《と遊ぼうとしたら異世界に飛ばされた件について》43話目 決意表明
俺はここ一か月、彼が長するのを見屆けてきていた。魔法が使えるようになり、のこなしも上達し、俺の料理を再現するのも上手になっていっていた。しかしそれらはあくまでも俺が教えて、最適な方法を提供していたからある意味當然のこととも言えた。無論、彼のそういった長が嬉しくなかったわけではない。
けれど今朝、彼は俺の手を借りることなく獨力で事をし遂げたのだ。それも、俺でも出來ないことを、気強く続けることでやり遂げたのだ。
そのことがどうしようもなく、嬉しかった。
彼が自の手で長したことが、彼が自分で一歩踏み出せたことが、涙が出そうなほどに嬉しかった。彼の長が我が事のように嬉しく思え、ともすればそれ以上にも思えた。彼に自信を付けさせるためにやらせたことだというのに、俺の方がそれを喜ぶというのもおかしな話だが、それでもとにかく嬉しかったのだ。
そしてそれと同時に俺は自分が悩んでいたことが馬鹿らしく思えた。彼は自分で歩むことが出來る人間であり、最初から最後まで俺が導く必要なんて初めから無かったことに気付いたのだ。
俺は彼に人との関わりを斷ってほしくないが、傷ついてほしくない。でも、その選択をするのは彼自であり、俺は彼がそのどちらを選んでもそれを出來るようサポートするだけでよかったのだ。
「シャル、君がむことを何でも出來るくらい君を強くしてみせる」
師匠と弟子、というのは彼を納得させるための単なる方便であった。彼を鍛え、ある程度のことが出來るまで育てるくらいは考えていたが、俺自それ程本気で彼のことを弟子と思っていなかった。
でも、これからは違う。俺は彼のことを必ず強くしてみせる。最低でも俺と同じくらいに、出來ることなら俺・を・殺・せ・る・く・ら・い・に・。
この一か月、俺は本當に楽しんでいた。最早シャルが居ない生活を思い出すことは出來ず、今までの千年よりも濃な時間を過ごしているという実がある。シャルの長が嬉しく、シャルが喜ぶ姿を見たい。めば何でも出來る程の力を付けて、彼にはむがままに生きてほしい。その結果、彼に裏切られて殺されても構わない。
シャルに殺されるのはとても悲しいが、俺は無駄に長く生きすぎたように思える。それならば、どのような事であれ彼がそうんだのならば、人と関わる喜びを思い出させてくれた彼にならば、殺されても構わない。だから、俺を殺せるくらいに強くなってほしい。
「俺の決意の証として、これをけ取ってくれないか」
それでも、明日からやることに変わりはないだろう。昨日までと同じく彼を鍛え、彼と生活していくだろう。だから、本來この決意表明には何の意味もない。それでも、俺はそうしたかった。俺は彼にそれを言いたかった。
先程懐から取り出したイヤリングをシャルに手渡す。ただ純粋に彼のことを想い作り上げた、何の効果も持たないただのイヤリング。
シャルはそれを恭しくけ取ると元で大事そうに両手で包み込んだ。
「師匠、私、頑張ります」
彼は目に涙を溜めながらそう答え、両の耳にそれをつける。とてもよく似合っていて一安心といったところか。続く言葉が見當たらず、辺りに靜寂が広まり、やや冷靜になった頭でどうしたものかと悩んでいると『グルルル……』と不機嫌そうな唸り聲が聞こえた。
俺はその聲を聞いて振り返り、苦笑いしながらその聲に返事をする。
「わーかってるって。お前の分もちゃんとある」
一応デザインだけは出発前に考えていた首を、この場で作り出してドラ助につけてやる。足に著ける腕か首ぐらいしかドラ助は付けられなさそうなので、著けた時のバランスから首にすることにしたのだ。これは本當に他意はない。
俺からの贈りがお気に召したのか、特に抗議の聲をあげることなくドラ助は一度鼻息を吹くとそっぽを向いた。
「帰ろうか」
「うん」
ドラ助のおかげで先ほどまでの神妙な雰囲気は全て吹き飛んでしまったので、俺はいつもの調子で聲をかけることが出來た。ドラ助の背に乗らずとも、転移魔法を使えば帰る事が出來るがそれはしない。
これから長く続くだろう共同生活だが、いつか終わりが來るかもしれない。だから俺は今この一瞬一瞬を大事にしたかった。ドラ助の背で揺れながら、月に照らされながら、今この時をに刻みながら、俺とシャルは家路についた。
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