この世界には魔王、大賢者、英雄、など様々な言葉で語られるとある魔師がいる。彼の名はアスト、世界最高峰の魔師だ。

この世界では生時から手に付與されている刻印によってその者の能力が分かる。

炎系統の魔を作可能になる真紅の刻印、水系統の魔を作可能になる蒼藍の刻印、風系統の魔を作可能になる翠碧の刻印、回復、系統の魔を作可能になる金の刻印、闇系統の魔を作可能になる常闇の刻印、通常はこの5つに別れ、回復もできて応用の高い金の刻印が5つの刻印の中で1番優秀とされ、者の意図によって発現する魔が変化する常闇の刻印が1番弱小という扱いになっている。

だがこの世界には一億年に一人という確率で最強の刻印を持つものが現れる。それは星寶の刻印と呼ばれるものである。この刻印は先程述べた6つの魔を作可能になり、その威力は1を極めた刻印にも引けを取らない。そして、この刻印にはもう1つの特権がある。

――星寶魔

この魔は6つの魔のどれにも屬さない所有者唯一の魔。その魔は存在するであろうという予測で立しているため実際の正は者本人しか知らない。

そして、この星寶の刻印をにつけているのが數々の異名を持つ魔師、アストだ。そんな彼は現在『龍神』と稱される伝説の龍の亡骸の前に居た。

「弱いな」

弱い、何もかもが弱い。魔王を倒してはや幾千年、俺は星寶魔で延命しながら生きてきたが、いい加減つまらない。仲良くしていた王が何代も死に、友人も死んだ。彼は.............聞かないでくれ。

不老不死とは実につまらないもので、この千年は10～20代までの王を看取るくらいしかやる事が無くなっていた。そんな時『龍神』が出現したと聞いて喜々として飛びついてみれば、わずか5秒で撃沈。所詮は神、ということなのかもしれない。

「............帰るか」

俺は転移魔であらかじめ登録しておいた家に帰る。ここは地中深くのマグマ地帯に隣接する窟に幾千もの結界をかけて作った家、兼研究室。星寶魔の実験をするために作っただけだが、気がつけば安らぐ母屋となっていた。

星寶魔は100年で解明した。できることは無限大、未來視でも転移でも転生でも何でも來いだ。最初の100年でやることがなくなった俺はその後はずっと未來視で的に5000年単位での未來の観測に勤しんでいた。今日も未來視で見てみるとしよう。

彼の両目に魔法陣が浮かぶ。次の瞬間彼の脳に直接映像報が流れてきた。そして彼は見てしまった、まだ彼が見た事のない魔の"ような"を。曰く、その世界ではが自由に空を飛びまわっている。曰く、その世界では機械のようなものから火が吹きでたり、機械が言語を話している。

なんだ............あれは。魔法陣が浮き出ていないにもかかわらず鉄の塊が空を飛んでいたぞ！？部に飛行魔を施しているようにも見えないし、そもそも飛行魔を使えるのは俺だけだし..............

それに機械が炎魔を使っていたぞ！？あれも部に仕込んでいるようには思えない、それに何より機械が喋っていた！！これは面白い！傀儡魔も俺しか使えないはずなのに、未來はとても興味深い！よし、転生しよう、今すぐにでも転生しよう。

◇

ここはとある森の奧、転移魔法で移してきたアストはその地面に魔法陣を書き込んでいた。

「これでよし、と。久々にを激しくかしたな..........」

転生魔、これは100年の星寶魔の研究中、60年かけて研究した魔だ。これを発すると、知識、能力、自我をそのままに用意されたへと乗り移ることが出來る。既に乗り移るは用意してある。一応俺の期、今から約2790年前の姿を魔で作りあげた。ちなみに転生したあとのは見えない力でどこかに消えるらしい。

「あとはこうして.............」

魔法陣の真ん中に土をかき分けて作った、人1人分だけれる土の棺桶にり魔法で上から自分の石碑をかぶせる。自分で墓を作って自分でそこにるというのは何かシュールだと思う。

あとは魔を起して完了だ。...........思えば転生に至るまで2800年、長いようで短かったな。別に未練はない、友人も家族も、ましてや伴なんてのはいなかったしな。今あるのは未來への期待と好奇心だ。転生後の世界はどうなっているのだろうか、楽しみで仕方ない。

「.............転生魔発」

そして俺は未來へ向けて転生魔を発した。

彼はひとつ間違えている。まず転生魔に時代の設定はできない、つまりどの時代に生まれるかは運次第というわけだ。

彼が目覚めた先では彼の期待を大きく裏切ってしまうことになるが、それは追々語っていこう。ここから彼の語が始まるのだから。