《自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十數年酷使したはいつのまにか最強になっていたようです〜》最終話:幸せなんて人それぞれだ。自分の命をかけてでも俺の幸せは守りたい。
「ありが……とう……」
まだ禮を言うのは早い。
思い出せ。
じーさんはなんと言ってた?
『ククク……。もうコアを破壊するしかない。そうすれば全ての力は霧散するぞ?』
そうだ。コアの破壊だ。
今リムを苦しめている力を霧散させる。
そのためにはコアの破壊が必須だ!
『コアを破壊すれば再生は不可能じゃ……そして……いやお主には……無理じゃな』
なぜじーさんは優しい顔に戻った?
そして……の続きはなんだ?
俺に託したんじゃないのか?
俺には無理でも、他に方法があるんじゃないか?
『萬が一……生き返せるなら……リムを頼むぞ……』
そうだ。
生き返せられればリムは戻るかもしれない。
いや、戻るんだ。
じゃなきゃじーさんが俺に話した意味はない!
「……まだだ。まだ終わってない!!」
リムのにあるコアを破壊した。
覆っていた黒いオーラは全て消え、リムだけになっている。
ここだ。このタイミングしかない。
まだ微かに意思がある今だけがチャンスなんだ。
俺はリムに突き刺さっていた拳をさらに握りしめた。
手に握っていたのは、初めてリムと出會った場所に生えていた薬エリクサーの元。
常人に絞った原のまま使えば、過剰回復になってしまう危険。
だけどな。死にゆく者に使うにはこれしかない。
ましてやリムは神だろ?
この回復に耐えて戻ってこい!
拳をさらに強く握りしめ、薬エリクサーの元からが絞り出される。
たった一滴。それでも効果は絶大だ。
その元をリムのに置き腕を引っ込める。
しの間った弊害か、俺の手はボロボロだ。
「リム……」
リムのお腹から何本もの金にる線が飛び出てくる。
それが全を包み込むようにしてリムを空中に浮かせた。
その間リムの表は変わらない。
著ていた服は全て溶けて、がわになっている。
俺にできることは……。
「リム!戻ってこい!リム!!」
聲をかけることだけだ。
しでも、ほんのしでも可能があるなら賭けたい。
俺は必死にリムの名前をび続けた。
が落ち著いて行く。
だがリムの表に変化はない。
リムを包んでいたが収束を始め、空中からゆっくりと下がってきた。
俺は羽織っていたマントを広げ、リムを包むようにキャッチする。
大人型だ。リムのに耳を當てて確認する。
いている。
リムは死んでいない!生きている!
「リム!リム!!」
「…………ぁ」
「リム!俺だ!ケイドだ!わかるか!?」
「ケ……イ……ド……?」
薄っすらと目を開けて俺を見た。
生きてる。リムは生きてる!
俺は嬉しさのあまり涙が流れ始めた。
「リム……リム!よかった……本當によかった……」
「ケイド……泣いてるの?」
「あ、あぁ。男は嬉しい時でも泣くんだ……」
よかった。
本當によかった。
リムが生きててくれて本當に良かった。
俺は嬉しさのあまり、リムを抱きしめた。
「リム、どこかおかしい所はないか?痛いとか苦しいとか……」
「ケイド、今苦しいよ。リムは大丈夫だから、ね?」
気付かなかった。俺は慌ててリムから離れた。
でも本當に良かった。
リムが生きててくれて……。
その瞬間、俺を包んでいたも消えた。
「ゴフッ」
「ケイド!?」
俺は口からを吐き出した。
いや……これも予想通りなんだ。
あんな狀態で奧義を使ったんだ。
もうはもたないだろう。
俺の生命力を変化させて撃つ最終奧義。
あれじゃなきゃリムのコアどころか傷すら付けられなかっただろう。
いいんだ。リムさえ生きててくれれば。
「ゴハッ……ゲホッ……ゲホッ……」
「ケイド!!」
あぁすまんなリム。
俺はここで終わりそうだ。
だが悔いはないぞ。
今までリムと一緒に過ごしてきた時間。
今までの人生で一番輝いていたのかもしれないな。
リムが俺を支えるように抱えてくる。
膝枕……か。初めてだな。し恥ずかしいぜ。
「ケイド!嫌だよ!ケイド!!」
「リム、ごめん……な」
目も霞んできやがった。
リムの泣き顔は見たくなかったが……ごめんな。
俺の分まで強く生きてくれ。
ゴゴゴゴゴーーーー
塔まで崩れ始めたか。
俺の墓場にしちゃでけーな。
いやそんな事を言ってる場合じゃない。
リムだけでも逃げてもらわないと。
「リム……逃げ……ゴホッ」
「◯※ ︎%◎∀$◇」
はっ。
もう何を言ってるのかもわからなくなってきた。
五の覚はない。
いや、最後までリムの膝枕のは伝わってくる。
ははっ。
に看取って貰えるなんて、最高の人生じゃないか。
「認めない!嫌だ!絶対に嫌だ!!」
意識が絶たれる寸前に、暖かい覚とにらかいをじた。
俺の冒険はここまで……だ。
◇◆◇
人里離れた場所にある小さな街『エルダー』
あまり栄えてはいないが、それなりに冒険者や商人は多い。
人が暮らして行くには十分な場所だ。
そんな街に1人のの子が住んでいた。
年齢は10歳にも満たないだろう。
腰までばした金の髪が風になびいている。
もう5年も経てば、誰もが振り向く程の人に長すること間違いない。
そのの子が街の商店街を歩いていた。
「よー、嬢ちゃん。うちのパンはどーだ?」
「はい!今日もほしいです!」
「あら?今朝取れた野菜あるわよー?」
「買いまーす!」
「お?リムちゃん!今日は滅多に手にらないがあるぜー?」
「おぉ!売ってくださいー」
の子ーーリムがんな人に聲をかけられて買いを進めて行く。
この街にきて既に數ヶ月経っている。顔も覚えられているのだ。
商店街のおじさんやおばさんはいつもニコニコしながらリムを迎えてくれる。
リムもそこでは自然と笑顔になれた。
「ただいまー」
リムは買いをすませると、街からし離れた一軒家に向かった。
玄関からり、いつものように聲をかけるが返事はない。
いや返事がないのはわかっていた。
何も気にしないような素振りで、買ってきた食料を調理場へと運んだ。
「〜〜♪ 〜〜♪」
今日の夕飯に使う分を殘し、買ってきた食料をしまって行く。
リムの背ではまだ調理場は高さがある。
臺座を3つほど用意し、前掛けを羽織るとなれた手つきで料理を進めた。
あれから既に1年は経過している。
今日はケイドが好きなの煮込みだ。
毎年必ずこの日にはそれを食べると誓っていた。
家のリビングには、あの時リムを巻いたマントが置いてある。
ボロボロなマントだが捨てる気にはならない。
あのマントにはリムの想い出も詰まっている。
家の中にはリム以外の音はしない。
1人で住むにはし大きい家だが、リムは気にしていなかった。
ベットのサイズもし大きめだ
「〜〜♪ よーし、こんなものかな?」
あとは時間を見てじっくり煮込んで行くだけだ。
最後に香草をれ、の臭みを消して行く。
これもケイドと旅していた時に教えてもらった知恵だ。
吹きこぼれないように弱火にし、食棚から皿を取り出す。
皿は2つ。ケイドの分も用意してある。
を煮込む間に野菜を使った簡単なサラダも用意する。
「ケイドが見たら文句言うかな?」
ケイドは野菜嫌いだ。
男は野菜などーーなんて言ってた時が懐かしい。
いつの日か聞いた話で、野菜も食べなきゃに悪い事を知った。
それ以來無理矢理でもケイドには食べさせていたのだ。
「ふふっ」
そして買ってきたパンをスライスして行く。
これもケイドから教えてもらったが、そのまま齧り付くよりもスライスした方が食べやすい。
を乗せてパンと一緒に頬張るのがいいらしい。
上機嫌そうなリムがテキパキと料理を用意して行く。
リビングのテーブルにサラダとパンを並べ、あとはを用意すれば出來上がりだ。
ふと視界にったマントを眺める。
「……ケイド」
まだ年端も行かないの子だ。
いくら取り繕ったとしても、やはり寂しさはあるのだろう。
マントを見る目にはその寂しさが宿っている。
リムの口から自然ともう一度言葉が出てきた。
「……ケイド」
「おう、呼んだか?」
「ケイド!!」
リムが聲をした方に向くとケイドが立っていた。
右手には狩ってきた魔のが握られている。
「もー!遅かったじゃない!!」
「すまんすまん。ちょっと道草食っててな。ほれ」
ケイドが背中に回していた左手をリムに差し出した。
その手には鮮やかな花束が握られている。
「うわぁ……どうして?」
「言っただろ?今日はリムの誕生日だ。生まれ変わったリムの記念日にな」
しキザっぽい笑顔を見せるケイド。
花束をけ取ったリムがケイドに抱きついてきた。
「ありがとう!!ケイド!大好きだよ?」
「へへっ。いいってことよ!」
リムに手を引っ張りれてリビングへと向かう。
途中狩ってきたは保存庫行きだ。
その間に出來上がった煮込みをリムが持ってくる。
味しそうな匂いがケイドの鼻を擽ぐった。
「んあ!?また野菜かよ!」
「ちゃんと食べなきゃダメだよー?」
「へいへい。これもいい男の試練かな」
「ん?なーに?」
「いや、なんでもないよ。んじゃ食べよっか!」
「はーい!」
楽しそうな笑顔と會話が続いて行く。
彼らの冒険はこれでひとまず終了だ。
ケイド……いやおっさんはその手に幸せを摑むことが出來た。
めでたし、めでたし。
to be continued
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これにて、追放されたおっさんことケイドの冒険は一度終了となります。
この後は登場人や設定集の更新。
さらに閑話として過去編や詳細、未來編などを執筆します。
10萬文字ぐらいで終わる予定です!
ここまで読んでいただき、本當にありがとうございます!
語を完結させるのって難しいですね。
なんかし寂しさすらありますw
それでは!
もしよろしければ最後までお付き合いくださいー(๑╹ω╹๑ )
じょっぱれアオモリの星 ~「何喋ってらんだがわがんねぇんだよ!」どギルドをぼんだされだ青森出身の魔導士、通訳兼相棒の新米回復術士と一緒ずてツートな無詠唱魔術で最強ば目指す~【角川S文庫より書籍化】
【2022年6月1日 本作が角川スニーカー文庫様より冬頃発売決定です!!】 「オーリン・ジョナゴールド君。悪いんだけど、今日づけでギルドを辭めてほしいの」 「わ――わのどごばまねんだすか!?」 巨大冒険者ギルド『イーストウィンド』の新米お茶汲み冒険者レジーナ・マイルズは、先輩であった中堅魔導士オーリン・ジョナゴールドがクビを言い渡される現場に遭遇する。 原因はオーリンの酷い訛り――何年経っても取れない訛り言葉では他の冒険者と意思疎通が取れず、パーティを危険に曬しかねないとのギルドマスター判斷だった。追放されることとなったオーリンは絶望し、意気消沈してイーストウィンドを出ていく。だがこの突然の追放劇の裏には、美貌のギルドマスター・マティルダの、なにか深い目論見があるようだった。 その後、ギルマス直々にオーリンへの隨行を命じられたレジーナは、クズスキルと言われていた【通訳】のスキルで、王都で唯一オーリンと意思疎通のできる人間となる。追放されたことを恨みに思い、腐って捨て鉢になるオーリンを必死になだめて勵ましているうちに、レジーナたちは同じイーストウィンドに所屬する評判の悪いS級冒険者・ヴァロンに絡まれてしまう。 小競り合いから激昂したヴァロンがレジーナを毆りつけようとした、その瞬間。 「【拒絶(マネ)】――」 オーリンの魔法が発動し、S級冒険者であるヴァロンを圧倒し始める。それは凄まじい研鑽を積んだ大魔導士でなければ扱うことの出來ない絶技・無詠唱魔法だった。何が起こっているの? この人は一體――!? 驚いているレジーナの前で、オーリンの非常識的かつ超人的な魔法が次々と炸裂し始めて――。 「アオモリの星コさなる」と心に決めて仮想世界アオモリから都會に出てきた、ズーズー弁丸出しで何言ってるかわからない田舎者青年魔導士と、クズスキル【通訳】で彼のパートナー兼通訳を務める都會系新米回復術士の、ギルドを追い出されてから始まるノレソレ痛快なみちのく冒険ファンタジー。
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