《能無し刻印使いの最強魔〜とある魔師は來世の世界を哀れみ生きる〜》EP.41 魔師は向かう

ふむ、ここで俺が出ていってもいいのだが、すぐに魔法が練れない。せめて誰かが気を引いてくれれば――

「.........言うかよ」

「ん?なんだお前」

「誰がクルシュかなんて言うわけねぇだろ!。あいつとは來週の集団戦で決著をつけんだよ!それなのにこんな所で殺されてたまるかっての!」

ふむ、よくやったぞグレイ。案外この時代の人間も捨てたものじゃないな。

「ほーん、そうか。じゃあてめぇから死ねや」

「貴様!やめろ!」

殘念だったな、悪いがもう準備は出來た。

『逆証魔

ガラスを叩き割ったような音が響き、指示された男の魔法式が破壊される。不発に終わった余韻が男を壁際まで引き飛ばした。

「ぐわぁ!?」

「お、おいどうした!?」

「やれやれ、威力を殘さないようにするのは常識だろう」

そう言って俺は席を立つ。ゆっくりと顔をかして、リーダー格の男を見た。

「てめぇか。クルシュ・ヴォルフォードってのは」

「ああ、俺がクルシュだ。で、俺に何か用か?」

「お前を連れていく。こっちへ來い、そうすればこいつらの命は助けてやる」

俺はそのまま機の間を抜け前に行く。男が背を向けて扉へ近づくのと同時に俺もその背を追った。

「クルシュ!」

「大丈夫だレオ。すぐに終わらせる」

「あぁ?何を言って................っ!?」

俺は扉が開いた瞬間にリーダー格の男を蹴飛ばす。それと同時に魔を発させた。

――『凍結魔、零度監獄アイスメイデン』

俺が1歩踏み出した足から瞬時に氷が廊下を凍結させ、立っていた男達と倒れたリーダー格の男の首元までを一瞬で凍らせた。

「なっ、なんだ!?」

「か、が...........かねぇ!」

「油斷し過ぎだな。子供であれ敵に背を向けるのは阿呆のやる事だ」

「て、てめぇ........!」

「お前らの上司はどこにいる?」

「そんなの言うわけ.........」

「言わないなら別にいい、もう目星はついているからな。事が終わるまでそこで凍っているといい」

俺が教室を出てとある場所に向かおうとした瞬間、その肩を摑む者がいた。振り返れば、そこには心配そうに俺を見つめるレオがいる。

「どこへ行くんだ?」

「くだらない襲撃に終止符を打ってくるだけだ」

「しかしそんな危険な事は..............」

「悪いなレオ、眠っててくれ」

手をひらひらと振り睡眠魔を発させる。その効力はすぐに聞き始めクラスは直ぐに昏倒して行った。俺の肩を摑んでいたレオの力も弱り始めた。

「クル....... シュ..............」

「手っ取り早く終わらせて必ずお前の元に帰ってくる。約束だ」

それを聞いて安心したのか、今までの抵抗していた気配がスっと無くなり俺に向かって倒れる。それをけ止め抱き抱えて壁に寢かせておいた。さて、向かうとするか。

「.........相変わらず趣味が悪くないか?」

「ほっほっほ、やっぱりバレておったかの」

廊下を歩く途中、白ひげの老人は姿を現した。いつも通りの雰囲気で、なんとも臆してないように見える。

「無事だったんだな」

「あまり學園長を甘く見るでないぞ。それで、クルシュ君や、どうするのかね?」

「元兇を潰しに行く。そうしないと終わりそうにないからな」

「ふむ、どうやらこの件にはリア君が1枚噛んでいるらしいの?」

「あいつは単純に利用されているだけだ。見逃してやれ」

「ふむ、クルシュ君がそう言うなら大丈夫じゃろうな」

「學園長、俺の代わりに他のクラスのやつらを解放してやってくれ。そして解放したら睡眠魔法で眠らせておくといい」

「ふむ、承知した。では健闘を祈るぞ」

その瞬間またも姿は消え去った。なんでこの期に及んであんなに余裕なのかはさて置くか。今は目の前の火のを振り払おう。

校舎を出て塔に向かう。この學園の中央に建つこの塔には魔力供給の役割を擔う施設が最上階にある。おそらくそこを陣取られていることだろう。

螺旋になる階段を一段一段丁寧に上る。飛行魔法を使ってもいいがここは関係者以外立ち止となっているからな。貴重な験だ、ゆっくり登ろうじゃないか。

「さて、割とすぐなものだな」

ある程度上がると大広間に出た。ここを通り過ぎてまた上ると最上階に著く。そうして俺が大広間を通っていこうと踏み出した瞬間、俺の目の前に突如として炎の海が出現した。

「行かせないわよ、クルシュ」

「やれやれ、手厚い歓迎だな。リア」

目の前の炎の海の中心に突如として現れたのは普段の裝いとはまたし違う服裝。全的に黒を基調としたゴシックドレス。彼の白いと黒いドレスはまるでモノトーン基調のようだ。

「驚いたな。お前が帝國に協力しているとは」

「どうやって知ったのかは知らないけど、その通りよ。私は今は帝國の手先、この事件の首謀者の仲間よ」

「母親を人質にして脅されでもしたか?」

俺の言葉にふと目をそらすリア。どうやら當たりらしいな。

「............2週間前、あいつらが私に近づいてきた。協力するなら母親を助ける、って。もちろん斷ろうとしたけど、その場合はお母さんを殺すって言われて........」

容を喋ってもいいということは契約魔法の容は変更されているな。おそらく俺に負ければ死ぬ、という所か。

「それで...........」

「愚かだな。連中がいいように使うお前の母親を助けると思ってるのか?」

「そんなの知ってるわよ!でも!私にはそれに縋るしかなかった!それしか選ぶ道がなかった!」

なんとも可哀想なことだな、それに退路がない分余計にタチが悪い。

「だから、私はあなたを殺さないといけない」

「そうか、じゃあさっさとかかってこい。こちらは準備出來ているぞ」

煽りをれるがリアは乗ってくる様子がない。ふむ、いつものリアらしくないな。

「どうした?」

「ねぇ...........1ついい?」

「そこを通してくれるのか?」

「違うわよ。...........負けた方は勝った方に一生服従。その人の永遠なる奴隷になるの、どうかしら?」

「分からないな、お前は俺を殺すのだろう?そんな約束をして何になる?」

「いいじゃない、最後の頼みよ」

「ふむ、では口約束ではなく契約魔法にしておこう」

俺が発させた契約魔法に、リアは調印した。これにより先述の容が勝った方に適用される。

「さて、かかってこい、リア。叩き潰してやろう」

「もちろんよ。とっくに準備なんてできてるっての!」

瞬間、リアの刻印がオレンジに輝く。前に見た時とは比べにならないくらい魔力が膨れ上がり、嵐のように火花が散り、舞い始める。その中心には覚悟を持ち敵意を向けるが1人。

「最初から全力、手加減なんかしないわ!..............行くわよっ!クルシュ!」

覚悟の咆哮が響き渡り、開戦の合図となった。

『太の手』、昔から変わってないならば長く使いすぎると者の命を奪う。リア、お前はそこまでの覚悟を持っているのだな。..........ならば俺もそれに応えよう、その覚悟に敬意を表そう。

俺は手を広げてできるだけ悪く笑う。その笑みは、その昔魔王と呼ばれた大魔師、アストのものだった。

「さぁ來い!」

直後、激しい炎と防壁がぶつかり合った。

ついにリアとクルシュの対決!だいたい予想していた方もいるでしょう!次回、クルシュの力が存分に発揮される(と思います)!!

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