《金髪、青目の人エルフに転生!》第百二十四話 勇者魔法って・・・?
私はアリシアの攻撃を避けつつタイミングを狙う。もしうまく行けば、この窮地をする事が出來るだろう。
私の正面からの線。これで行く!
私は線が私に當たるぎりぎりで、援護魔法をかけて床を思い切り蹴る。
シャンデリアぎりぎりまで飛びあがった私は、宙返りしながら壁のすぐ前にトンっと著地する。
詠唱してる時間はないだろうな。すぐに後ろを振り向いて……。
この部屋全を、私の両目でとらえる。
「全ての魔法オールマジック」
「?!」
構えた杖から、虹の魔力が出て、部屋全に広がった。
虹の部屋で一人、私は微笑み、魔法の威力を上げる。もう、誰も逃げられない。
にあたった兵士たちは、消えゆく自分のに怯えながらも
、どうする事も出來ない。
この魔法は、私に対した『敵意』『殺意』を消し去る魔法だ。
私に対して、敵意を持っているだけだったら、おそらくは気絶するだけだろう。
ただ、殺意を抱いていたら……。そのは、もう役には立たない。
とはいっても、私はそれを調節する事も出來る。なんだかんだで、とても便利な魔法なのだ。
今は、全力で撃った。アリシア達がいる以上、手加減という選択肢は殘されていないのだ。
ただ、この四人が一番殺意を持っていると考えていたから、効果は大きいと思っていた。なのに……。
「どうして、効かないの……」
「あれ? 効くと思ってた?」
アリシアは、私が全ての魔法オールマジックを止めたのを見てから、ニヤッと笑って言った。
どうして効かないのか、正直分からない。なんで、いつも仕留め損ねる……?
「わかんないのかい? その魔法は『殺意を消し去る魔法』。ってことは、私が殺意を持っていないとしたら?」
「そんな事が、出來るって言うの?! 殺意を、消し去る……?!」
「魔力を消すことは出來るのに、殺意は消せないの?」
そう言えば……。そうだったのか。
殺意を一番表現するのは、魔力だ。魔力を限りなくなくし、武を下ろして、相手に敬意を証す。
これで、ごまかされてしまうんだ。道理で、効かなかったわけだ。
でも、こんな事、一朝一夕でできるもんじゃない。本當に、長い間訓練を積んできたのだろう。
「分かったなら、諦めなよ。もう、これで終わりだ」
「お前は……。必ず、殺す」
「……?! なっ?!」
アリシアの驚いた様な表を見た途端。
一瞬で、世界のが消え去ってしまったかのようだった。
一瞬で、が消え去ってしまったかのようだった。
なにも、じない。
まずいな……。乗っ取られた?
なんで、勇者魔法が、ほかの人に使えないか。魔力が足りないのも、あるのだけれど。
この魔法は、怒りによって目覚めた。私の中に、勇者のの中に、怒りというに反応するものがあるんだろう。
もし、その怒りが、殺意が……。規定を超えてしまったら。
「……! リリ、リナ! ソフィを止めろ!」
「えっ?! なにぃ?!」
「なんだか分からないけど、ソフィ、ごめん! 火炎フレイム」
私の左手にエベリナの撃った火が當たる。
それによって、ふと我に返ったかのように、が戻って來て、が戻ってくる。
「あれ……?!」
「ソフィ! 大丈夫か?」
「ごめん、マリ……。平気!」
私は移魔法でマリアの隣に移して、そっと呟くように言う。
「あのさ、気づいてると思うんだけど……」
「ああ、分かっている。引いた方がいいな」
マリアは移魔法を止する魔法をこの城全に掛けた。いや、多分そうしたいわけじゃないだろう。ただ、範囲が広すぎるんだ、この魔法は。
魔法をかけ終わったマリアは、いつもよりずっと大きな聲でぶ。
「一旦引くぞ! 走れ!」
「ええ?! なんで?!」
「走ってぇ?!」
マリアは私の手を握ると、ダッと後ろを向いて走り出す。それに、慌てた様子のリリアーナ、エベリナ、ジェイドと、狀況を理解したアルラウネが走り出す。
それを見ていたアリシアら4人も、急いで追いかけてくる。
なんで移魔法を使わないかって?
そりゃあ、魔族の方が移魔法は得意だし、次ぐに分析されて付いてこられちゃうからだよ。走ったほうがまだみがある。
あれ? 窓の外が何かおかしい。これって……。
「きゃああああ?!」
「うわああああ?!」
魔族の國特有の強力な『ハリケーン』。ちょうど私たちのすぐ後ろを破壊しながら通っていく。
で、アリシア達を巻き込んで城ごと飛んで行った。あ…………。
「一応、助かった?」
「けど……。なんか、納得できないね」
「でもよかったぁ。ところで、なんでいきなり引くって?」
「ああ、あれか?」
私が乗っ取られかけた時、急に魔力を大量に奪われたんだ。このままでは戦えないってくらい。
だから、引こうって言ったわけだ。必ず負けるからね。
まあ、結果的には助かったけど。こんなことってありなわけ?
「で? この後どうするの?」
「ああ……。ソフィはどうだ?」
「一応、魔力の回復薬はあるけど……」
ジェイドが持ってるはずだ。私が言うと、異空間から取り出してくれた。
マリアはそれをじっと見つめてから、「全回復は無理だろうな」と呟く。
まあ、そうだけど、無いよりはましだし、多分結構回復するよ? 戦う事は出來るだろう。
難點。この、すっごく苦い。まあ、それだけだろう。
「飲みたくないな……」
「諦めろ。さ、早くしないと置いて行くぞ」
いや、それは良いけどさ……。
「此処、通って平気?」
『……』
ハリケーンが全て吹き飛ばして行ったから、廊下が見事に崩壊してるんだけど……。危なくない?
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