《能無し刻印使いの最強魔〜とある魔師は來世の世界を哀れみ生きる〜》EP.92 エピローグ〜歪み〜
クルシュの目前にはいささか信じ難い景が広がっていた。片腕を失い、おそらく貧で気を失っているエリル、そしてその片腕が柄を握っているグラディースがし遠くに。神樹に影響は無く、し幹が傷ついた程度で収められている。だがしかし。
「............アリス?」
そこに、アリスの姿はなかった。
あれから三日が経ち、ゼルノワール學園Sクラスは各自が宿舎で各自待機、聖ニョルズ學園も同様の処置が施された。そしてその間に一応のためゼルノワール學園Sクラスは事聴取、検査などが念に実施された。そして1人を覗いて疑いが晴れたその日、月が頂點に昇る頃、彼は目覚めた。
「........あ、れ?」
見つめていたのは木の板目。同時に自分がベッドで仰向けになっていると認識した。おもむろに、自の腕を掲げた。それは、自が切斷されたはずの右腕。やはりと言うべきか、わかっていたと言うべきか、掌を握り、開き、それを數度繰り返すが何も問題はなかった。
「目が覚めたか」
「...........クルシュ」
首をかしたそこに、クルシュがいた。その瞳は、まっすぐとこちらを見下ろし、まるで目覚めるのを待っていただ・け・のように。
「さて、目覚めた頭で悪いがあの時の狀況を説明してくれ。切斷された右腕はミナの泣く姿をお前が思い浮かべたくないと思って早めに治しておいた」
「.......そっか」
それだけ聞くと、エリルは自が見たもの、そして験したことをポツリポツリと語り始めた。
そして數十分後。
「.........なるほど」
「...........ごめん、クルシュ」
「何故謝るんだ?」
「え?だって僕はアリスさんを.........」
「守れなかった、か?」
「....うん」
クルシュの問いにエリルはその顔にを落とした。しかし、當の本人はそんな素振りを見せず、ただ淡々と何事もなかったように告げる。
「別にお前にアリスを任せたつもりは無い。アリスは自分の力が至らず、攫われた、ただそれだけの事だ」
「そんなっ.........」
「戦場ではを守るのも、生き抜くのも全てが自己責任。誰かに守ってもらうという選択肢はない。だから、攫われ、殺されたのなら、そこまでという事だ」
淡々と告げたその言葉が、エリルにとっては殘酷な宣言に聞こえた。そんなこと梅雨も知らず、クルシュはドアノブに手をかけ、止まった。
「.......クルシュ、君は!」
「........ただ」
「え?」
「ただ、アリスは、今のところは生きている。それだけは俺が保証する。それと、お前には明日事聴取や検査があるだろう。適當に誤魔化しておけ」
そう言って、ドアの外に出た。そこには壁を背もたれにしているジークがいた。
「どうだ?」
「エリルの目が覚めた。そして、アリスは拐されたらしい」
「......そうか」
やはり、といった表でジークは目を伏せる。そして再度クルシュの瞳を見た。
「どうする?」
「ん?何がだ?」
「アリスを、助けに行くのか?」
「.........お前もなにか勘違いしているらしいな、ジーク」
クルシュは肩を竦め、先程のエリル同様に淡々と告げた。
「今のところは生きている、それだけは言える。だがな、場所も敵の數もわからない所に生で挑む馬鹿がいるか?」
「..........やはりお前らしい、か」
「リア、ミナ、レオ、フィオーネには明日言う。俺は俺の考えを、はっきりと、な」
無機質な瞳でジークを見てそう言った。そうしてクルシュは廊下の先に続く自分の部屋へ向かって消えていった。
その翌日、取り調べで居ないエリルを覗いた6人は地下図書館へ集まっていた。
「こんな所が學園の地下にあったのか.........私は初耳なんだが?」
「まぁ、元々はで使っていたからな。レオ、他言無用で頼むぞ」
「君が使うのなら安心だろう、そこは守る。.........それで」
「アリスは!?アリスはどうなったのよ!?」
我慢できずに沈黙を破ったのは、リアだった。椅子が倒れる勢いで立ち上がり機にバンッ!と手を叩きつけた。今のところ、アリスは行方不明として扱われている。
「アリスは、攫われたらしい」
そのクルシュの一言が、ジークを覗いた全員を凍りつかせた。信じたくないと、そう言いたげな瞳を各自浮かべている。
「........クルシュさん、あんまり噓は...........」
「噓じゃない、これは現地にいたエリルから聞いたものだ。ほぼ確定と見ていい」
「そんなっ!じゃあ助けに行かなきゃ!」
「落ち著け、リア」
「これが落ち著いていられる事態だと思うの!?なんでこんな時もあんたは的にならないの!?」
まるでその場の気持ちを代弁をするかの如くリアが聲を荒らげた。だがそこで、レオが割ってはいる。
「.......リア、君もあの慘劇を見ただろう。おそらく、アリスは............」
「アリスはまだ死んでないわよっ!絶対に!」
レオの懸念を消し去るように再びリアが聲を荒らげた。その目は走っている。
「死んでなんか...........」
「リア」
認めたくないと、表が語る。それを一言でクルシュが制止した。
「連れていかれたのは、アリスの責任だ。それを俺達が拭き取ることは無い」
「..........じゃあ、アリスを助けに行かないっていうの?」
「死んでるなら助けに行く価値はない。死んでるならな」
「っ!クルシュ!」
パチンっ!!
乾いた音が響いた。クルシュの頬は赤くなっており、叩いた方向を向いたままかない。
「見損なったわ!あんたなら否定してくれると信じてた!信じてたのに.........」
「俺に何を期待してたんだ?リア。お前達は1回戦場を験したはずだ。そこで何を見た?この世は理不盡だ、であろうと、まだ10歳の子供であろうと、関係ない。だから、覚悟は出來てると思っていたんだが?」
「............あんたなんか」
――拳をが垂れるほど握りしめ。
「あんたなんか」
――目の端に涙を浮かべ。
「大っ嫌い!!」
「リアさん!!」
そのまま地下図書館を出ていってしまった。そうしてその後をミナが追っていく。その場にはなんとも言い難い雰囲気が殘った。いつもの雰囲気とは全く違うその場に圧倒されて黙っていたフィオーネがつぶやく。
「え、えっと..........ど、どうするんですの?あれ」
「........クルシュ、何故アリスが今・は・生きていることを言わなかった?」
沈黙を破ったフィオーネにジークが続き、3人の視線がクルシュへと突き刺さる。すると、し溜息をつきながら頭を掻いた。
「..........リアが俺の説明を聞かなかっただけだ」
「それを言い訳と言うんだぞ、クルシュ。生きているのならちゃんとそう言ってしい。し言葉が足りないところ、それは君の悪い癖だぞ」
レオが諭すようにクルシュの頭をでた。
全員がそれ以上のことを言うことはなく、その場では解散となった。今・の・所・アリスは生きている、それだけの事実を殘して。
あ、あけましておめでとうございまひゅ...........
くっそー!間に合わなかったー!
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