《金髪、青目の人エルフに転生!》第九十五話 心配なこと

「うん、準備するか。ジェイド、剣の手れをして……、いや、新しいのを作っておく」

「え?! いいんですか?」

「それ、気にってるでしょ? 萬が一にも折れない。新しいの、あ、私じゃなくて、誰かに作ってもらおっか」

ジェイドは腰の剣をそっと見て、頷いた。折って引き篭られたら困るので。

あと、魔力を回復させるジュースを作っておこうか。エルフの森の中の木の実で作るんだ。ちょっとりんごに似てる、何故か一年中なってるやつ。

「あと、そうね……。學校か……」

先生はすべて戦場に行ってしまうだろう。ただ、生徒が散ってしまうのも、余計危ないでしょ。

戦いに行かない人や農民を集めて、ホールに収容。そこに子供も行ってもらえばなんとかなるかな。

「ソフィアさん! やっと會えた!」

「ルース! どうしたの?」

「いや、特に用は……。ただ、まだ帰って來てから會ってなかったので。私たちも、全力で戦います。だから、勝ちましょう?」

! そう、だね。私たち、負けないよ!

「スカーレット! インディゴ! 悪魔兵の強化を頼んだよ!」

「わかりました!」

「レオン! シナモンはもういない。みんなを引っ張るのはあなた。よく考えておきなさい」

「わかってる。僕、頼ってばっかりだった。今度は、僕が頼ってもらう番!」

てきぱきと指示を出し終えた。薬の類の調合にはいろうか。

薬草は森で摘んできた。それを、レシピ通りに調合していく。

本當は薬屋の仕事だけど、仕事が多すぎてしまうだろうから、私もやる。品質は落ちるだろうけど。

當然、薬屋がやったほうがいいでしょ? でも、學校でしはやったもん。

「ジェイド、お願いがあるんだけど、いい?」

「調合中に喋ると危ないですよ、手を切ります」

「わ、わかったよ……」

私は薬の調合を優先した。なにせ、これがないせいで死んでしまう人が出るかもしれないでしょ?

いくつかの種類を大量に作っておく。みんなに攜帯してもらうんだ。種類より量!

「手伝いますよ、ソフィア様」

「そう? じゃあ、この実絞って出して」

「はあ。あ、例のジュースですね」

ジェイドは黙って仕事を始めた。この果を水で薄めて、仕上げにちょこっと魔力を足してやる。多分、意味はない。

実を食べても回復できるんだ。魔力を込めたって意味ないと思わない? ま、気休めってことで。

「それから、ジェイド、このジュースをどっかで冷凍保存」

「はい。では、それは任せてください。加工は私にはできないので」

まあ、ジュースを作るくらい誰にでもできるが。ちゃんと計れば、誰にだって。

というとややこしくなるので、言うわけにはいかない。

「私は、どうすればいい? お姉ちゃん」

「マリンは、周りをよく見ていてしいの。後ろから回り込まれてるような人がいたら、お願い」

「戦ってると、前ばっかになっちゃうもんね。わかったよ」

後ろのユリアナも頷いてくれたから、任せていいだろう。

マリンはだいぶ強くなった。任せても平気だろう。なにせ、スカーレットの手下による、猛特訓が行われていたそうだし。クララが教えてくれた。

「ジェイド、さっきの、お願いなんだけどさ……」

「ああ、なにか言おうとしてましたね」

そう。ちょっとだけ、心配なことがあるんだ……。

「私、もしかしたら、られちゃうかも」

「なっ?! どういうことですか?」

だって、考えても見てよ。明らかに倒せない敵がいたとする。

どうする? 仲間にしたら、明らかに楽じゃん。

だから、それだけが心配なんだ。

「もし、そんなことがあったら、この中で…………、止められるのっ、ジェイドだけだからっ!」

「そ、ソフィア様?! 大丈夫ですか?!」

ジェイドが私を抱きしめた。いけない、いけない。こんなつもりはなかったのに。

「はぁ、はぁ……。とにかく、私のこと、絶対止めて。最悪、殺っても、いいよ」

「あ、それだけは、できないんですけれど、なんとか、します」

「だめ……。絶対、殺して。私の手で、誰かを傷つけたくないんだよ! ……ジェイドに、殺してしい」

もし、られていたとしても、巨大な魔法を放って、大量死させてしまったら……。

正気に戻ったとしても、自殺してしまう気がする。そんなことなら、最初から、本気で掛かってきてしい。

「わかりました。ですが、できるだけ、ソフィア様がられないようにします」

「そうだけど……。私、ジェイドと別行するつもりだよ?」

「え?! あ、そうでした! じゃあ、何かあったらすぐ駆けつけます」

これで、なんとかなるかな。不安なところは、これしかないもの。

じゃあ、すぐに戦いの準備を進めないと。

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