《竜神の加護を持つ年》27.コータの戦い方
街道を歩く軍隊の先頭に正面から皆で近づいて行く。
流石に、こんな夜中に街道を歩いている好きは居ない。
當然、不審者扱いをけ警告される。
「こんな夜更けに何者だ!」
それはこちらの臺詞である。
「いやぁ、俺の仲間が妹と逸れちゃいまして、この道を歩いていればきっと會えると思って探していました。」
「何を恍けた事を!」
あーやっぱり?
そんな話、信じ無いよね。
普通に考えて――。
まだオルゴナーラ山脈のり口まで遠いけど、
だからと言って魔獣がまったく出ない訳じゃ無いのだから。
生憎この周囲には居ない様だけど。
「いえいえ、本當なんですって。オルカナの村の娘なんですけどね……行方不明になっちゃったんですよ」
そう告げると、先頭に居た兵の張が一気に膨れ上がる。
「各自抜剣!」
大聲で後方に伝令する、先頭の兵士。
そこへ兵士には見えない、執事服を著た初老の男がやってきた。
「一刻も早く向わねばならない時に進軍を止めて……何事ですか!」
「はい!セグモンド様、この年等が……」
先頭の兵士が小聲になったので……。
聞き取れないが説明してくれているみたいだ。
その時、後方から兵の悲鳴が上がった。
どうやらクロが、檻に閉じ込められた達を救出したらしい。
作戦通り!
えっ?そんなの書いて無かったでしょうって?
だって、俺の頭の中ではそうなっているんだもん!
後方から若い兵が、顔を引き攣らせながら駆けてきた。
「セグモンド様!竜が……竜が……」
どうやら恐怖のあまり舌が回って居ない様だ。
「何が竜ですか!これから捕獲に向うという時に!」
「いえ、違うのです!」
イライラし出した初老の男が怒鳴りつける。
「何が違うのだ!こっちはこっちで忙しいのだ!」
「大きな竜が……突然、空から現れて……檻ごと達を攫って行きました!」
漸くまともに説明が出來た様だね!
えらいえらい!
「何だって!そんな馬鹿な!」
「あーもしもし?そのを探していたんだけど?」
「貴様達の仕業か!」
セグモンドが、抜剣し切り掛かって來た。
暗くて見え難いがそんなに剣速は早い訳じゃ無い。
確か昔見た明治時代もののアニメで、新撰組の沖田が振るより突いた方が早いって言っていた様な……。
勘違いか……?
取り敢えず、切り込みと同時に右に避ける。
ひぇー2cmずれたら切られていたよ!
振り下ろした剣を引き上げる間に、初老の男の右斜め後ろへ移し、腰に回し蹴りを叩きつける。
あのね……。
慣れて無いとハイキックとか、レバー撃ちとか出來無いんだよ?
知っているって?
あっそ……。
初老の男が、前に、つんのめりながらヨタヨタ剣を振り回す。
あれ?
あの程度であんなフラフラになっちゃうの?
意外と弱いのね!
あ、老人でした!
我は檻を回収した後――。
最初に降り立った丘に戻って來ていた。
たった2回だけのパワーレベリングでも、
あの程度の兵相手なら問題無かろうと思ったのだ。
萬一にでも刃が當たっても、まぁ問題無いだろう。
そんな事を戦闘を眺めながら考えていたら――。
急に目の前に突風が吹き『バシィ!』っと、空間が割れた音がして奴が現れた。
「やぁ!久しぶり!2000年振りかな?アイテール。それとも今はクロだっけ?」
クロって黒いからクロだって……笑っちゃうね。
そんな事を、朗らかに笑いながら言ったのは見た目。
――12歳位の男ともとも取れない。
そこに居るのに居ない。
中途半端な存在を纏った、この世界の創造神オルナスだった。
「なんの用だ!」
「ご挨拶じゃないか?せっかく友人が久しぶりに訪ねて來たというのに」
「お前とは2000年前に喧嘩していただろうが!」
「そう。笑っちゃうよね。君、僕が異世界転移、出來ないからってあの世界に逃げちゃうんだから、それで連れて來たのがあの年って訳かい?あんな力まで與えちゃってご執心だね!」
「何の事だ!」
「隠そうとしたって無駄だよ、僕と君の能力には左程大きな差は無いんだからね」
「…………………………………………」
「君は、まだ人間なんかに期待しているのかい?」
「我の勝手ではないか!」
「そうだよ、勝手だね……所で久しぶりに戻ったあの世界はどうだった?いまもどうせあの時のままだったんじゃないのかい?もしかしてあの時よりももっと愚かに育っていたんじゃないのかい?」
「そんな事は無かったぞ!」
「だぁ~かぁ~らぁ~隠したって無駄なんだって。僕は何でも知っているんだから……今のあの世界では爭いは昔より減ってもその分、親が育児放棄をしてわが子を手にかけ、子は思い通りに行かない捌け口を求めて親を殺す。
自らの利権、名聲、既得権益、の為に犯罪に手を染める事にも躊躇いが無い――。世界中で貧困にぎ死する子供も多いのに、未だに戦爭を止め様ともしない。同じ人間の中で人種差別を行い民族浄化?まったく愚かしいね――。そうそう、君はあの子に、面白い事を言っていたね……。神からすれば人間は、人間にとっての蟻の様な。ただ見ているだけで何もしない?だっけ?あれには傷ついたな~君からそんな言葉を聞くなんてね。僕達がどれだけあの世界を良くしようと手を差しべ盡くしたか――。まさか忘れた訳じゃ無いでしょう?その度に裏切られ、疲れ果てた僕達は、あの世界を捨てたんだからさぁ――」
「それでも人は……思いやる心を持っている綺麗な心の人間もいるぞ!」
「へぇ~あの世界の人間から魔石を取り上げても何も変わらなく余計に爭いを増長させ続けたのにかい?信じられないね――。今のあの世界の人間は昔はここの人間と同じに魔法も使えた事すら忘れてしまって。あっ……忘れた方が幸せか……。神に捨てられた絶を味あわなくて済むんだから。
しかも人間自らが勝手に神を作り上げ、居もしない神への信仰心を煽り、金儲け、既得権益の確保に勤しんで……何を信じているのかな?お金??自分かぁ!何故あんなを我々神が大事に育て創り上げたのか……けなくなるね!こっちの世界にやってきても、同じ事の繰り返し。あっちと同じく魔石を取り上げても生憎と僕の計畫と違って、ある手段を使えば魔法を使える様だけど……あれ?もしかして君がやったのかい?」
「…………………………………………」
「黙っていられるとイライラしちゃうんだよね!」
そう言ってコータに向って小さな、本當に爪先程度の石を弾き飛ばした。
へっ?と當たった場所をっているが特に問題無かった様だ……。
「ほらね?あれだけの力を與えといてあの子に何をさせたいのさ?」
「何もせんわ!ただ面倒を見ておるだけじゃ!」
「おかしいなぁ~そんな事の為に、態々あの子の両親まで隠したのかい!!」
「っつ……」
「あの二人はいったい何処に行ったんだろうねぇ?態々貴重な創造魔法まで使って擬態を用意してさ!……というか……あれだけの怪我をして逃げたのにまだ君は懲りて無いんだね。もう僕は人間には手は貸さないよ?
本能で生きている魔獣の方がよっぽど可いからね!
で?あっちの世界でいうアダムとイヴの斷の果実まであの子に與えて何をしたいのさ?また黙り込む気かい?」
「あ……そろそろ時間か……あの子の戦いをじっくり拝見させてもらうからね!」
「面白く無かったら…………本気で殺すぞ!」
「あっそうそう、ヘメラが會いたがっていたよ?二人きりの兄弟なんだからたまには會ってやったら?」
「じゃぁ~まったね~!」
ふう。ようやく帰ったか……。
後ろの檻を見ると、3人とも気絶している様だった。
「さすがに神の威圧をけ、正気ではいられんわな……」
さてコータの方を見ると――。
こっちもそろそろ終わりそうだ。
一応は殺さずに骨折程度で抑えている様だな……。
――まったく甘い事だ。
だが……。
「――じゃないとオルナスを改心させる事などできまい」
「さて、みんなお疲れ様!みんな怪我は?無いみたいだね」
「大丈夫だに!」
「結局後方で援護の私は、レベルが上がって過剰な魔法しか使え無いから見ていただけでしたけどね!」
「この程度、この前のオーガに比べれば可いものです」
犬歯をむき出しにして言われるとちょっと怖いかも……。
「私も結局、魔法は過剰攻撃にりそうだったんで、槍の石突でしか攻撃しませんでした」
あのお嬢様も逞しくったものだ……。
「さてポチは先にタマちゃんの所に顔見せに行ってあげて!」
俺がそう言うと嬉しそうに、ハイだにぃ~と行って駆けて行った。
「じゃ3人で手分けして兵隊さん達を、一つに繋げて縛っちゃおうか!」
旅の支度をした時に、多めに縄とか馬車の継ぎ手とか購してあったしね!
手分けして縛ったら2時間もかかった……。
さて初老の爺さんが兵の隊長みたいだから……。
洗いざらい全て吐かせるかな!
気絶している初老の男を一人だけ連れて馬車に乗せる。
他の兵隊さん達は嫌々指示されていただけだった様なので……。
縄で繋いで街へ返した。
魔獣とか出たら大丈夫かな?
どうせ、俺達が見え無くったら自力で縄抜けするんだろうし。
まぁいっか!
クロは一応學迷彩を使って、陣の護衛をしている。
タマちゃんは……ずっと泣きじゃくっている。
ポチはそんなタマちゃんをしっかりと抱きしめている。
良かったね!ポチ!
俺は?
勿論……2人を両脇に座らせて者臺ですよ!
だって流石に、こんない子に怖い話とか聞かせられないでしょ!
どうせ王都で降ろすのだし……。
そうそう、このい子達は王都の孤児院からオワルスターの養子として連れてこられたが、籍手続きをしないまま檻にれられたらしい。
王都で警察に突き出してやる!
警察だっけ……?
聞き取り調査役は、狼獣人のホロウだ!
やっぱカツ丼食うか?
とかやるのかな?
すみません。
冗談です……あったら俺が食いたい。
「それであなたの名前はグロモンドさんでしたっけ?」
「俺はせぐもんど!だ!」
「あ~そうそう、そんな名前でしたね」
「それで貴方はオワルスター伯爵の執事で間違いありませんか?」
「黙する!」
「そーですか……グロモンド……おわったすたーの執事っと……」
一々紙に書きながら尋問とか、ホロウさんも大変ね!
書記をして貰えばいいのに……。
そう言ったら……。
父が門番で、こう言うのには慣れていますから!
だそうだ……。
「俺は何も言って無いぞ!」
「ええ。あなたの連れていた部隊の皆さんから、そう伺いましたから」
それじゃ聞き取りの意味無いんじゃ?
諦めたのか、セグモンドが話し始めた。
はやっ!
何処に落としのテクとかあったんだろう!
解せん。
「オワルスター伯爵には4年前に雇われた、元はB級の冒険者だ……」
へぇーB級ってあの程度なのか?俺が強くり過ぎたとか?
「その冒険者さんが何であんな伯爵の言いりに?」
「俺もこの歳だ……冒険者家業はきつい労働だからな……もくなり思うようにかなくなる。當然、この歳で冒険者を続けている奴の討伐での生存確率は低くなってくる」
「なるほど……楽をして金を稼ぎたかったっと。メモメモ。」
ぶはっ……。
誰もそんな事言って無いじゃん!
ホロウ……酷いわー俺も気を付けよう。
ホロウの意外な一面を、垣間見た瞬間だった――。
「じゃ伯爵の目的は?ピクシードラゴンを捕獲して何をしたかったんです?」
お……いよいよ核心か!
「それは……」
「分りました!この國の乗っ取りですね。王都に運んだら貴方、反逆罪で死刑ですね!」
え……?
死刑なの?
気になって一番近くにいたアルテッザに聞いて見たら……。
王國への反逆は、當然死刑らしい。
「それで商會の馬車と、村を襲わせたのも貴方ですね?」
「オワルスターに言われて、セグモンドが盜賊と一緒に実行したっと……。メモメモ」
だから……。
言って無い。
言って無いから……。
「お前が村を、お父さんも、お母さんも、友達も、ご近所さんも話した事ないおじさんも殺しただに!!」
いや……話した事の無い人はどうかと思うぞ?
「俺は知らん。盜賊のザックが勝手にやった事だ!」
誰だ?
ザックって?
「ザックなんて名前知ら無いだに!」
「そんな筈は……」
「お前は噓付いているだに?」
ポチさんも何気に、怖い。いつもと全然違うよ……。
「まぁまぁ、ポチもそんなに怒鳴らないで。タマちゃんが起きちゃうでしょ?」
どうやらタマちゃんは泣き疲れて寢ちゃったらしい。
い子には、聴かせたく無かったし丁度いいね!
「じゃ質問を変えるだに!」
って――。いつからホロウから変わったんだよ!
「焼けた村に土を被せて、証拠幻滅したのもお前だに?」
ポチ、それ隠滅だから。
難しい言葉使え無いなら無理しなくても……。
作者だって使って無いんだし!
「証拠隠滅は伯爵様の指示で、俺が立ち會って兵達にやらせた」
「ほらみろだに!全部こいつが関わっているだに!」
いや……全部では無いからね?
「ホロウちゃんと、メモ取っているだに?」
そう言って記録用メモを見るポチ――。
ポチ、見たって読め無いじゃん!!
「ちゃんと記録していますよ!全て伯爵の指示でこいつがやったって!」
うぇー!
「こんな奴さっさと調子と一緒に王都の代様に突き出すだに!」
調子じゃないよ!長所だよ?………………あれ?
そんな調書も終わり――。
翌日の晝には流石フロストさん。
馬車は王都への曲がり角まで後2時間という所まで來ていた。
東に停車していた馬車に止められたのはそんな時だった。
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