《竜神の加護を持つ年》80.アルフヘイムへ行こう!
王都からの道程はやはり長く、今日1日馬車を走らせ疲れたを休める為に、野営場所に馬車を止める。食事はエルフ達一行とうちの娘達の合同である。
そこでアイテール領へ帰る前に、ガルラード帝國の水問題の件でニョルズさん達と再度打ち合わせの機會を作ってもらった。
「まず、地理的な問題でわからない事が多いんで教えてしいんだけど、ガルラード帝國はオルゴナーラ山脈と近接している場所にあるの?」
「いいえ、アルフヘイムが間にあるんで、オルゴナーラ山脈とガルラード帝國は接しては居ないですよ」
あちゃ、いきなり躓いた。
接していればダムを作って水量を調節するだけで済んだんだけど……間にアルフヘイムがあったのではそれも厳しい。エルフとガルラード帝國が仲良ければ問題は無かったけど、今の狀態ではどう考えても無理だわ。
「じゃガルラード帝國の元々の水源っていうのはどこから流れてきていたの?」
「元々の水源はアルフヘイムよりも南から流れて來ていましたね」
「ガルラード帝國がそこの森林を伐採した事が原因で水源が枯渇したんだよね?」
「結果的にはそうなりますね」
「アルフヘイムの水源から水を引いて、ガルラード帝國に流すのは無理なんだよね?」
「冗談じゃないですよ。そんな事をしたらこっちが水不足になりますから」
そう言うよね。
「じゃぁアルフヘイムに大きな水溜りを作って、水源をエルフで管理してガルラード帝國に流す。というのでは駄目かな? ガルラード帝國の命綱をエルフに預ける形になるんだけど。水源の水だって川下に流れて行っているんでしょ? なら川下に流れる分を溜めてガルラード帝國に分け與えるっていうのは?」
「出來るか出來ないか、で言えば出來ますけど……ガルラード帝國とアルフヘイムは敵対関係ですよ? そこに管理を任せるとは到底思えないんですけど」
獣人の時と同じ様には出來ないよな。
それだとガルラード帝國にこの話を飲んでもらうしかないけど、まだ正式に決った訳では無いし。
それを実現するのにも一大事業になるよな。まずアルフヘイムの統括理事6人に話を通してからじゃないと進まないか。エルフの里ね。行ってみたいけどれてくれるのかな?
クロ、もしこれからアルフヘイムに行くとしたら、エルフ達と俺達全員乗せて飛んでくれる?
「出來なくは無いが、アルフヘイムは結界を張っておるんじゃろ?」
じゃ結界の手前までなら行けるって事でいいの?
「そうじゃのぉ、いけるだろうな」
ちょっと寄り道しちゃったけど、善は急げだ。明日の朝にでも行こうか!
「承知した!」
「えっと、クロとも話したんだけど、明日の朝クロに皆で乗ってアルフヘイムへ行く事にしました。結界の手前まで飛んでもらうんで、中に案してもらっていいですかね?」
「なんかいきなりだね!でもクロ様に乗るって?」
「それは明日のお楽しみってヤツで!」
翌朝、簡単に支度をして人通りがない事を確認しクロに大きくなってもらう。いつもの中型サイズだね。
エルフ達、ドワーフ達もさっきまでピクシーサイズだったクロが巨大化した事に皆、目を大きく見開いて驚いている。
「ちょっと、こんなに大きいなんて聞いて無いよ!」
「言っていませんでしたから。このサイズのクロになら全員で乗っても平気ですから」
目を白黒させて驚いているエルフ達一行を急かして、クロの尾から乗り込む。
當然、馬車は俺の虛空倉庫に2臺ともれた。
「それじゃ出立するぞ!」
クロの掛け聲と共に、ふわっ。と浮くじがしてそのまま一気に高度をあげる。
「ひゃぁー落ちる、落ちるって」
「ニョルズさん、心配しなくても落ちないから。まさかイアンと同じ高所恐怖癥?」
「イアンさんが誰だかわからないけど、高い所は苦手じゃないよ。浮いているじがちょっとね」
あれ、一昨日、宿屋で會っている筈なんだけど。まぁいっか。
「それで、どっちに行けばいいの?」
「ここからだと、正確じゃ無いけどあっちの方だね」
ニョルズさんが指差した方角は北北東だ。クロにその方向に飛んでくれるように伝える。
雪で真っ白になっている山脈を越え丁度、森が見え始めた所でニョルズさんからそろそろ著くよと知らされた。
クロに近くで降りられる所に降りてもらう。
「コータくん達をアルフヘイムにれていいか、統括理事達に聞いてくるから。ここで待っていて」
そんな簡単にはれてくれないよね。森の中だから馬車も通れないし。ここからは歩きなのか……北でもまだこっちは雪が積もったりしていないから良かったけど、雪が積もっていたら最悪だったね。
しばらく待つと、數人のエルフと一緒にニョルズさんも戻ってきた。
「いやぁお待たせ! 統括理事の皆さんから許可が下りたんで、案するから著いて來て!」
そう言ってニョルズさん達を先頭にして、俺達も歩き出した。
「初、エルフの里。ちょっと楽しみだね」
「そうですね、普通はエルフの皆さん以外はれないそうですから」
「後で父にも自慢できますわ!」
「ただの森にしか見えないだに!」
「木がいっぱいにゃ!」
「魔獣とか出そうですが気配はありませんね」
俺達はエルフの先導でひたすら木々の間をって歩く。しばらく歩くと、妙な違和をじ、一歩踏み出したらそこには巨大な木が目の前に見えた。実際はかなり遠くなんだろうけどそれこそ木の天辺が見えない事から有名な巨大樹だと思われる。
「すげー高い!」
「本當に大きいですね」
他の皆は、あまりの大きさに圧倒されて、ぽかーん。と口を開けて呆けていた。
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