《金髪、青目の人エルフに転生!》第百五話 ジェイドの過去

「え? ジェイドって、前に主人なんていましたか?」

「知らないの?」

「はい……。すみません」

スカーレットは申し訳なさそうに俯いた。

おかしいなぁ。ジェイドは確かに前に主人がいたと言った。なのに、スカーレットが『知らない』?

インディゴにも聞いてみようか。インディゴの方が付き合いは長いはずだ。

「えっ?! そんなこと、聞いた覚えもないが?」

「……。スカーレットと、おんなじ反応」

「そうだろうな。しらない」

何故?! だって、一緒に居て知らないっておかしいでしょ?!

どうしても知られたくなくて、隠してる? 悪魔は騙すのが得意だから、それもあり得る。

けど、そこまでして隠す必要がある事っていったい何? って考えると、本當に知らないのかも。

「そう。ありがとう」

「前に主人? 前って、いつだろうな。俺が會ったのは、500歳の時だし……」

「でも、それより前って、ずいぶん子どもの時ってことになるよね?」

「そうだな……。うーん……」

そういえば、インディゴとジェイドの出會いは聞いた事が無いなぁ。スカーレットたちと會う500年前、か。

こういうの聞くのは、いつも唐突だった。私も心の準備できてなくて、いっつもパニックになっちゃってた。

「そう、だな。會った時のこと、言っておこうか」

「うん……。何かに役立つかなぁ……」

俺が會ったのは、本當に小さい時だったわけだが、それでも500歳だな。

親代わりの人が死んでしまって、困っていた時だ。

1人の悪魔は、狙われやすい。特に、子供。

何にかって? 當然、天使だ。天使は、常に、悪魔を狙っているからな。

ほら、天使にはいつも気をつけてたんだが、1人になってい待ったら、仕方ないだろ?

パニックになるだ、天使を初めて見た時はな。なにせ、俺たちとは雰囲気が真逆。雰囲気の違いに、圧倒され、パニックになる。

子供の天使は大人の天使に慣れさせて貰うものだが、悪魔は基本的にそういったことはない。なにせ、天使は悪魔を狩る者、悪魔は天使から逃げるものだからな。會いたくないんだ。

パニックになってしまえば、まともに戦うことは不可能。完全に勝ち目はない。

丁度、街外れの森の方に行っていて、人もいなかったんだ。一切、な。

天使に見つかった時は、本當に慌てた。どうするべきか考える余裕すらない。

どうしていいのか分からず、をうまくかすことすらできない。ギュッとこまって、蹲る事しかできない。

気が付くと、天使は消えていて、代わりに一人の子供が立っていた。ジェイドだった。

『君、大丈夫かい? いやぁ、立派な天使だったねー』

『えっ……?』

『僕は慣れてるから、大丈夫さ。それより、ここから離れた方が良いよ』

そういうと、ジェイドは俺の手を取って走り出した。

素晴らしい土地。迷うことなく進んでいった。出てくる魔も、瞬殺。

『さて、多分君は居場所がないみたいだね。僕のうちにおいで』

『君のうちって……。君、親は?』

『何言ってるんだい? 僕は一人暮らしさ。もう何百年も、ね』

そう、ジェイドは、生まれた時から、一人だった。ひとりきりで、生き殘った、本當に珍しい悪魔だった。

俺の面倒は、すごいよく見てくれたよ。そりゃ、初めての家族、だと思ってたんだろう。

ずっと一人だったんだ。當然だよな。ちょっと格は悪いが、兄のようなじでな。

にしても、初めて會った時、あの時、天使はどうやって倒したんだろうな。一瞬で、しかも、見ていなかったから、分からなかったんだが。

なくとも、ジェイドは俺の命の恩人なんだ。あの時、死んでいたかもしれないからな。

「といったじか? とにかく、俺を助けてくれた。それが出會いだ」

「へえ……。ジェイド、1人だったんだ」

「だからこそ、あの格なんだろ。人と、関わったことのない奴の、な」

が締め付けられるようだった。昔の私、蒼空を思い出してしまう。

あの時、淋しいなんて、思ったっけ? でも、何故か、思い出してしまった。

一人ぼっちは、悲しいものだ。それは、分かるよ……。

「可哀想な……。1人なんて……」

「あの頃、余裕のある悪魔がいなかったんだ。天使が活化しててな」

「そう、なんだ。だから、ジェイド、あんなに、人とかかわるのが苦手なんだ」

分かってた。どうやって人と接していいか分からないから、つい、やってしまっている事を。

人と接したことが無いから、人の気持ちが分からない事を。だから、人の事を、みたいな扱いをしてしまっている事も。

全部、分かってた。ジェイドは、人の気持ちが分からない。人と、接していないからだ。

最初より、ましになっているとは思う。でも、まだ、たまに、何気ない一言で、えっ、と思う事がある。

「まあ、今のジェイドは良くなった。人を大切にする事を、よくわかったようだから」

「それは、いつから?」

「スカーレットと會ってから。でも、その時より、ソフィア様と會ってからの方が、変わったと思う」

ジェイド……。変わろうって、思ってくれているんだなぁ。それだけで、嬉しい。

でも、どうしてだろう。何かが、おかしい……。なんでだろう……。

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