《スキルイータ》第三十話

/*** イサーク Side ***/

食事を終えて、部屋を移した。

し低いじの椅子があり、そこに腰掛ける形になった。フィリーネが、俺の正面に座って、新しくやってきた、ドリュアスが、ピムの正面に座る。

俺の右隣に、ナーシャが座って、左隣がピムだ、その隣に、ガーラントが座る形になった。

テーブルの上には、何種類かの飲みが置かれている。

飲みの他には、パンのようだけど、一口サイズのが置かれて、それが乗っている皿には、蜂だと思われると、赤い甘い匂いがすると、柑橘の同じく甘い匂いがするが置かれていた。

「お話の前に、私は、アルベルタ。大主様から、獣人族のお世話係を申し使った者です」

「え?獣人族?」

「はい。人族に襲われていた、獣人族が、居住區にいらっしゃいます」

いきなり、話が飛んでついていけない。

「獣人族の皆様が、どのようなご食事を好まれるのか、わからなかったので、ご意見を伺いたいと思っております。お食事に、なにかお口に合わないなどのことが、ございましたか?大主様が指示された、調理方法を試してみたのですが、何分、私たちドリュアスの食事とは違いまして、些細な事もで教えていただければと思います」

「ちょっとまってほしい。アルベルタさん。獣人族が、人族に襲われていた?どこで?」

「フィリーネ。イサーク様たちにお話をしていないの?」

「はい。大主様から、食事を先に済ませてからと言われておりました」

確かに、食事の前に、この話を聞いていたら、飛び出す事はしなかったと思うが、食事をあそこまで楽しめたか疑問だ。

「そうですか、わかりました。イサーク様。イサーク様と、ナーシャ様は、獣人族の黒狼族と白狼族でお間違い無いですよね?」

「あぁ」「うん」

「ピム様。ガーラント様。申し訳ありませんが、獣人族のお話を先にしてよろしいですか?」

「うん。僕も気になる」「もちろんじゃ。儂にも聞かせてくれ」

「それでは」

アンクラムの奴ら・・・いや、アトフィア教が先導したのか?

話を聞く限りだと、ミュルダに攻め込む時の戦力がしかったのだろう。ミュルダには、俺やナーシャの様に、獣人族も多く住んでいる。街領隊の半數は、獣人族だと言ってもいい。それだけではなく、人族と獣人族のハーフも多くいる。アトフィア教の奴らは、俺たちのような獣人族だけでなく、ハーフも忌み嫌っている。

獣人族同士だと、の種族が生まれるのが一般的だが、人族の男と獣人族のの場合には、一定の割合で、ハーフが生まれる事がある。奴らは、墮落の象徴として、捕らえては即刻処刑を行っている。ハーフは、ミュルダ以外では生活ができないと言っても過言ではない。種族の特徴を示す、耳を切ったり、隠したりして、冒険者になる者も多い。

「獣人族は、川を渡った巖山の反対側に、大主様が作られた、居住區での生活を始めております」

「そうなのですか」

「ねぇアルベルタさん。獣人族は、全員無事なの?」

「わかりません。大主様が、救出されてからは、死者は出ていないと聞いていますが、その前に、隷屬化されてしまったり、戦闘での死者が出ていると言うことです。ナーシャ様には酷なお話かも知れませんが、白狼族にはかなりの犠牲者が出たと聞き及んでおります」

「え?」

「今、族長のヨーン=エーリック殿が、大主様の庇護下で、部族をまとめていらっしゃいます。あと、熊族のロータル殿」「アルベルタさん!族長・・・ヨーン・・・パパは無事なの?」

「え?あっはい。ヨーン=エーリック殿は、ご無事です。人族に捕らえられて、隷屬化のスキルがかけられていましたが、大主様が、解除なさっています」

「・・・よかった」「ナーシャ。會いに行くか?」

「・・・」

「なにか、事がお有りなのでしょう。エーリック殿は、居住區にいらっしゃいます。ご都合が良いときに、お尋ねください」

「うん。ありがとう」

ナーシャの事は聞いている。

聞いているから、強く言えない。俺の部族である。黒狼族は、ブルーフォレストには居ない。以前は、集落があったと聞いているが、アトフィア教の奴らに、殲滅させられた。今は、ヒルマウンテンのどこかでひっそりと過ごしている。

「それで、救われた種族は?集落は1つだけなのか?」

「いえ、白狼族のヨーン=エーリック殿の集落、熊族のロータル殿の集落、豹族のブリット=マリー族長代理殿の集落、黒豹族のカミーユ=ロロット殿の集落、獅子族のウォーレス=ヘルズ族長代理殿の集落、兎族のオーラフ=コステル殿の集落。あと、他にブルーフォレストで襲われていた、種族を保護いたしました」

・・・俺が知っている限り、ブルーフォレストに集落を作っていた、全ての種族だ。

兎族以外の種族は、戦闘種族に保護下にいた、種族なのだろう。

「その他、ブルーフォレストに逃げていた、獣人族をエントたちが探して、続々居住區に向かっておられます」

「人數は?」

「正確な數は申し訳ありません。概ね、1,600名だと思われます」

「え?」

「1,600名です」

「は?ナーシャ。そんなに獣人いるのか?」

「知らない。でも、話を聞く限り、ブルーフォレストに集落を作っている種族、全部だと思うよ。ねぇねぇ話はわかったから、これって何?」

ナーシャが我慢できなくなったようだ。

それと、集落を出てしまったと言っても、父親が無事な事が解って、ホッとしたのかも知れない。

前に置かれているの説明を、フィリーネさんがしてくれている。

カップにっているのは、全部飲みの用で、聞いたことがないものだ。

黒いものが、コーヒーと言っていた、砂糖をれて、甘みを調整したし、ミルクをれて飲むようだ。何もれないで飲んでもいいそうだ。

お茶と呼ばれていたや、紅茶と呼ばれていたもある。紅茶は、ティーなのだろう。これも、砂糖をれたりして飲むようだ。強い甘みがしい時には、蜂れても良いと言われた。”お茶”は、そのまま飲むようだ。あと、それぞれを冷やしたが用意されていた。

小さいコップに、明な水のようなも用意されていたが、”シロップ”と言われた。冷やした紅茶にれて飲むようだ。

パンのようなは、”クッキー”と呼ばれていた。

小麥を細かくしたと、果や野菜を潰したを混ぜ合わせて、焼いたもの・・・と、理解した。そのまま食べてもいいが、蜂を付けたり、”ジャム”と言っていたが、果を潰して砂糖と一緒に煮込んだものを付けて食べてもいいようだ。

「試行中のもあり、あまり數が用意できなくて申し訳ありません。クッキーはまだ沢山ありますが、野菜や果の種類を変えて、練り込んでありますので、味がそれぞれ違うになってしまいます」

「フィリーネ。あれは?」

「あっそうでした。大主様のご許可を頂いたのでした」

控えていた、ドリュアスになにか指示を出している。

奧から持ってきたのは、茶だ。

「まだ、これだけしか取れていないので、申し訳ありまえんが、ナーシャ様にご意見を伺いたいのですがよろしいですか?」

「え?私?なにそれ?」

「はい。”メイプルシロップ”です。特定の木の樹を集めまして、作したです。蜂よりも甘みが強いので、”プレーンクッキー”につけて、お召し上がりください」

「え?甘いの!食べる、食べる!」

ナーシャが、メイプルシロップを、渡された、の薄いクッキーにつけて、口にれる。ナーシャの顔が変わるのがわかる。幸せという表現がこれじゃなければ、どんな顔なんだという表をしている。

「お口に合いませんか?」

「ううん。ううん。すごく、味しい!なにこれ?樹って木のだよね?どうして、こんなに甘いの?」

「ナーシャ。そんなに、甘いのか?」

「うん。この蜂もすごく味しいけど、甘さでは、メイプルシロップの方が甘い。蜂は、上品な甘さ?だけど、メイプルシロップは、に甘さが突き抜けるようなじだよ!」

よくわからないが、わかったのは、ナーシャが気にったという事だ。そして、これが食べられる、ここから離れにくくなったと言うことだ。

「それで、どうでございましょうか?」

そうだった、食事や食べの意見を聞きたいと言われていたのだ。

全部味しいでは蕓がない。

「イサーク。儂から意見を言っていいか?」

ガーラントが意見を言ってくれるのは嬉しい。

「フィリーネさん。アルベルタさん。獣人族ではないが、一番長く生きているのが、儂からの意見を先に言わせてくれ」

「はい」「よろしくお願いいたします」

ガーランの方を向いて、意見を聞いてくれるじだ。

すごく気持ちがいい。

「料理も、ここで出されたも、すごくうまかった。いや、言葉を飾らずにいうと、”うますぎる”」

あぁそうだな。日常的に食べるではない。

ガーラントが言葉を続ける

「”うまい”程度なら、提供しても問題は無いじゃろ、しかし、この蜂やジャムだけではなく、先程の料理を日常的に出すのは、辭めたほうがいいじゃろう」

「なぜですか?大主様から、味しい料理を提供せよと言われています」

「あぁそれでだな。お二人の主あるじを悪くいうつもりは無いが、先程の料理はやりすぎだ。ミュルダ街の領主でも食べた事が無いだろう。いや、他の領主でも無いと斷言できる。そんなを、日常的に食べられるとなると、例えば、この蜂1瓶でどのくらいの価値になるのか、お二人の主あるじは、知らないのではないか?儂らに渡してくれた、塩や胡椒もだ、食べてしまった儂らが言うのは、おかしいかも知れないが、あの料理を食べるのに、どのくらいのスキルカードが必要になるか、わからない。そこで、ナーシャが夢中で食べている、メイプルシロップもだ」

「そうなのですか?」

「あぁ売るつもりは無いのだろう?」

「今の所、そのような事は聞いておりません」

「それならば、カズト・ツクモ殿専用にしてはどうだ?それと、ツクモ殿との食事の時にだけ出されるとかな。特別な場合にのみ提供する程度で考えたほうがいいぞ」

「あっありがとうございます。大主様。スーン様にその様に進言いたします。しかし、それでは、日々の食事にこまるのではないですか?」

そうか、ツクモ殿にしてみれば、さっきの食事が通常か、し贅沢の認識なのだろう。

この飲みや、クッキーは日常的に食べているもの、または、食べようとしているなのだろう。だから、意見を聞きたかったのだろう。

「フィリーネさん。アルベルタさん。獣人族という事でしたら、戦闘種族は、基本的にを、そうじゃなければ、野菜を食べます。そのときに、塩があれば十分です。その上、胡椒があれば満足すると思います。その上で、果や先ほどのパンがあれば、十分なごちそうになります」

「そうなのですか?」

「ナーシャ・・・は、ダメだな。ピム。どう思う?」

「うん。僕も、そう思う。それで言うと、ツクモ殿が、僕にもたせてくれた、今僕たちが著ている服も、提供するのは辭めたほうがいいと思うよ」

「そうじゃな。あと、スキルが付いている魔核もじゃが、あれはどうしたのだ?」

「魔核に関しては、お答えできません。明日、大主様にお尋ねください。それから、服なのですが、ここで作しているで、それほどの価値があるとは思えませんが?大主様の前に出ていただくときに、しでもと思いまして、お渡ししたです」

やはりな。価値が解っていないのだな。

「そうか、ここで・・・あれは、フォレスト・スパイダーの糸を編み込んだで間違いないじゃろ?」

「はい。正確には、違いますが、その認識で大丈夫です」

今気がついたが、俺の冷たい紅茶も溫かい紅茶も一口だけ飲んだが、空になっている。ナーシャが黙って飲んだようだ。

俺が、コップを見ているのに気がついて、控えていたドリュアスが新しいを注いでくれた、ナーシャももちろん遠慮する事なくもらっている。それだけではなく、違うのクッキーももらって食べている。あれだけ食べたのに、まだるのか?

「そうか、あの布が、儂が知っていると同等のものだとしたら、レベル7のスキルカードでもしがる者がいると思うぞ」

「そうなのですか?価値という意味では、よく解っておりませんでした。ありがとうございます。それでしたら、獣人族の皆様には、どのようながよろしいのでしょうか?」

「うーん。ブルーボアの皮とかでもかなり良いだと思うぞ」

「そうなのですか?フォレスト・ブルー・ボアなら、確保しているのですが、ブルー・ボアですと、可食部分は、殘してあるのですが、それ以外は、ヌラ様や、ヌル様や、ゼーロ様たちの食事になってしまっています。この辺りも、大主様とスーン様と相談いたします。重ねてになりますが、ありがとうございます」

この話し合いは、俺たちにとっても有意義なだ。

ナーシャは、食のレベルでだが、俺とピムとガーラントは、ツクモ殿の人となりの欠片をじた。気がしている。

俺たちに何も求めていないわけではない。俺たちを通して、この辺りの常識を知りたいのではないかと思えてくる。

料理法や、飲みだけではなく、知識としては、俺たちを凌駕しているのは、間違いないだろう。どうやったら、樹から、ナーシャをもってして、強い甘みと、言わしめるができるのだろう。それだけではなく、塩の件も然り、”氷菓子”と呼ばれたや、このクッキーもだ。食べばかりではない。もしかしたら、魔核の使い方も俺たちが、知っている以上の事を知っているのかも知れない。

そして、獣人族が一気に、1,600名増えても大丈夫な狀況を作り出せる力。

「それでは、私は、離席させていただきます。フィリーネは殘りますので、なにか有りましたら、フィリーネにお願いいたします」

綺麗な禮をしてから、部屋から出ていった。

しばらくして、フィリーネさんも、片付けがありますと、言って部屋から出ていった。”控えておりますので、何か有りましたら、遠慮なさらずにお聲がけください”と、ドリュアスたちも部屋から出ていった。

ナーシャは、殘されたを、抱えて、部屋に戻る事にしたようだ。

誰も、取らないと言ったのだが、ダメ、ヤダ、私の!と言って、抱え込んだままだ。

ナーシャは、部屋に戻って、1人で食べるようだ。

コーヒーは苦いからいらないと言って、置いていった。俺と、ピムと、ガーラントは、コーヒーを飲みながら、意見換する事にした。

明日、ツクモ殿との話をどうするのかを再度話し合った。

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