《金髪、青目の人エルフに転生!》第百二十八話 ソニア様
目が覚めると、あちこち傷だらけでした。
でも、それ以上に、ダイアモンド様の事が心配で。私は何とか歩いて、城の表側まで行きました。
人だかりができていました。私がその場に行くと、みんな、怪訝そうな顔をで私を見ました。
それでも、気にしなかった。いえ、そんな余裕が、ありませんでした。私の眼は、ある一點にくぎ付けになっていたのです。
ダイアモンド様の亡骸が、曬されていました。
目からは涙が溢れて、どうする事も出來なかった。あまりにも、酷過ぎて。そんな事って、ないでしょう……。
ダイアモンド様が魔王だといっても。彼が悪い事をしている様子は、一度たりともみた事がありませんでした。
それなのに。どうして、こんなことをされなくてはいけないのでしょう……。
暫くすると、一人のが、私に聲をかけてきました。
「大丈夫かい? 魔王の使い魔だね?」
「…………」
「何にも言わなくていいよ。ごめんね、私は、ソニア」
「?!」
綺麗なクリームの髪をしたエルフ。この人が、勇者で間違いはないだろうと思いました。
それで、話を聞いてみると、本當は平和に解決したかったのだけれど、魔王が自殺してしまった、といって、暗い顔をしました。
「傷を癒してあげる。あんまり上手じゃないけどね」
「……! すごい……」
その時の私にとっては、考えられないくらい強力な回復魔法だと思いました。
彼が、悪人には見えなかった。言葉を、信じる事にしました。
「君……。いったい何者なんだ?」
其処に歩いて來たのは、見たばかりの悪魔でした。
「コンチータ?! おい、お前、これはいったいどういう事だ?!」
「ごめんね、この子は私の使い魔。スパイとして、潛させたんだ」
「そ、そんな……?!」
私は、知っていましたから。
ダイアモンド様の夫『ヒスイ』様が、私の生まれる直前に死んだ、あの、悪魔だった事を。
そして、その生まれ変わった姿が、私だという事も。
ダイアモンド様に、小さな娘がいた事も、知っています。
その子が、ダイアナ。彼の遊び相手も、よくやりましたからね。良く、知っています。
こんなことにならなければ……。幸せに、過ごせたかもしれないのに。
ダイアモンド様の顔が浮かび……。何も、考えられなくなります。
「うわあああああ!」
「……。ごめんなさい」
「酷い……! 守るって、言ったから、俺は、あのとき……!」
その後は、よく覚えていません……。
「あらぁ……。結構重いわねぇ」
「それで? どうしてソフィに?」
「魔力が、ダイアモンド様に良く似ているんです。どうしても……」
「ふぅん……。そうだったんだ」
ジェイドが、元魔王ダイアモンドの夫の転生後の姿? 生まれ変わっても、そばに居たいって……。
ああ、そうだったんだ。ジェイドは、一人の、ある人を大切にしてる。それが、ダイアモンドで、おそらくは……。
「ところで、ソニア様って、どうしたんです?」
「ああ、彼なら……。そうだな、ちょっと、私の話を先に聞いてくれない?」
「良いですけれど……」
私が起きると、お母様がいつもよりずっとやさしい顔をして扉を開けた。
「ダイアナ。お母さんが今からする話、聞いてくれるかな?」
「なあに?」
そこで、初めて知った。たくさんの事を。
私のお父様は、もう死んでて、エメラルドくんが、その生まれ変わりだと。
今、勇者たちが、お母様を攻めに來る事。
だから、私は、暫く眠っていなくてはいけない事。
「今起きたのに?」
「うーん、ちょっと違うのよ。とりあえず、この部屋から出ないで」
「え? う、うん……」
「私の姿は、これに映るわ。でも……。見ない方が、良いと思うわ」
お母様は、水晶玉のようなものを私に手渡すと、そのまま部屋を出ていってしまった。
小さい私でも、もう會えない、そんなような事が分かった。だから、追いかけようとして、ドアノブに手をかけたけど。
全然、かなかった。
私は、ベッドに座って、水晶玉を、ずっと眺めてた。全部、見てた。
お母様が、エメラルドくんを突き飛ばしたのも、勇者たちを前にして、堂々と、自ら命を絶ったのも。
そしたら、お母様のがって。はふわりふわりと分裂して、四つのオーブに変わった。
それは、勇者たちのの中にって、消えてしまった。
その時。私は、その部屋に、封印されてしまった。
「で、お母様のを取りれた四人は、不老不死になってしまったの」
「不老不死?!」
「そう。だから、人前に居る事が出來なくなってしまったんだよ」
「な、なんでそれを知ってるのぉ?」
「分からないけど、元から覚えてたみたいな、不思議なじ」
私たちが黙っていると、私のサークレットがって、いつか見た、あのトレアが現れた。
「そう。彼たちは、自分の子供をある程度大きくすると、冒険に出ると言って消えてしまった」
「トレア!」
「そして、彼たちは、自ら命を絶つことすらできずに、この世界を放浪し続けてる」
そ、それは嫌だな……。もう、世界で一番強くなってしまったら、全て手にってしまったら。求めるものが何もない。そんな生活、楽しいのだろうか。
四人は今、どうしてるんだろう。一緒に居るのかな。
それだけ言うと、何かの魔力に反応したように、すぅっとサークレットに戻っていった。
「っと、まずい。アリシアたちが來たみたい」
「おい、ダイアナ、今、何と?」
「アリシアたちが來たと……」
「……たち?」
マリアが訊き返さなければうっかり流してしまっていたけど、たちって何? 一人じゃないの?
ああ、あの時は四人だったか。じゃあ、その四人?
「うん……、実は、ちょっと、多人數みたいだよ?」
「な……?!」
「外に出よう。ここじゃ戦いづらいでしょ? ……ああ、いっそのこと、城を壊してしまおう」
ダイアナはそう言うと、大きな魔法を一気に放った。
天井が壊れ、壁が壊れ。床だけになってしまったけど、その代わり、外の狀況がよく見える。って。
「な、なんでここに……?!」
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