《悪役令嬢のままでいなさい!》☆310 潛した研究所
夜闇に紛れ、トランシーバーで彼らは會話をする。
「……ここが、月之宮と栗村の浚われた研究所か」
ウィリアムの品のバイクの後ろに白波小春を乗せ、ここまで走ってきた鳥羽杉也は顔をしかめてそう話した。
「ああ、間違いない」
遠くから東雲椿が返事をする。
各々で車などを使ってここまで訪れたアヤカシたちは、研究所の周辺に張り巡らされた結界に舌打ちをした。
「どうやら前々から念りに準備してあったみたいね」
妖狐の隣にいた雪の福壽はストールで口元を隠して呟く。
「さて……どうする」
安易に結界を破壊すれば、その反で相応のダメージが返ってくる仕掛けだ。しかしながら、それに耐えきれるようなアヤカシであれば問題はない。
「八手、頼めるか」
ここは、東雲が力任せに燃やして溶かすよりも、八手が切り崩した方が反がないと計算し、彼が頼むと。
無言で普段持ち歩いている木刀ではなく、業の刀を使った赤い鬼が結界の表面を切り伏せた。
「…………」
だが、研究所の周囲にアラートが鳴る。
鳴り響いたサイレンに、アヤカシたちは眉を潛めた。
「このままではここに警備が來ちゃうわ、時間はないわよ」
「事を知っていそうな人間を一人捕まえて報を聞き出すしかないな。殺さずに払いをするには、氷屬のオレたちが殘って戦った方が安全だ……」
「……僕にだってミネウチぐらいできますよ」
その答えに、柳原はニヤッと笑う。
「んじゃまあ、ボチボチ行きますか……っと!」
姿を現し始めた警備員を見て、柳原は辺りの冷気を集める。
一人、二人の人間の足元を凍り付かせて止めると、木から飛び出した東雲が首元に手刀を叩き込み、気絶させる。
呆気なく終わった戦闘に八手が足りない顔をした。
「まさか、この程度の戦力しか置いていないのか……?」
「――いいや、どうもこれはわれているようだぜ」
小春を連れて空へ浮遊していた鳥羽は、地上に現れた人影から衝撃波を放たれて慌ててを翻した。
腰までの長い髪をしているものの、その容貌は既知の人間のものだった。
「あれは……、月之宮さん……?」
「これはゾッとするな。……月之宮を模した式神かよ」
鳥羽がカマイタチを放つと、月之宮八重を模倣した式神のボディから軽く弾かれる。その一撃にこちらの方向に気が付いた式神は幾つもの斬撃を繰り出した。
「白波っ! 逃げるぞ!」
慌てた鳥羽は急いで式神から逃げ出す。
流石の彼でもひやりとする攻撃だ。いくら一つ一つは本の八重が使う斬撃より小規模だとしても、當たったら人間の小春はただでは済まない。
天狗は周囲の風を渦巻いてシールドの代わりとする。こちらの攻撃が効かないのが辛い。
まるで映畫のアンドロイドのように、人間離れしたきで式神は地上から天狗の影を追う。
これは、疲れ知らずな分、本の月之宮よりもタチが悪い!
「くそ、撤退もできやしねえ!」
歯噛みした鳥羽は、お姫様抱っこをしていた小春に向かってんだ。
「小春! 足止めを頼むっ」
「――はいっ」
二つ三つバラまいたエンドウ豆の種から、発的に増した蔓が式神の足元に絡む。ぶちぶちと蔦を斷ち切りながらも追いかけようとしたが、式神はやがて植に埋もれてきを止めた。
「……よし!」
安堵した鳥羽は、ようやく建の屋に下りて羽を休めた。
「おい、みんな! 聞こえるか!?」
持っていたトランシーバーに向かって、鳥羽は大聲を出す。
「奴ら、月之宮に似せた式神を使ってきやがった! しかも、俺の攻撃が通らねえし! もしかしたら、安易に進まない方が……っ」
そこに、通信から不可思議な音楽が流れ出す。
どうやら電波がハイジャックされたらしいことに気が付いた時には、トランシーバーからはこんな音聲が聞こえだした。
『やあ、諸君。私の研究所へいらっしゃい』
顔をしかめた鳥羽と、青ざめた小春。戦闘を続けていた東雲、八手、柳原、福壽の耳に、こんなメッセージがった。
『招かれざる客、というべきかな。諸君とは、一つゲームをしよう。
君たちのお姫様は、この廃病院の奧に閉じ込めてある。時刻が12時になったら、シンデレラには記憶作をけてもらうつもりだ。
それまでに、私と奈々子の式神で溢れたこの病院から八重を助け出せるものならやってみるといい』
これは、月之宮幽司の挑発だ。
「式神の數は合計五千。その殆どが八重と奈々子のクローンのようなものだ。外の素材はカーボンでできており、マイコン制だ。外部からの大抵の攻撃は通じない」
幽司は高笑いをした。
「來れるものなら來てみたまえ。これは私なりの宣戦布告だ。こうしている間にも、監視カメラとドローンで君たちの位置は常に捕捉している。すぐにでも私の式神が追いかけることだろう」
……さあ、素敵なゲームを始めよう。
研究所の奧で無數のモニターに彼らを映して、月之宮幽司は哂った。
監視カメラのその映像には、気絶した警備員の倉を摑みながら、顔を険しくした妖狐の姿があった。
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