「えーっと、魔と魔法の違いってなんすか？」

「うーん、説明が面倒だから魔士ギルドで訊いてくれる？」

「あー、はい。あと、魔士ギルドって、冒険者ギルドに登録してても大丈夫です？」

「もちろん。魔士ギルド、治療士ギルドは最低限登録しておいたほうがいいよ。ギルド同士お互い助けあっている仲だしね」

「へええ、そうなんすね」

「ショウスケくんもよく知ってるダジギリ草のは魔力回復薬の原料なんだけど、依頼主はほとんど魔士ギルドなんだよ？」

「ああ、そうだったんですねぇ」

そういや納品しまくったな。

ダジギリ草のは結構高値で買ってくれるから助かるんだよな。

掘るのが大変だけど。

「カード貸して。連絡しとくから」

フェデーレさんにカードを渡すと、例のごとく臺座に乗せて手続きを始めた。

異なるギルド間でもネットワークが出來てんのかね？

やっぱハイテクだわ、この世界。

「はい。とりあえず魔士ギルドと治療士ギルドに連絡しといたから。生活魔を習得できたら治療士ギルドで簡単な回復魔も教えてもらっときな」

「あざーっす！」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

魔士ギルドは冒険者ギルドのすぐ隣の建だった。

冒険者ギルドに比べて小さいのは、宿泊施設が狹いのと、解施設がないから、らしい。

「いらっしゃい。ショウスケちゃんね？」

付にいたのは気全開のおねいさんだった。

いかにも魔ってじの三角帽子を被り、マントを羽織っている。

服はこれ、ビスチェっていうんですか？　肩紐とかないじのやつ。

マントとビスチェの間から見える谷間が……、こりゃいい目の保養になります。

インドアな人なんだろうか、お真っ白だわ。

「ちょっとぉ、そんなに見られるとおねーさん照れちゃうわぁ」

いやいや、それ完全に見せてるよね？　隠そうと思えばマントで隠せるよね？　ってか今ちょこっとマントの位置ずらして面積増やしたよね！？

「あ、すいません」

でも一応謝っておこう。

「じゃ、早速だけどカード出してもらえる？」

「ええっと、冒険者カードでいいんですか？」

「ふふ。それはギルドカードっていってね。どのギルドでも兼用できる仕様なのよ。冒険者の人は冒険者ギルド以外に登録しない人が結構多いから、冒険者カードって呼ぶ人が多いけどねぇ」

そうだったのかー！！

とりあえず俺はおねいさんにカードを渡す。

おねいさんは例のごとく臺座にカードを乗っけて手続きを始める。

「じゃ、をいただくわね。……痛くしないから怖がらないでね」

いや、わざとエロいじで言ってるよね、この人。

一滴だけを提供する。

例のごとく採による傷は瞬時に治療されている。

「じゃ簡単に説明するわね」

ってことで魔士ギルドについて簡単な説明をけた。

ここ魔士ギルドでは魔の習得や魔訓練補佐、あと魔の研究なんかが行われていて、冒険者ギルドみたいな依頼もあるみたい。

ランクシステムも冒険者ギルドと変わらんじだった。

「じゃあ、ショウスケちゃんは事前貢獻が結構あるから、登録料免除でFランクからのスタートにするわね」

「えっと、事前貢獻？」

「ほらぁ、ダジギリのをたっくさん納品してくれたでしょ？　冒険者ギルド経由でも魔士ギルドからの依頼をけたことになってるから、ショウスケちゃんは充分ランクアップの條件を満たしてるのよぉ」

へええ、そうなんだ。

「じゃあ、例えば魔士ギルドの依頼はこっちで直接けたほうがいいとかってあります？」

「それはないわねぇ。どっちでけても報酬や貢獻度は変わらないわよ」

「そうですか」

そのへんはマジできっちり提攜とってんのな。

「ショウスケちゃんは魔を覚えたいのだったわね？」

「はい、そうなんですよ」

「じゃあ基礎魔道講座はサービスしちゃいましょ」

「マジっすか？　ありがとうございます！」

なんかよくわからんけど、タダってのはありがたいことだ。

フェデーレさんが言ってた魔法と魔の違いってのも、その基礎なんちゃら講座で明らかになるはず！

「あら可い」

やべぇ、笑顔がエロい……。

と思ったらおねいさん、急に真顔になって俺のことじっと見だした。

やばい、ドキドキが止まんねぇ……。

10秒ぐらいでおねいさんの表が和らぐ。

「ショウスケちゃん、魔力に鈍なほう？」

「あー、えっと、魔力とかじたことないですねぇ」

そうなんだよなー、俺ってば＜魔力知＞スキル持ってないんだよなぁ。

覚えるにしてもSP全然足りねぇし。

でもこれまでの経験上、スキル習得は努力でなんとかなるって分かったし、魔法も使えると思いたい。

「そ。じゃあついてきて」

おねいさんが立ち上がり付卓から出て歩き始める。

ミニスカートにロングブーツ、真っ白な魅の絶対領域！　ってのを期待してたけど、床に著くぐらいのロングスカートだったよ……。

あ、でもこれはこれでありかも。

俺はおねいさんに連れられて、四畳半ぐらいの小さい部屋にった。

部屋の中には木製の椅子が一腳あるだけで、他には何もなかった。

った瞬間、なにかに圧されるような覚をけ、軽く眉をひそめたところを、おねいさんに見咎められる。

「ふふ、なにか変なじした？」

「そうですねぇ。なんかこう圧迫されるというかなんというか……」

「そ。じゃあ素養はあるのね」

「はぁ」

「この部屋はね、特別に魔素の濃度を上げてるのよ」

「魔素……ですか？」

魔素というのは魔法の原力＝魔力の素となるものらしい。

この世のあらゆるものに含まれ、空気中にも漂ってるらしい。

もちろん人のの中にも魔素は流れている。

そういや俺のこのは、こちらの世界に合わせて作られてるとかなんとかお稲荷さんが言ってたな。

じゃあこのの中にも魔素は流れてるんだろう、きっと。

「なにかじ取ったということは、魔力知の素養があるって証拠よ。じゃ、そこに座って」

俺は部屋の中央にある椅子に座った。

おねいさんは背後に立って、俺の肩に手を置く。

「それじゃ、今からおねーさんが魔力を流すから……、ちゃんとじて？」

ムム……、魔力以前にその言葉遣いに下半が反応しそうです……！

ジャケット越しに伝わるおねいさんの手のが……、ほとんどねーよ豚野郎の皮のせいでよ！！

クソっ！！　ジャケットいどくんだったぜ！！

「どうかしら？」

いかんいかん、気を取り直して……。

うーん、なんとなーく何かが流れてきてるような……。

【スキル習得】

＜魔力知＞

お！　スキル習得！！

と思ったらなんかすげー事になってるぅ！？

おねいさんの手から流れ込んでくる魔力がの中をぐるんぐるん巡ってんのがすげーわかる！！

しかも部屋の中の魔素？　それがなんか目に見えるぐらい漂ってんのもわかるわー。

「あら？　もう大丈夫みたいね」

そういうと、おねいさんは肩から手を離した。

うう、名殘惜しい……。

「じゃあ次は魔力作ね。の中を巡る魔力はじ取れたと思うから、今度はそれをかすようにイメージしてみて」

「これをかすんですか？」

うーん、何となく言わんとしていることはわからんでもないなあ。

「そ。の中の流れを変えてみたり、の外に出してみたり、出したものを取りれてみたり。あとは部屋の中の魔素を取り込むようなイメージもね。これはちょっと時間がかかると思うから、しばらく1人で頑張ってみてね」

そういうと、おねいさんは部屋を出て行ってしまった。

名殘惜しい……。

とりあえず俺は、おねいさんの期待に応えるべく、魔力作の訓練に勵んだ。

《スキル習得》

＜魔力作＞

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

気が付くと見知らぬ天井が見えた。

周りを見てみると、ギルドの寢臺っぽいけど、なんか雰囲気が違う。

荷なんかは全部置いてあったので、とりあえず全部持って出る。

やっぱ寢臺の外の造りも冒険者ギルドとはちょっと違うな。

階層の広さ自半分ぐらいだし。

階段を見つけたので下りてみると、何となく予想していたがそこは魔士ギルドだった。

付には例のエロいおねいさんがいた。

「あら、気がついたのね？」

「えーっと、どうも」

「ふふ……。驚いたわよぉ、昨日なかなか出てこないから様子を見に行ったら、ショウスケちゃん倒れてるんだもの」

昨日ってことは、日付変わってんのか。

「あの、すいません。じゃあおねいさんがあそこまで……？」

「ハリエット」

「はい？」

「おねーさんの名前。ハリエットっていうの」

おお、なんかドイツの舞臺優みたいな名前だな。

なんつーか、この妖艶なじにぴったりだ。

「えっと、じゃあハリエットさんが運んでくれたんですか？」

「まさかぁ。職員に運んでもらったわよぉ」

「俺はなんで倒れてたんすかね？」

「魔力切れじゃないかしら？　魔力作にを出しすぎたのね」

そういやMP0で気絶ってステータスの説明にあったな。

「でも、魔力切れを起こしたということは、魔力作も出來るようになったってことよね？」

「ええ、おかげさまで」

「ふふ。ウチの寢臺でお休みしたから、今はもう元気でしょ？」

「はい。やっぱここ寢臺は冒険者ギルドのとは違うんですか？」

「そうね。冒険者ギルドの寢臺は的な疲労に効くのよ。そしてウチのは神的な疲労や魔力消耗なんかに効くの。もちろんの疲れもある程度はとれるけどね」

「そうですか。助かりました」

「10Gね」

おねいさんが俺に向けて手を出す。

「はい？」

「ウチの寢臺、1回10Gなの」

「あ、ああ。そうなんですね」

まあしょうがないかな。

スキル習得の対価と考えれば安いもんだろ。

とりあえずギルドカードを渡した。

「ごめんなさいねぇ。サービスしてあげたいんだけど、こればっかりはねぇ」

「ああ、いえ、いいっす」

「さてと。じゃあ基礎魔道講座に進んでもいいかしら？」

そういうと、ハリエットさんは俺を見て艶やかに微笑んだ。

……でも、俺の視線はもうちょい下の方に釘付けなんですけどね。