大冒険者ギルド『イーストウィンド』の新米お茶汲み冒険者レジーナ・マイルズは、先輩であった中堅魔導士オーリン・ジョナゴールドがクビを言い渡される現場に遭遇する。 原因はオーリンの酷い訛り――何年経っても取れない訛り言葉では他の冒険者と意思疎通が取れず、パーティを危険に曬しかねないとのギルドマスター判斷だった。追放されることとなったオーリンは絶望し、意気消沈してイーストウィンドを出ていく。だがこの突然の追放劇の裏には、美貌のギルドマスター・マティルダの、なにか深い目論見があるようだった。 その後、ギルマス直々にオーリンへの隨行を命じられたレジーナは、クズスキルと言われていた【通訳】のスキルで、王都で唯一オーリンと意思疎通のできる人間となる。追放されたことを恨みに思い、腐って捨て鉢になるオーリンを必死になだめて勵ましているうちに、レジーナたちは同じイーストウィンドに所屬する評判の悪いS級冒険者・ヴァロンに絡まれてしまう。 小競り合いから激昂したヴァロンがレジーナを毆りつけようとした、その瞬間。 「【拒絶(マネ)】――」 オーリンの魔法が発動し、S級冒険者であるヴァロンを圧倒し始める。それは凄まじい研鑽を積んだ大魔導士でなければ扱うことの出來ない絶技・無詠唱魔法だった。何が起こっているの? この人は一體――!? 驚いているレジーナの前で、オーリンの非常識的かつ超人的な魔法が次々と炸裂し始めて――。 「アオモリの星コさなる」と心に決めて仮想世界アオモリから都會に出てきた、ズーズー弁丸出しで何言ってるかわからない田舎者青年魔導士と、クズスキル【通訳】で彼のパートナー兼通訳を務める都會系新米回復術士の、ギルドを追い出されてから始まるノレソレ痛快なみちのく冒険ファンタジー。
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