《神眼使いの異世界生活》第20話 腕試し
翌日、ソウマはアルテミスと共に訓練場に來ていた。
「それじゃあ、俺が相手をするから全力でかかってきて。」
「わかりました。」
アルテミスはソウマのことを信じきっているようで、躊躇なく杖を構える。
「それじゃあ、始め!」
そして、ソウマの合図でアルテミスとの模擬戦が始まった。
「『我が魔力を喰らいて、切り裂きの刃をもたらせ。 真空刃エアカッター』」
アルテミスはまず風魔法の真空刃エアカッターを使ってきた。
ソウマはそれを無詠唱の真空刃エアカッターで相殺する。
「な!」
すると、アルテミスは驚いた。
當たり前だ。通常無詠唱の魔法と詠唱をした魔法では詠唱をした魔法の方が強い。
しかし、ソウマは無詠唱でそれを相殺したのだ。
「どうした?來ないならこっちから行くぞ。」
すると、ソウマの周りに4個の魔法陣が出現した。
「ファイアボール、ウォーターボール」
そして、ソウマが魔法名を唱えるとファイアボールがひとつとウォーターが3つ一気にでてきた。
そして、それがアルテミスに向かって放たれる。
アルテミスはそれを橫に飛んで避けた。
そして、こっちを見た瞬間、後ろから発音がして強い衝撃に襲われて前に倒れた。
「な、何が……」
ソウマが起こしたのは水蒸気発だ。
水蒸気発は水が非常に高い溫度のに接して、気化した勢いで発生する発現象だ。
ソウマはそれを魔法が地面に接する瞬間にぶつけアルテミスが油斷したところを後ろからの発で吹き飛ばしたのだ。
「どうした?それで終わりか?」
「まだまだァ!『我が魔力を喰らいて、そのものを大いなる業火にて焼き盡くせ! 豪炎柱!』」
すると、ソウマを中心に大きな魔法陣が展開され、そして、ソウマを巻き込む形で火柱が上がった。
「はぁはぁはぁ。これなら……」
と、アルテミスは勝ちを確信したが……
「惜しかったな。あれを食らっていたら火傷くらいはしたかもしれないな」
「え?」
トンッ
アルテミスの首にソウマの手刀が落とされアルテミスの意識はそこで途切れた。
『火傷もしませんけどね』
「あれ?そうだった?」
ソウマはアルテミスが魔法を発する前にアルテミスに今まで使っていなかった第四の眼夢幻眼を使って幻を見せて本人は後ろに回っていた。
「意外と夢幻眼も使えるな」
『神々が作った魔眼なのです。使えなかったら逆に驚きですよ』
「そうだな。さてと、アルテミスをどこに連れていけばいいのやら」
結局、アルテミスを膝枕してその場で起きるのを待つ事にした。
それから10數分たった頃…………
「んぅ?」
「お?起きたか?」
「ソウマ様?」
「おう。大丈夫か?」
「えっと……」
すると、アルテミスの顔がドンドン赤くなっていき…………
「きゃァァァァァ!!!!」
ゴンッ!!
「うわっ!」
急にアルテミスが起き上がってソウマをその細い腕からは想像出來ない力で突き飛ばした。
「いてててて」
「す!すみません!」
「大丈夫だ。」
「あ、ありがとう。けど、負けちゃったんですね」
「まあ、元々の力の差があるからな。使える魔法はあれだけじゃないんだろ?」
「はい。」
「じゃあ、ステータスを見せてもらってもいいか?」
「わかりました。『ステータス』」
【名前】 アルテミス・ヴァン・ロディア
【年齢】 15
【別】 
【種族】 人族
【稱號】ロディア王國第1王、ソウマの婚約者
【レベル】12
【力】 830/830
【魔力】 1240/1240
【スキル】
【魔法系技能マジックスキル】
炎魔法Lv4
水魔法Lv2
風魔法Lv3
雷魔法Lv1
【他技能マネジメントスキル】
鑑定Lv:1
【固有技能ユニークスキル】
詠唱省略、魔力作
【加護・寵】
魔法神の加護
「なるほど。」
(リエル。どう思う?)
『そうですね。確かに魔法神様の加護もあることから魔法についての才能はありそうです。まだ、加護の使い方を會得していないようですが』
(使い方?)
『はい。そもそも加護や寵は簡単に言えば力を與えることなんです。例えば、舞踏神の加護の場合、補正という効果があって相手の攻撃のけ流しや回避などの補助が著きます。それが寵になると補正だけでなく舞うことによってステータスを上げたり、流れるように回避したりなどのスキルに似たことができるようになります。わかりやすく言うなら加護や寵という名の技能に近いんです。』
(なるほど。じゃあ、アルテミスは魔法神の加護を使い切れてないと?)
『はい。魔法神の加護はマネジメントスキルの詠唱省略です。しかし、アルテミスさんは省略をせずに全詠唱をして魔法を使っていました。これを詠唱省略を使ってやると3分の1まで詠唱時間が減ります。』
「なるほど。アルテミス。他技能マネジメントスキルに詠唱省略ってあるだろ?どうして使わないんだ?」
「え?だって詠唱省略をしたら魔法の威力が下がってしまうのではないのですか?」
(どうなんだ?)
『いえ、下がることはありません。神からの加護なのです。その程度で下がったら加護の意味がないので』
「いや、下がらないぞ」
「え?そうなのですか?」
「ああ。神の加護なんだ。そんなんで下がっても困るだろ」
「そうですね」
「ただ難しいのはその魔法をイメージして詠唱をすることだ。完全詠唱は勝手に魔法が作られるけど、詠唱省略はその分イメージを強く持たなくちゃいけない。それこそ無詠唱なんて下手なやつだと目をつぶってまでイメージしなくちゃいけないな。」
「なるほど。」
「あとは、イメージしだいではオリジナルの魔法も作れるぞ例えば……炎魔龍」
ソウマが魔法名を唱えると炎で形された龍が出てきた。
「これは炎を龍の形になることを強くイメージして作った俺のオリジナル炎魔法だ。」
「すごい……」
そして、ソウマが指をパチン!と鳴らすと龍は消えた。
「と、こんなふうにできるわけだ。あとは接近戦だな。」
「接近戦?私は魔法タイプですけど」
「ああ。けど、今回のように近づかれた時、詠唱省略をしても相手の攻撃から間に合わない。だから、接近戦を覚えてそれに対応する。他にも効果はあるぞ。例えば、に雷を纏わせて相手より早くき攻撃する。炎を纏わせて相手に近づけさせずに自分が攻撃する。今のアルテミスと同じように魔法だけを使っているやつには接近も使えるしな。だから、魔法と接近戦の技を組み合わせればさらにバリエーションが増えて自分の戦いの幅が増える。な?いい事あるだろ?」
「なるほど。確かに有効的ですね。けど、私剣なんて持ったことないですよ?」
「まあ、確かに両手剣や片手剣を持ってもいいんだが、アルテミスの場合レイピアとかを持った方がいいだろうな」
「確かにレイピアなら大丈夫そうです。」
「じゃあ、武は俺の方で作っておくからまずはやりたいことがあるんだが、どこか人目のない所はないか?」
「ま、まさか……」
と言ってアルテミスは自分のを隠して俺から離れる。
「違うよ?襲おうとか考えてないからね」
「そうなんですか?じゃあ、何をするつもりなんですか?」
「まあ、それはその時のお楽しみということでどこかないか?」
「……それならソウマ様の部屋でいいのではないですか?」
「そうだな。じゃあ、來てくれ」
「はい。」
「あ。それと、様なんて付けなくていいぞ。それに敬語もな」
「そ、そうですか?」
「當たり前だろ。1つ、俺たちは婚約してんだから対等の関係だ。1つ、俺は平民、アルテミスは王族。平民が王族に敬語を話してないのに王族が平民に話してたらおかしいだろ?1つ、なんかいじがする。もっとリラックスしろ」
「はい。いや、うん!わかったよソウマ!」
と笑顔で言った。
(可い……)
と思ってしまったのだった。
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