《金髪、青目の人エルフに転生!》第九十七話 魔族戦爭(ジェイド)

「うわあああああああ!」

「きゃあああああああ!」

悲鳴が上がります。ちょうど、強い魔力の波じて、ソフィア様のもとに駆けつけているときのことです。

何があったのか……。おそらく、ソフィア様の心配していたこと…………。

「あ、ご主人様の悪魔! 助けて!」

「ご主人様が、とり憑かれちゃった!」

私は足を早めます。やっぱり……。今のソフィア様には、弱みが、あるのですから……。

「あ、ああ……」

私は絶句しました。ソフィア様とはかけ離れた雰囲気なのですから。偽なのだと思い込みたいくらいですが、そうすると、殺してしまいかねませんし……。

私を見ると、ソフィア様はにっこり笑いかけてきます。いつもの、ソフィア様となんら変わりありません。

「ジェイド? どうしたの?」

「い、いえ。それより、どうしたんですか?」

「ん? なにが? ってか、こっち來ないでって言ったじゃないの」

何かが、違う。普通の人なら、わからないかもしれませんが、魔力のちょっとしたじ、雰囲気、言葉が、何か、おかしい。ソフィア様では、無いでしょう。

「あっ?! きゃあああ!」

「えっ、ソフィア様!」

ソフィア様が急に倒れました。私は慌てて駆け寄りました。

もしかして、合わなかった? 何か、魔法に不合があって、解けたのでは……。

「なんてね? あははは!」

「!」

いつものソフィア様では、考えられないほどの力で私のことを毆り倒します。

馬鹿力のインディゴじゃないんですから……。ガードのかかった私を吹き飛ばすなど、考えられません。

「ねぇ、まだいきてるの?」

「なっ、もう、やめてくださいよ! そので、私を……」

「そっかぁ、やっぱり、君の一番の弱みはこの、私だね」

弱み……。そうかも、しれません。

でも、私は、ソフィア様と出會ってよかったと思ってる。私を、大切にしてくれる、ソフィア様。

を傷付けることは、絶対に出來ない。弱みと言えば、弱みでしょう。

「もう、戻っておいでよ。君のこと、みんなは待ってるんだよ? エメラルド君」

「いや、ですよ……。私は、誓ったんです!」

「うーん、固いねぇ。だめかぁ。ま、わかってたけどね」

ソフィア様は私を蹴り飛ばすと、楽しそうに笑います。笑い方は、いつものように、明るい。なのに、なんでか、笑い聲は、とっても冷たくて、聞いていられないような気がしてきます。

もしかして、ソフィア様は、こんなに力があったんでしょうか? 私を毆る時、隨分弱くしていたんでしょうか?

るのは、行、言葉。力を足すことは、できないはずです。だとしたら……。

「ふふ、まだ戦う気はあるかな? 私を傷つけることはできるかな?」

「それより、あなたが誰なのか、教えていただきたい」

「ダメだなぁ。でも、この子の側近の近な人だよ」

「で、では、本當に、彼は……」

気づいていた。ソフィア様が気づいていないで、リーダーを任せていること、ずっと、不安だった。

でも……。ソフィア様が信頼しているんだったら、と思っていたし、今まで、規則を破ったことは一度たりともないのです。疑えないではないですか……!

「私はね? エメラルドくんに、戻ってきてしいの。あのお方も、んでいるんだよ?」

「ソフィア様の聲で、そんなこと、言わないでください……」

「君も変わったなぁ。人はおもちゃとしか見ていなかった君がね……」

そう、でしたね……。ソフィア様、いや、スカーレット……、違う、インディゴと出會ったのがきっかけでしたか。彼は、人を殺せませんからね。新しい考えを、知ることができた……。

でもまあ、殺していましたか。インディゴと出會ったのは、ずっと、前の話ですし。

では、スカーレットが、最初の転機でしょう。守るべき存在、ですからね。

でも、私の中で一番大きいのは、ソフィア様。ソフィア様がいるから、私は……。

「ま、人は変わるもんだよね。君はひとじゃないか。ま、それより、そろそろ戦いたいなぁ?」

「私が、ソフィア様を傷つける……」

「何だ、戦意喪失? だったら、こっちにおいでよ」

それだけは、できません! 死ななければ、治すことはできるのです! 本気でいきましょう!

私は一発、悪魔の線デヴィルビームを撃ちます。戦う意思があることを伝えるために。

すると、ソフィア様は楽しそうな顔をして、笑います。でも、どこか不気味ですね……。

「そうこなくっちゃ。私も行くよ? 大滝キャタラクト」

「ソフィア様の速さは、そんなものではありません!」

「あははは! そうじゃないよ。こういうことさ」

気が付けば、私の周りに、大量の水が降っています。もはや、大滝キャタラクトではありません。

大量の大滝キャタラクトを撃ったようですね。魔力はどうなっているのでしょう。

「あははは! 逃げ場はないよ? どうするかな?」

「くっ……」

大量の水に飲み込まれます。もはや、海のようになっています。立つことすらできません。

藻掻いたところで、どうにもならないでしょう。私は、どんな人數の人を、何度このような目に合わせたのでしょう。

そうか。私は、このような思いをさせたのか。神は許してくれないでしょう。きっと、もう助からない。

でしたら、このまま鮮やかに死なせていただきましょうか。

ソフィア様に、絞殺なり、刺殺なりされるのはごめんです。それなら、ここで死んだほうがましですよ。

ああ、すみません……。ソフィア様には、本當に悪いですが……。助かりそうには、ないんですよ。許してもらえるとは、思っていませんが……。

「ジェイド! ソフィ、お前、一何を……」

誰かの聲が聞こえたような……。気のせいでしょう、か……?

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