《能無し刻印使いの最強魔〜とある魔師は來世の世界を哀れみ生きる〜》EP.126 孤軍天使の覚悟
満月の夜空に、人影が舞う。漆黒の翼が空を切り、恐るべき魔獣達の懐へと突進して行った。同時に、著地點の周辺に居た魔獣達が一瞬として塊と化す。
急な襲撃に、魔獣の群れは反応がひとつ遅れた。故にその刃は必滅の一刀として魔獣達を襲う。だがその手數にも限りはある。
(飛び込んだはいいけど........やっぱり手數じゃ向こうが上.........!!)
心舌打ちしたアリスはまたも飛翔する。眼下に捉えたのは先程までアリスがいた所に群がる獣達。彼の背面にのような魔法陣が浮かび上がった。
「『殲滅天使エインヘリアル』ッ!!」
魔法陣から出でたのは黒に変化した天騎士達。突貫の構えのまま魔の軍勢に突進して行った。そして、戦が始まる。屠った數で言えばまだ50くらいだろう、一気に天空騎士目掛けて魔獣達が群がり始める。強力な召喚魔法だとしても、多勢に無勢という言葉のように全には勝てない。最も、クルシュのような圧倒的力があれば話は別なのだが。
魔獣が群がり、100召喚された天空騎士の半數がの粒子として消えてしまった。當然、これだけで抑えられるなどとアリス自も思っていない。しかし、あまりにも統制の取れたきが魔獣に見て取れた。その違和を探りながらも、目の前の脅威に向けて次の手を放つ。
「これならどう!?『戒霜の銀彗アルテシア・メザー』!」
彼の手に現れたのは銀の魔法陣。これは熾天剣と呼ばれるリューネの固有魔法、『銀穿魔法』。放たれた魔法は、まるで雨が降る如く、弾丸の応酬として降り注ぐ。その攻撃を防ぐ知能、能力が魔獣にある訳もなく、上空から降り注いだ必死の暴力にただ命を散らす。そしてアリスはさらに魔法を使用する。つまりは二重詠唱ダブルキャスト、クルシュですら嫌った方法だ。當然出來るかなんて確証はなく、またできたとして功するかも分からない。
「確か.........こう!『銀海慟哭景クリセア・ジュゼル』!!」
しかしここに居るのはかの魔師さえも認めた努力の天才。見様見真似ですら彼が実行すれば必ず功へう。
銀の魔法陣が4つ彼の前に出現すると、その4つから銀のが溢れ出し、空中で人ほどの大きさの集合が現れた。するとそれは地面に落ちて辺り一面に広がり始める。彼の目視圏はもちろんのこと、その先へ、さらにその先へ。やがて限界點に達し、今度はズブズブと魔獣たちを、木々を、その範囲にある地面以外全てを銀が飲み込んで行った。しかしそれでも數にしては1000減ったかどうか。直ぐに後続の魔獣が溢れ出す。この銀は一度きりのため、連続使用には何度も使う必要がある。當然彼はクルシュではない。そのに連続使用するだけの魔力など殘っているはずもなく。
「はぁ........はぁ。まだ、こんなに?」
一面、見る限りの黒景。一萬というその數は伊達ではないという事だ。この狀態で、アリスの魔力は魔法を殘り數回程度使用できるのみ。絶的だった、勝算などどこにもなかった。
だがしかし、彼は諦めない。ここで止めなければ誰が止めるのか、誰が村を守るのか、誰が大切な故郷を守るのか。アリスはそう言い聞かせて自分をい立たせる。孤軍闘、は更に魔法を放ち続ける。
魔法を放ち、魔獣を屠り、地面がまた埋め盡くされる。その繰り返しを數回、自の限界まで魔法を移しながら放ち続けた。魔力欠乏癥になっているにも限らず、その魔法が途切れることは無く。だからだろう、その反応が遅れたのは。
「あがっ.............あああああああああああああぁぁぁ!!」
"何か"が彼の背中に著弾しその全を切り裂いた。漆黒の羽にも深い切り傷がり、背中、腕、首、足、その華奢なの至る所にも同様の傷が。魔力欠乏癥に加え、ここまでの深刻なダメージ、ついに彼は頭から落ちた。
何とかまだ木が生えている部分に落ちたため木々がクッションとなったが、落ちた場所が悪かった。
「うっ..........く。.........!!?」
見上げた先にいたのは、オーク。豚鼻から鼻息が荒く噴出され、さらにアリスを見て舌なめずりをした。それは2年前、自分を攫ったトラウマの元兇。その姿を見て、固まり、思考が停止して、次に心臓が跳ね上がり、過呼吸気味に荒く呼吸を繰り返す。そんな彼に構うことなく、ジリジリとオークはその距離を詰めてくる。
「噓.........いや...........いやぁ.........やめて、こないでぇ......」
の燈らない瞳でそれ以上下がることの無い丸太を背に力なく後ろへ下がろうとする。足は力なく地面をり、手はわなわなと震えるばかり。
『アリス!しっかりしなさい!剣を取って!早く!!』
「いやぁぁ!」
『アリス!!』
リューネの呼びかけにも、現実から目を背けるように耳を貸さない。聲は屆かず、狀況は絶的。そのまま終幕するかに思えた、その時。
「やれやれ、全く。手がかかる」
アリスのを包み込んだ、優しい。それはあの時、2年前と同じ防魔法。剎那、隕石が降り注いだかのように上空から激しい魔法弾が飛來した。その全てが魔獣を一瞬にして無へと返していく。降り注ぐこと十數秒、上空からゆっくりとあの日のように降りてきたのは、クルシュだった。
「まさか2年前と同じような狀況が來るとはな。デジャヴか?」
「クルシュ君...........」
ぽつりと呟いたアリスを他所に、クルシュは目の前で死んでいるオークの首を切り取り、アリスの眼前に突き出した。
「ひっ!」
「お前のトラウマはお前自のものだ。俺がどうこうできる問題じゃない。だがな、克服を助けてやることぐらいはできる。よく見ろ、目を背けるな。この先こんな狀況がないとも限らない。その度にお前はこんな狀態になるのか?次は俺が助けてやれるともわからないぞ?」
クルシュがそう話しても、アリスは固く目をつぶったまま開かない。その様子に、クルシュはため息をついて。
「アリス、俺の顔をよく見ろ」
するとゆっくりその瞳が開かれて、クルシュの方へと向いた。
「じゃあこれだ」
そのままオークの首を突き出した。アリスは目を見開いて固まるも、今度は目を瞑るまでは行かず。
「どうだ?」
「マ、マシ.........かな?」
「別に怖くも何も無いだろう。お前はこいつ以上の強敵を相手にしてきたはずだぞ?」
彼の脳裏を過った數々の戦闘。魔族、対人、神。どれも比べるまでもない強敵達。それを想像して、次にオークを見た瞬間、彼の目にが燈った。
「なんともないだろ?」
「うん。ありがとう」
2年前のトラウマよりも、それ以上の恐怖を彼は知った。故に目の前のものは"何ともないもの"として映る。そのトラウマは、消え去った。
アリスのトラウマへの瞬間的な荒治療も束の間、クルシュ達の周りに魔獣が集まってきた。いくらクルシュの魔でも、広範囲に千と広がる魔獣達を殲滅するのは不可能だった。いや、厳には可能だが、アリスの救出、それだけが重要な狀態では使う意味がなかったのだろう。故に二つの意味でため息をついた。
「やれやれ、まだこんなに居るのか。帰って寢られなくなったらどう責任を取ってくれるつもりだ..........」
「クルシュ君.......?」
「それにアリス、お前もお前だ。魔力欠乏癥になってまで魔法を使えばどうなるかぐらいわかっているだろう。勇敢と無謀は違うんだぞ?」
「ご、ごめんなさい...........」
通常なら詰みのこの狀態で、クルシュは余裕で會話を続ける。それは強者故か、それとも彼にとってこの程度、取るに足らない相手なのか。恐らくそれはどちらもだろう。威嚇していた魔獣のうち狼に似た魔獣が數匹、クルシュに向かって飛び出した。しかし影から姿が顕になった時にはもうその首とは泣き別れ、無殘に地面へ突撃する結果を殘す。
「邪魔だ、雑魚。狩られる側がどちらか考えろ」
アリスが見た彼の瞳には、どこまでも冷たいが籠っているように思えた。先程発したその聲にも、が籠っていない。
「アリス」
「ひゃ、ひゃい!」
「.......?、まぁいい。飛ぶぞ、捕まれ。あと、天使化も解いておけ」
彼の威圧に気圧され咄嗟に反応出來ず、呂律の回らない返事をしたアリス。それを気にすることなくクルシュは彼を抱き上げた。発するのは『転移魔』、淡いが彼らを包み込み次の瞬間には別の景が映った。
「あれ?ここは.........」
「村だ。戻ってきた」
転移したのは、村の避難所へ続く道の近く。そこには示し合わせたかのようにレオがいた。
「アリス!.......こんなになるまで無茶を。何を考えているんだ君は!」
「れ、レオさん.........その、えっと」
「まぁいい、説教は後だ。........クルシュ、來てくれたんだな」
「寢ていようが寢ていまいが、俺がお前たちに渡した『念話の寶珠』は嫌でも対象者の耳に屆く。それにここは大事な場所だ、駆けつけない訳がない」
そう言いながらクルシュは森の方角をちらりとみて、レオにアリスを引き渡した。その瞳に殺意が籠っているのをレオはひしひしとじながら。
「魔力欠乏癥を起こしている。その狀態で幾分か魔法も撃ったらしい。おまけに全裂傷でその狀態だ。背中の傷は特に深い。俺が回復させてやれば早い話だが、まぁ本人の意識もしっかりとしているからな、急いで手當してやってくれ」
「分かった」
「............やれやれ、本當に。つまらない後処理を任せてくれる」
どこか怒気を孕んだ聲で最後に小さくそう吐き捨てたのを聞いていたのはおそらく本人だけだろう。それを最後にクルシュはその場から消えた。
怒りの矛先は魔獣へと。
無雙............無雙なのか?これ。まぁいいや(投げやり)
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