《金髪、青目の人エルフに転生!》第百二話 戦いに出れませんので

「ねぇ、ねぇねぇ、おかしいよ?!」

「はっ?! なにがですか?!」

「寮が明らかに綺麗になってる。しかも、數増えたし、場所が変わってる」

クララ達がびくっと肩を震わせる。恐る恐る、といった様子で私の顔を見た。

やっぱり、何かあったんだ? 何をしたんだろう。

「それがさぁ。スパイに寮をほぼ全壊にされたから、作り直したの」

「しかも、大工に、ね。ちゃんと作って貰ったよ」

「あと、人數も増えたからもう一つ作って貰った」

クララ、ルアンナ、サウルが説明してくれる。けど、なんだそりゃ?! 寮作り直したのかよ?! どうりで場所がちょっと違うわけだ。

って、スパイに全壊?! なんで最初に言わない?!

「ばれたらまずいかな、って思って隠してたんだけど……」

「いや、クララ、私、今初めてじっくり見たの。一発でばれてるじゃない!」

「確かに! クララが隠そうって言ったんじゃん! 意味ないじゃん!」

「だって、ルアンナもそうしようって言ったじゃん!」

喧嘩になった。なぜそうなる。私はそんな大層な事を言った覚えはないし。

なんだかんだいって、二人して許可したんじゃん。諦めろ。

「とりあえず良いよ。で? 魔族の様子は?」

「それは私が。懲りずにまた來てます。今度は人數はないですが、鋭、ですかね、ちょっと手ごわいようです」

スカーレットが教えてくれる。また來たのかよ、魔族。でも、私、前出してもらえないしなぁ。やる事がない。いや、出來る事がない。

ジェイドに泣き落としかけても意味なさそうだし。どうしようかなぁ。

「アルラウネ、集合!」

「んー? なあにー?」

「命令します! 私に代わって、魔族を倒してきて。出來るだけたくさん」

アルラウネ達は、楽しそうに顔を輝かせる。戦うの、好きだなぁ。

まあ、ここにいるみんなが、だけど。特にジェイドなんて、大喜びで戦場いくぞ。

相変わらず格が悪い。でもまあ……。そこが割と、良いけれど……。

「そ、ソフィア? 今、何考えて……」

「うわぁ?! フェリ! な、何でもない」

「ソフィア、隠すの下手」

「……はい」

レオンの言っている事はごもっともです。すごく下手です。いっつもばれるんだよね。大きくても、小さくても。

ヴェリとサウルもため息をつく。相変わらず、私は男の子たちを何とかしてスルーしなくてはならないようですね……。

いい加減にしないと、そろそろ言い寄られる気がするし。

あ、ジェイドが許さないか。

「だから、なんでそうなるのさ!」

「なんでジェイドの事になっちゃうのさ?!」

「なんで分かるの?!」

こいつらなんなんだ?! いい加減にしてしい。

この顔のせいだよ。得する事もあるけど、損する事もある気がする。

なんて言ったら顰蹙を買うだろうか? まあ、エルフはみんな人だけど。

「とりあえず、ジェイドが許してくれなさそうだから、私は前出れないよ」

「分かってるよ。でも、出來たら振り切って來てよ」

「いやだ。後怖いもん」

これ以上縛られたら、どうするんだ。まあ、隙があったら別かも。

とにかく、私は出來ることをしておこう。またられたら困るから、前でないほうが良いかもしれないし。

とりあえず、シナモンのことから完全に立ち直るまでは、ね……。

「アリアン! 指揮は頼んだよ。あの、あれ……」

「分かってますよ。ちゃんと指揮しますから。あと、そのほか、何か?」

「ううん、何もないよ。よろしくね」

「はぁ……」

多分、そうだろうけど、言わない方が、良いよね?

アリアンが裏切る、なんて事がないことを願うばかりだ。

もし、そんなことになったら……。私、だれも信じられないよ。

「ジェイド、だめ?」

「だめですよ。またられて、私を殺そうとしたら今度こそたまったもんじゃないですよ」

「うぅ……。わかってるよ……。じゃあ、絶対に勝ってね?」

ジェイドは軽く笑って當然だと言う。私の頭を軽くなでると、そのままどこかに行ってしまった。

おそらくは、剣の手れだろうけど。また、戦いが、はじまるんだもん。

出來たら、死者が出ない事を願いたいけど、無理だろうなぁ。

1人で私の部屋に居る時。部屋に、リリアーナ、エベリナ、マリアがってきた。

すごい珍しい。っていうか、まだこっちにいたんだなぁ。

そんな風に思っていると、また戦いがあるんだよね、と言ってから聞いてくる。

「私たちも參加していいか?」

「え?! なんで?」

「戦ってた方が、開花しやすいでしょぉ?」

「家の方、暇すぎるんだ」

ああ、開花ね……。勇者が使った技、使えるようになりたいよね。

でもさ、よく考えてみてよ。私出ないんだよ? なんでリリアーナ達が參加して私が待ってなきゃいけないの?

「うぅ……。いいよ。私戦えないけど」

「なんで?!」

「ジェイドが外に出してくれない。待ってろって」

三人は苦い顔をした。まあ、そうだよね。なんで私が行かないのに? ってじだ。

ホント、ジェイドってば、なんて條件をつけてくるんだ。何にも考えてないんじゃないだろうなぁ……。

「とりあえず、戦わせて貰うよ。ソフィアも出來たらおいで」

「うん。出來たらね」

「じゃあ、また今度ねぇ。戦いの準備してくるわぁ」

いいなぁ。戦わないで遠くにいたら、大切な人が危ない時、助けられないかもしれないんだよ。そんなの、嫌なのに。

「ジェイドに、頑張ってもらうしかないよね」

それしかなさそうだ。何が何でも勝って貰う。死者が出たら、わかってるよねぇ?

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