《能無し刻印使いの最強魔〜とある魔師は來世の世界を哀れみ生きる〜》EP.102 魔師はきっかけを摑む
翌日、地下図書館に6人が集まっていた。
「そういえば6人で集まるのは久しぶりかな?」
「そうですわね。わたくしもこちらに來るのはあの日以來二回目だったと思います」
「で、なんのために呼んだのよ?クルシュ」
そうしてリアの質問でジーク以外の全員の視線がクルシュへと向く。瞑目していたクルシュはゆっくりと瞳を開いて話した。
「ついにアリスの居場所が分かった」
その言葉に、全員の表が強ばる。やっと求めていた報の一端が摑めた、それはすぐさまにでも聞きたい容だった。
「アリスさんは今どこにいるんだい?」
「帝國だ」
「なっ............帝國ですって!?」
クルシュの言葉にリアが聲を荒らげる。そしてそのまま苦い顔をして何かを思い出すように目を逸らした。
「実は昨日、俺とクルシュは學園長に呼び出されてな。そこで學園長から聞いた」
「でもなぜ學園長が知っていたんですの?」
「學園長が帝國側の人間だった、ってことだよね?」
「ああ。正確には奴は人形でそれを背後にいた神がったいたんだがな」
「............おかしいですね。學園長になるまでの過程で必ず教師人生を歩むはずです。長い経験から正しい選択をして生徒を導くために。特にうちの國はそれを重視しているんですよ。そして學園長に上がる段階でも魔力検査などは厳しい基準を敷いているはずなのですが..........」
「傀儡神は自分が所有する人形を俺達人間と同様の段階にまでできる。そこをつかれたんだろうな」
「じゃあ一何年前からこの國に..........」
想像したくないとミナが頭を振ってその懸念を切り捨てた。
「じゃあクルシュ、今すぐにでも助けに............」
「悪いが今は行けない」
「なんでよっ!?」
「傀儡神は戦力を拡大したとも言っていた。俺も助けに行きたいのは同じだが最悪、數で押し切られる可能もある」
「そして奴は近々この國と帝國が2度目の戦爭を起こすと言っていた。それは定かではないがここまで來たのなら正しいだろう」
「だからリア、それまでもうし待つ。俺も々と用意しなければならないからな」
「............分かったわよ」
リアはし不満げにそう言う。一方でそれを聞いていたミナは驚いて目を見開いた。それに気づいた全員の視線に、ぽつりぽつりと話すしだした。
「............実は、最近お父様が帝國へと戦爭をけしかけると話していたのを耳にしました」
「まさか。ドンピシャだね」
「ミナ、それっていつよ?」
「予定では1ヶ月後と...........」
「なるほど、妥當な數字だね」
「なんで傀儡神はそんなことまで知っていたんですか...............もう私王宮歩きたくないですよ..........」
報セキュリティの低さとそれを認知する遅さに顔を覆いたくなる気持ちでミナは俯いた。それをエリルがめる。
「とりあえず、俺達の目的はアリスの救出だ」
「戦爭に乗じてアリスさんを助け出すってことかな?」
「それもそうだが、帝國には恐らく神々が居る。これまでの傾向からしても平然と魔族もいるだろう。それにエリルは個人的な借りがあるだろう?」
「まぁ、そうだね」
「じゃあどうするんですの?」
「國が帝國を制圧する気なら俺達もそれに乗ればいい。悩みの種は早めに摘み取るのが鉄則だからな」
「つまり、アリスさんの救出はもちろんですが、個人的には帝國を潰しておきたいということですか?」
「まぁそうなるな。それにジークも帝國に用があるだろう?」
「ああ、當然だ。それに神だけは生かしてはおけぬ」
そんな話をしていた時だった。口の魔法陣がり、4人の人影が映る。そこに転移してきたのは、レオ、そしてルイズ、ユリア、エリカの『3強』だった。
「へぇ、こんなとこがあったんだなぁ」
「広い...............!」
「この學園に通っていた頃はこんなところ知りませんでしたけどね」
各々が言葉を述べて、一歩踏み出す。そして當然ながら、まず最初に6人と3人は視線があった。
「ん?............あれ?お前ら。ってミナ姫様!?」
「あらあらまぁまぁ。こんな所にSクラスの方々が。それにミナ姫様.............と、その制服と容姿からして聖ニョルズの學生さんですねぇ」
「む。この前の生意気な子供」
「................すまないクルシュ、押し切られた」
また各々が反応を示している後で、申し訳なさそうにレオがそう言った。
「おいおい、ミナ姫様にこの前ルイズをコテンパンにしたやつに聖ニョルズ學園のエルフになんのドリームチームだぁ?こいつはよ〜」
「.........やれやれ。ようこそ、『3強』。ここは俺達が使っている元ゼルノワール學園の地下図書館だ。今は外界と隔離して俺たちの第2の家のようなものになっている」
「だからさっきの移用の転移魔法陣という訳ですか.............。よく考えたものですね」
「でもそうなればここは學園所持のはず。あなたがしたことは盜みと同じでは?」
「盜みとは人聞きが悪い。今は綺麗だが発見當時は目も當てられないほど汚れていてな。その時點で何百年の年月が経ったと語っていた。その時點で人々から忘れ去られた場所だ、発見者がどうしようと人々が忘れていたのだから何をされても文句は言えないだろう。特に悪用している訳でもない、単純に放課後の溜まり場として使っているだけだ」
そうしてさらにクルシュは続ける。
「それに、だ。実質的な王國の警邏も務めている騎士団の団長が何も言わないならそれは許可と取っているが?」
「おいおいレオ、マジかよ?」
「..........私の弟ですので。それに跡を発掘した時と同じ原理で所有権は既に誰のものでもないので..............」
「こいつっ!にとことん甘いぞ!!」
エリカが突っ込む橫で、ユリアが進んでいく。そしてジークの前でその瞳を見下ろすように止まった。
「あなた、私達を見たことがありますか?」
「あるぞ。何度もな」
「答えなさい、返答次第では首を即落とします。.............あなたは魔族ですか?」
「ああ」
「あなたは私達をどこで見ましたか?」
「城で」
「..............最後です。あなたは魔王ですか?」
ユリアのその言葉にエリカとルイズに張が走る。
「ああ。俺が魔王ジークだ。久しぶりだな」
ジークは質問を肯定した。その瞳が、その口が、その雰囲気が、自分が全魔族の頂點である魔王だと、そう言った。
剎那、2つの白い閃がジークの首へ吸い込まれるようにして放たれた。だがしかし、帰ってきたのはが絶たれる音ではなく、まるで金屬と金屬が打ち合ったようない音だった。
「なっ............」
「ふむ、さすがは『刀姫』。だが軽いな」
「っ.........!!」
ユリアが反的に距離を取った。睨むユリアに対してジークは平然と彼を見ていた。
「...........驚きましたね、私の抜刀を本當に首でけ止めるなんて」
「首は鉄よりいと自負しているのでな。それにこの程度で首を落とされては神となど戦えぬ」
小さく舌打ちするユリアにジークはフッと笑みを作った。が、その時。
「悪いが喧嘩なら外でしてくれ。ここは戦闘をする場所じゃない。それに魔導書が吹き飛びでもしたらどうするんだ」
そう言ってクルシュが二人の間に結界をれた。
「おいおい何言ってんだよレオの弟!頭大丈夫か!?こいつを倒さねーとあたし達は死ぬんだぞ!?」
「お前こそ頭は大丈夫か?俺達は先程まで一緒にいただろう。俺達になんの危険も及ぼされてないことは見ればわかるはずだが?」
「まず、そうね。『3強』様達は相手取る敵を間違ってるわ」
「そうですわ。なくともルイはわたくしのお姉様を助けてくれましたもの」
「一何を..............レオ?」
3人の訝しげな表を向けられたクルシュ達の方へとその3人を抜けてレオが向かう。そしてクルシュの頭にぽんと手を置く。
「そうだな、とりあえずクルシュ。今の狀況を話しておいた方がいいだろう。初めてなのだから混するのは無理もないしな」
「ああ、分かった」
レオの一言にクルシュが3人に著席を促した。その席に恐る恐る座る3人を確認してクルシュは全てを語った。
今の現狀、神、魔族、ジークの目的、アリスの奪還、帝國との草原での第一次戦爭、アレフガルドでの出來事。全てを話終えた時、信じられないと言った表を3人は浮かべていた。
「............おいおい、神?なんだよそれ」
「それに...........拐ですって?」
「自分の嫁探し?」
「「信じられない(ぜ)(ないです)」」
「あ、そうそう。僕も実はね〜」
3人が聲を揃えて懐疑を口にする中、機から立ち上がったエリルがし広い所に行く。そしてそのままくるりとバク転をすると、今度はそのをフェンリルへと変化させた。
「まぁ、神狼こういうことなんだよね」
「「..............」」
もはや言うことも無いと、その表が固まった。そして3人同時に頭を抱えた。別に頭痛がしたとか恥に悶えているとかではない。単に現実を見られないのである。たったひとつ、シンプルなのである。
「まぁ、最初は私も有り得ませんでしたよ。でもまぁ、そのうち慣れるんで」
苦笑いしながらそう言ったレオにユリアがゆっくりと頭を上げた。
「.............確かに、この場において全員が無事なのは認めましょう。そしてフェンリルがここにいる事も看過できませんが、本當に今更のようですね。王國を守る者として、形だけは認めておきます。ですが、もし妙な真似をするようでしたら、斬りますからね」
「それでよい。まぁお前達3人の懸念は杞憂に終わるだろうがな」
鋭い視線で、もし何かあるならば殺すとハッキリ宣言するユリア。それを軽い口調でジークは答えた。
「で、レオ。まさかこのためだけにここに來たのか.........?」
「一応、學園の案でもあったんだが手間が省けたな。言う事があった」
そう言うとレオは靜かに椅子へと著席する。そして神妙な雰囲気を持って口を開いた。
「我がリンドハイム王國は、アルキメデス帝國を陥落させる事を決定した」
それは、クルシュ達にとっては待ちんでいたきっかけ。キリシアの予言であり、ミナの父が話していた事。彼ら6人の顔が真剣なものに変わった。
「..............あれ?あたしらなんか蚊帳の外になってねーか?」
...........................雰囲気的に外野になっていた『3強』を除いて。
ついに持ち上がったアリス救出のきっかけ。彼らがアリスと再開するのも近い..................はずっ!!
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