先に導を全部済ませようと思います。

クルシュ達が戦闘にった頃、塔へ侵したエリカとユリアは明な階段を響きのいい音を奏でながら歩いていた。

「..............さっきから敵が1匹たりとも出ねぇじゃねぇか！！」

エリカの怒聲がやけに明瞭に塔で反したかと思うと、スパーン！と擬音が見えそうな歯切れのいい音を立てて、エリカの頭をユリアが自の耳を片手で抑えつつもう片方の手刀で毆った。

「痛ってぇな！！？」

「急に大きな聲を出さないでください。..........あいたた、耳が」

敵地のど真ん中だと言うのにある意味いつも通りな2人はやはりその場數による慣れ故か、はたまた敵が見えない狀況による油斷故か。だが彼達はいつも通りながらも最速で武を取り出せる構えを敷いている。故に前者であろう。

「........それにしても殺風景ですね」

「さっきから階段登るだけだからな。つまんねぇの」

「文句を言っていても仕方ありません。..........ですが、ここまでくると妙に不気味です」

「おかしいよな。外にあれだけ雑魚配置しときながら中に1匹も配置しねぇなんてことは無いはずだ」

「となると、或いは..........」

カチッ

ユリアが踏んだ明な階段が音を立てた。

剎那、おびただしいほどの魔法陣がだんだんと見えてきていた天井付近に現れ、その中から様々な種類の魔獣が出現する。

「こういうことですね」

「やっぱりそうか。見え見えだよなぁ」

「さっきまで喚いてたのはどこの誰ですか」

「さぁ？誰だろうなぁ？。なくともあたしじゃねーさ」

互いに冗談を言いながら、獲を取り出し構える。エリカはヴェルディンを戦斧モードに、ユリアは刀を1本抜いて、その表は笑っていた。

「「さぁ、遊ぼうぜ？(遊びましょう？)」」

直後、階段を砕するほどの威力を持って2人は空中へ飛び出すと、そのまま魔獣の大群へ真っ向から突貫していく。數秒後、豪快に薙ぎ払われるヴェルディンと鋭く舞う刀。エリカの一撃により敵の半數が一瞬で命を散らし、ユリアの刀が仕留め損ねた巨大な魔獣などを細切れにする。

故に彼達に死角はない。互いが互いをカバーする故に彼達のには傷一つ付かず、一方的に敵が散っていく。

「おらおらどうした！もっとこいよ！」

カシュン！と戦鎚に変形したヴェルディンを空中にてフルスイング。その一撃に當たる魔獣は瞬間威力何トンという暴力にを散させ、當たらずとも周りにいた魔獣は余波に吹き飛ばされ壁にぶつかった衝撃で塊に還る。

「エリカっ！どきなさい！」

「っ.......！？おいおいマジかよ！」

ユリアの聲が響く。エリカがユリアの方向を見た途端にその顔を青ざめさせ、急降下で階段に著地した。それを確認したユリアが走っていた壁を蹴り大群の中心に躍り出る。

「抜刀『天地雷鳴』！」

剎那、納刀していた刀に稲妻が迸り抜き放たれる。上下逆さになった視界で剣閃が走ると、重力に従って著地したユリアがチン、と歯切れのいい音を響かせて納刀した瞬間、その空間に存在した全ての魔獣が飛沫を撒き散らし絶命した。

抜刀『天地雷鳴』。自を纏雷で強化し、雷が落ちたように一瞬で敵を切り刻む技である。纏雷はクルシュの改造魔である『雷閃魔』と同じように金の刻印で生可能な雷を使用する。だがクルシュのように全に纏うのではなく腕に纏うため髪が逆立つようなことは無い。

そんなユリアにゆっくりと歩いて近づいてきたエリカはしつまらなさそうな顔をしている。

「あっという間に終わらせやがって.........」

「敵がこれだけとは限りません。余計な消耗は避けるべきですから」

「あたしがこんぐらいじゃ疲れねぇの知ってるだろ？」

「それでもです」

「チッ...........つまんねーの！」

ヴェルディンを短棒に戻したエリカは両手を頭の後ろに回し歩き始め、その後に苦笑しながらユリアが続く。

數分後、景が変わらない塔の天井口に到達した2人は、ゆっくりとその扉を開く。瞬間、先程までは全くじることすら無かった殺気が、彼達に流れ込んできた。必然的に表が引き締まる。2人はそのまま部屋部、中心に立っている男に向けて鋭い視線を送った。

「奴らが來ると思っていたが、ふむ。これまた面白い」

「何者です？敵ですか」

「然り。私はこの場を守るように命じられた神。セリギウス」

「.......なるほど、あなたがクルシュが言っていた"神"という存在ですか」

「然り、私は神だ。この世界の人間は大して揺しないようだな」

そんなわけはない。実際に彼達の第六が訃げる、「今まで戦ってきたどの敵よりも強い」と。ただそれを外に表さないだけだ。流石は王國最強を冠す者、という事だろうか。

聲音は震えない。しかし実際に神というものを目の當たりにして筋がしだけ直しているのは自覚している。だがそんな中でもエリカは

――嗤っていた。

釣り上げた目に狂気が走り、犬歯を剝き出しにして口を釣り上げ嗤っている。心底楽しそうに、対等以上の好敵手に出會ったと心底嬉しそうに。元々エリカは好戦的である。喧嘩があれば止めるどころか割ってるし総合的に勝るユリアに何度も何度も戦闘を挑む。自分が負けようともお構い無しにまた再戦を挑み、勝ったとしても奢らずに次の相手を探す。思えばユリアは彼が絶に打ちひしがれる姿を見た事がない。おそらく彼は絶という言葉を知らないのだろう。勝てないと諦めるのではなく、戦えると喜ぶのだろう。

強い敵を貪に探すその姿、それは戦場におく戦闘狂である。実際、現に圧倒的力を目の前にして冷や汗ひとつ流すことなく獲に手をばす。いつでも飛び出せるようにその勢は低く、會話はユリアに任せている。つまり、「この敵はあたしがやる」と、無言でユリアに語っているのだ。その姿に再度心しながら、ユリアはゆっくりと視線をセリギウスに向けた。

「邪魔をするのであれば倒します」

「ほう？」

「私達の目的はこの帝國の陥落、戦爭に勝利することです。その障害になるのであれば、戦する他ありません」

「ふむ、なるほど。私は詳細を知らされていないが、ここを守るように命じられた。ならば戦う他あるまいな」

セリギウスが臨戦態勢を取った。

「........質問ですが、あなたは誰から命じられたのです？。神である以上あなたは全種族の頂點に君臨する存在。あなたの上に更に位の高い神がいるというのですか？」

「然り、と言おう。しかしそう簡単に名前は明かさん」

「そうですか。ですがあなたの上がいるとわかっただけでもこちらとしては収穫です」

「何の意味をすのかは知らないが、託はもういいだろう。始めようか」

セリギウスの雰囲気が一気に変わる。息が詰まるように重い、見えない重圧が2人のにのしかかった。

「............ユリア」

「ええ、分かっていますよ」

剎那、ついにエリカがき出した。床を蹴り上げ、亀裂を刻みながらセリギウス向かってカシュン！と音を立てて戦斧に変形したヴェルディンを叩きつけた。が、それをセリギウスは両腕をクロスさせてけ止める。

「ユリア！！」

「あとは頼みましたよ！！」

引き付けていたエリカがぶ2秒後には既にユリアは背後の階段に消えていた。セリギウスは呆れたように口を開いた。

「まさか神相手に並の人間が一人で挑むとはな」

「うっせ。あたしの一撃を平然と両腕でけ止めやがって。普通そのままぶった斬られてんぞ」

「當然だ。貴公らと我らではの作りが違う」

「ハハっ..........そうかよ。................安心したぜ。つまりは多荒くても簡単には死なねぇってことだよなぁ？」

「っ！？」

直後、け止めていた戦斧が橫から迫り、そのままセリギウスを壁まで吹き飛ばした。壁に亀裂が走り激しくその神が背中を打ち付けるが、何事も無かったような顔で床に著地した。

「ひっさびさに楽しめそうだからさ....................簡単に死ぬんじゃねぇぞ？」

「ふむ、神に対して見上げた度量よ。それはこちらのセリフではあるんだがな？」

そう言って睨み付けたセリギウスに視線を合わせるエリカの目は飢えたケモノののように獰猛で、ギラついている。まさに形容するならば、一頭の獅子であった。

一方、ユリアは背後のエリカを信じて一方通行の階段を駆け上がっていた。

おそらく彼ならば大丈夫だろう、あそこまで獰猛な彼は久しぶりに見た。必ず勝ってくれるだろう、と。彼を信じて、余計な懸念を消し去って。

「ふーん、俺の相手はお前か」

駆け上がった階段の先は、先ほどと同じような開けた空間で、妙に軽い聲が頭上から降りかかった。見ると、男が空中に浮遊していた。そして酷くつまらなさそうな表をしていた。

「ちっ、あの化けみたいな魔王に復讐してやろうと意気揚々に待ち構えてたんだがなぁ」

「魔王...........ジークと戦ったことがあると？」

「ああ。まぁ結果はお察しの通りボロ負けだがよ。...............はぁ、相手が大して骨のないか」

「あらあら、だからといって甘く見ていると足下掬いますよ？」

「はっ、神相手にそんなことできるか？そんな大口叩いて負けたヤツを知ってるぜ？」

剎那、男の足下の空間がず・れ・た・。同時に浮遊を無くしたために男が地面に降り立った。

「...........へぇ？」

「今のはほんの挨拶程度です。あなたの足元を文字通り掬いました、切るという形で」

抜刀した瞬間は男には見えなかった。つまりはそれほどの速度で一瞬のうちに刀を振るったと、そういう事だ。その事実に、男の表が変化した。

「面白い蕓當をすんじゃねぇか、」

「という名前ではありません。ユリア・ルーゲルダです」

「ああ、あれか。王國最強とか呼ばれてるやつの1人か。これは失禮したなぁ。俺は鏡映神エルモラだ。お前が下から登ってきたなら俺の前にもう一柱いたはずだが、セリギウスはどうした？」

「現在私の仲間が戦中です」

「ということは地上から侵してきた2人のうちのもう1人か.........」

「まさか見ていたのですか？」

「塔にるところまではな。俺に屆くのはそこまでだ」

「まぁそんなことは置いといて」とエルモラは一間置く。

「當然だが俺を倒さねぇとこの先には行かせねぇぜ？」

「承知しています。だからこそ切りますよ」

「上等だ。あの魔王をぶっ殺す前にてめぇで準備運してやるよ！」

抜刀したユリアとエルモラ、同時に床を蹴った。

ついに全ての戦いの幕が上がった。

どうも作者さんです。お気にり600人ありがとうございます。これからも進して參りますので、ご読の程、よろしくお願い致しますね。