《能無し刻印使いの最強魔〜とある魔師は來世の世界を哀れみ生きる〜》EP.86 エルフの花魔法
サレーネ・ラグ・ドーラは天才と呼ばれる部類にるであった。生後3年にしてあらゆる言語を覚え、上位までの魔法を無詠唱で使えるような子供で、同年代では敵無しと、そう言われていた。5歳にして王國の剣大會でながらも大人の男に勝ち優勝し、7歳にして聖ニョルズ學園に特待生として首席合格を果たす。
そんな彼が3年生、當時10歳の時、彼に妹ができた。フィオーネ・ラグ・ドーラ、自分が育てられた母親の子供、しっかりとの繋がった妹だ。彼の誕生に、ラグ・ドーラ家は歓喜に溢れた。なんと、フィオーネには彼にしか扱えない『花魔法』という特別な魔法を持って生まれたのだ。そこで、誰もが思ったことだろう、「これは、姉のサレーネ同様に優秀な子供なのだろう」と。周りの期待は集まり、彼を蝕んで行った。毎日の厳しい教育に耐え、でその辛さに折れそうになる彼を、サレーネは見守ることしか出來なかった。周りから多大な評価をける自分が、今の彼にれれば壊れてしまうだろう、そう勝手に思い込み、距離をとっていたのだ。
そうして時は過ぎ、サレーネはその優秀さから王國直屬の宮廷魔道士へと推薦され、彼は17歳で宮廷魔道士となった。仕事となってからの彼の功績は、學生時代にも劣らず、數々の栄花をモノにしていく彼をさらに人々は賞賛する。そうして働くうちに、忙しくなった彼は妹と話す機會も無くなり、同じ家に住みながらも會うことさえ無くなっていた。そんなサレーネの耳に、3年後、フィオーネの噂が屆く。聖ニョルズ學園に首席で學した、彼への告白が耐えない、とてもカッコイイ、等など。
普通ならば、「ああ、頑張ってるんだな」と嬉しく思うだろうが、彼は違った。自分のせいで満足な人生を送れず、ずっと努力の日々、その果は大きいが、ずっと無理をさせてしまっていたという負い目がフィオーネを祝福する言葉を斷ち切っていた。
そんな狀況下で、2人は會ってしまった、今日ここで。だが、どうだろう。自分を庇いながらここまでの傷を負わせた張本人である男を睨むその背は、とても勇ましかった。き日に見た折れそうな彼の姿はどこにもなく、ひたすらに気高く高貴で、そして凜々しく勇ましい彼の背に、サレーネは言葉を失った。だが。
「長しましたね、フィオーネ...........」
と、そんな言葉が自然と出た。単純に長したことを嬉しく思ってでは無い、様々な苦難を、どうやってか乗り越えて、自分の心配を無くしてくれた彼への謝罪と、安心で。
だがそんな當の本人、フィオーネは焦っていた。自にとって姉、サレーネは憧れの存在であり、目指すべき場所でもあった。そんな彼が重傷を負った相手、そんな相手に勝てるのか、と。ましてやそれは神で、今まで相手にしてきた敵とは全く違う。だが、死ねない、死ぬ訳には行かないのだ。しかしその理由については後々語るとしよう。
「先手はそっちに譲ってやるよ、見せてみな?」
「ティアマトッ!!」
リアがんだ直後、風の霊ティアマトがそのに猛々しい炎を纏いながら顎門を開口しエルモラへと突っ込んだ。空中で大発が起こり、炎が渦巻きながらを焼く。が、しかし。
「悪くないねぇ、だがその程度さ」
「なっ........」
発から出てきたのは無償のエルモラだった。には塵ひとつ付いていない。
「ならこれはどうです!『華界昇グアテラーム』!」
フィオーネの背後に巨大な植が地面より這い出でた。その植は約5mはあるかという全長の頂點には蕾が1つ。それは太のを浴びるとゆっくりと花開いた。多數の黃い花弁を主張するその花は、向日葵である。
「くらいなさい!」
その中心に白いエネルギーが集まり、膨張と収を繰り返したそれが一直線にエルモラへ放たれた。余裕の笑みを浮かべるエルモラへ直撃したレーザーが消える頃には、また無傷の彼がいた。
「これも悪くない。まぁ無駄だけどな」
「っ!、どうして..........」
「さぁなぁ?ま、お返しと行こうか!」
「っ!『華界昇グアテラーム』!!」
両手を広げたエルモラの周辺に魔法陣が無規則に出現する。その魔法陣の全てから出されたレーザーが重なり、 『華界昇グアテラーム』のレーザーとぶつかる。が、明らかに威力で優っているはずの 『華界昇グアテラーム』のレーザーはエルモラが撃ったレーザーに押し負け、自のレーザー諸共花に直撃し、消滅する。
「なんですって.......!?」
「大きさが違えば押勝つとでも思ったかよ?甘いぜ?」
「ならっ...........『不なる絶枯草ラビオスルーチェ』!!」
今度はフィオーネを中心に巨大な蔓が生い茂る。その蔓がフィオーネの指示をけてエルモラへと飛來する。
「だから無駄だって..........」
「あたしをお忘れかしらっ!!」
エルモラがさらに上空を見ると、そこには『黃昏のトワイライト・サン』を発させ、極小の太を作り出しているリアが映った。
「『落フォール・サン』っ!!」
「ちぃっ!」
ドゴォォォォォォン!!
強烈な衝撃音が響く。どうやらエルモアは2方向からの衝撃に吹き飛ばされ近くの瓦礫に激突したようだった。
「いっててて..........まさか2方向なんてなぁ。ずるいぜ?」
「まだ終わりませんわよっ!」
しなった蔓が速度を持ってエルモアへ襲いかかる。それを何度か回避しながら逃げるも、何度目かで反応が遅れ蔓がに巻きついた。そのまま左右にエルモアを叩きつけると、上空へとび勢いよく真下へと投げられたエルモアは地面に叩きつけられる。そこに、が注いだ。
「これで燃え盡くされなさいっ!!」
彼の、リアの片手に巨大な太が輝く。表面にはフレアが渦巻き、同時にコロナがうねりを上げる。クルシュとの戦いで使ったリア最大の魔法、『崩星アルマゲドン』はさらにその威力を強め輝いていた。が、しかし。
「確かに、それは無理かもしれねぇなぁ。だけどよ」
地面に叩きつけられたエルモアはニヤリと口を三日月狀に歪めた。直後。
グサッ!!
「........え?」
リアのから無數の剣が生えた。
「『多面マルチダッチ』。どうよ?から剣が生えた想は?」
「かはっ............い........つ..........の間にっ!」
リアを串刺しにした無數のエルモアはその場での粒子として消えると、『崩星アルマゲドン』が消失しリアが真っ逆さまに力なく落ちていく。
「リアさんっ!!!」
真っ逆さまに落ちていくリアをサレーネの治療をしていたはずのミナが強化で抱きとめた。そしてそのまま地面に著地すると無詠唱で『麗の聖域ラオ・シアカーセ』を発する。
「リアさんっ!............リアさんっ!!」
「うっ.........かはっ!..........大、丈夫。...................『は落ちようとまた昇るサルヴァリーネ・ブルームリューゼ』」
力なく発させた魔法はミナの魔法と相まって治癒力を高め、瞬時にの傷を塞いだ。
「いったぁ............危うく死ぬところだったじゃない..............」
「もうし安靜にしててください、貧を起こしてます」
そんなやり取りをするミナとリアにフィオーネは安堵の息をらす。が、それも束の間。
「よそ見の暇なんかあるのかよ?殺り損ねたならてめぇだけでも死んでもらうぞ!」
直後、加速した勢いで蔓を焼き切りながらエルモラが迫ってくる。フィオーネはなんとか新たな蔓を高速で生やしながら抵抗を試みるが、途中から蔓と蔓の間を抜けてくるエルモラに間に合わず、接近を許してしまう。
「っ!!」
「はーい、捕まえた。終わりだ『鏡面世界』」
そう言いながらエルモラがフィオーネの肩にれた瞬間、彼を中心にしてエルモラごと魔法陣が起した。発する白いに照らされながらエルモラは勝ち誇ったような笑みを浮かべていたのだった。
気がつけば、フィオーネは自の姿を映す鏡が上下左右全てにある四角い立方の中にいた。そしてその空中には、エルモラも。
「ここは...............」
「ようこそ『鏡面世界』へ。歓迎してやるよ」
「『不なる絶枯草ラビオスルーチェ』!!」
先ほど同様に巨大な蔓を出そうと試みるが、何も起きなかった。
「無駄だぜ?ここでは一切の魔法が発できない。回復魔法も、召喚魔法も、全てな」
「そんな事っ............」
「有り得るんだよなぁ。だって今さっき見たろ?出來ないんだよ、発がなぁ」
「まぁそれはいい」と一間起き。
「んじゃ、死んでくれ。幸い、溜・ま・っ・た・・があるからよぉ!」
パチンと指を鳴らした瞬間、フィオーネとエルモラの間にありえないほど強大なエネルギーが収束された巨大球が出現した。
「これはっ.........!」
「俺の権能は『吸収』と『凝』。お前達の攻撃をなんのためにけたと思ってんだ?」
得意げに笑いながらなお続ける。
「そしてもうひとつの俺の権能、『凝』はけたダメージをこんなじで倍に出來る。どうよ?驚きだろ?」
フィオーネの脳裏にひとつの言葉が過ぎる。『死』という最悪の言葉が。
(まだ、死にたくなんて...........)
「それにこの世界は俺の『凝』の威力を高めてくれる。こいつ1個でお前を跡形も無く吹き飛ばすことなんか楽勝なんだよ」
(嫌、まだ死にたく............)
願うように黙り込んでしまったフィオーネの反応を全く意に介さず、エルモラはんだ。
「まぁいい、んじゃあ死ね!」
エルモラの指示に従うようにして巨大球は確実にフィオーネへと迫る。
(助けて...........)
――祈るように心の中で呟き
(助けて下さい........)
――懇願するように心の中で呟き
(...........ルイっ!!!)
――かの魔王の名をんだ。
「よくやった、フィオーネ」
果たして祈りが屆いたのか、彼にれる1歩手前で巨大球と鏡で覆われた世界は文字通りガラスが割れたような音をたてながら消滅すると、元の世界へと帰ってきた。祈った相手の聲がした方向をフィオーネが見上げる。そこには、自に背中を向けながら立つジークの姿があった。
「なっ!お前はっ...........!!」
「........ルイっ!!!」
「休んでいろ」
そういうとジークはポンポンとフィオーネの頭に手を置いた。
「お前は、魔王ジークっ!!........どうやって俺の『鏡面世界』を!」
「この國に來る前に予めアストから聞いていたが、どうやら魔法が使えないらしいな?だが..........」
エルモラに向き直るとフッと笑を零し、蔑むように冷たく見下ろす。
「お前の法則ルールに従ってやる必要など俺にはない。...........さて」
そう一間置き。
「3人が世話になったな。今度は俺が相手だ」
恐るるべき彼の魔力が解放された。
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