と遊ぼうとしたら異世界に飛ばされた件について》44話目 悪だくみをする大人たち

人が治める國の一つ、オーディナー帝國の首都の一角にて、數人の男たちがある一室に集まっていた。互いの顔も見えぬ程に薄暗い室ではあるが、ギラついた目はまるで輝いているようにも見える。

異様な雰囲気を放つ男が一人、そのすぐ傍に控えるように立つ男が一人、二人の前に立っている男が數名おり、彼らの立ち位置などから異様な雰囲気を放つこそがこの集いの首謀者であることは明白であった。

「それで、首尾はどうだ」

首謀者の男がそう尋ね、その傍に控えていた男が主に報告すべく口を開く。

「報告書によれば、群れの長に影響を與えることには功したものの完全な支配下に置くことは出來ず、群れが大きくなることで制が不能になったとのことです。また、実用化には數年の期間の実験と更なる資金提供が必須と申しております」

その報告を聞いた首謀者は『ハッ』と不愉快そうに鼻で笑い、指示を下す。

「あの貍め、提供した資金でいくら私腹をやすつもりだ。まあいいだろう、要求した額の倍を提供してやれ。但し、必ず二年以に実用化の目途を立てるように言っておけ」

首謀者がそう言い放つなり、報告を述べた男は『かしこまりました』と短く返事をするとその場から立ち去ってしまった。

首謀者は目の前に立っている男たちに改めて向き直り、睨むような視線を向けるが、男たちはそれに怯まず微だにしない。その反応に満足したのか首謀者はニヤリとその口角を上げると男たちにもまた指示を下した。

「お前らは引き続きドワーフとの渉と報収集に徹しろ。知っての通りこちらの勢力は數では話にならん。現狀ではまだ數年の猶予があるが、その間になんとしても裝備の質で大幅に差を付けねばならん。それと、研究者どもの制から離れた魔がどうなったのかの報も追加で集めておけ」

首謀者の男がそう命令を下し、男たちはそれに対して異議を挾むことなく『意』と答え、己の仕事を果たすためにその場を次々と去る。

自分以外の者が全て立ち去ったことにより首謀者の男はその場に一人取り殘されると、男はここではないどこか遠い場所を眺めるような目つきになりぽつり、と一言だけらした。

「魔の森の魔法使い、か」

他の誰かが耳にするでもなく、その言葉は闇に溶け、そして男もその場を去ることでその場にはただ靜寂だけが殘された。

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