青銅の槍を借りた俺は、いつもの薬草採取に加えジャイアントラビットの皮10羽分という依頼をけた。

依頼ランクはF。

初のFランク依頼だ。

この依頼を達すればランクアップ確定なんだよな、へっへっへ。

例のごとく採取キットも借り、俺はジャイアントラビットの生息地に向かった。

生息地に向かう道すがら、ちょこちょこと薬草採取も行っていく。

いっぱいになった袋は『収納』で収納庫へれていけるから、すっげー楽ちんだわー。

ちなみに槍も収納庫にれてある。

あれ、結構かさばるんだよね。

採取キットは出したりれたりでMP消費すんのもアレなんで、出しっぱだけど。

なんやかんやですでに50G分ぐらい採取できた。

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ジャイアントラビットの生息地に近づいた。

すでに短槍は用意してある。

＜気配察知＞にビンビンひっかかってるね。

魔の生態ってのは不思議なもんで、活範囲が限られてる上に、一定數以上増えることはあまり無いらしい。

活範囲から一歩も外に出ないかというと、そんなこともないんだけど、一時的に範囲外に出ても最終的には戻る、みたいなじで基本的にはその活範囲を守るんだと。

生息數も不思議と一定に保たれる。

數が減ったらすげー勢いで増えるんだが、ある程度の數に達すると急に増えなくなるんだと。

ただ、ここ數十年は全的に増加傾向にあるとかなんとかって話はチラホラ聞いたな。

魔ってのは完全に狩り盡くしたと思っても、數日でどこからともなく現れ、増え始めるらしい。

活範囲から魔を完全に排除するには、その場所の環境を大幅に変える必要がある。

たとえば森に棲む魔がいるなら大規模な伐採を行うとか、池に棲む魔がいるなら池を埋め立てるとかそんなじで。

魔は獲しても絶滅するということがないので、素材はいいじに安定供給できるから、魔素材を元にした産業も発達してる。

つまり、魔狩りを生業にすれば生活もそこそこ安定するってわけで、魔狩りをメインに活する冒険者なんてのはたくさんいるんだが、それでも生息地にくれば獲に困るってことはほとんどない。

「おー、いっぱいいるなー」

＜気配察知＞に引っかかっている數は5匹。

とはいえ、そこそこ広い範囲を察知できるようになっているので、群れってほどじゃない。

ジャイアントラビットは群れで獲を襲うということがないので、初心者向けの魔として見習い冒険者から好まれているんだな。

だからこの依頼をけたんだけどさ。

あ、ジャイアントラビットは草食じゃなく雑食なんだよね。

だから人間も襲います。

念のため『下級自己強化』を使って能力を上げ、＜気配察知＞全開で、こちらに気づいてなさそうな奴にこっそり近づく。

草むらの向こう、死角になっているが、そこに1匹いるのは間違いない。

もうしで槍の間合いにろうかという時、草むらの向こうからガササという音が聞こえた。

（気づかれた……！）

お互い姿は見えていないが、何となく向こうがこっちに気づいたのはじ取れた。

腰を落とし、いつでも突きを繰り出せるよう槍を構え、ゆっくりと一歩踏み出す。

この距離なら屆く……！

草のにいるであろうジャイアントラビットに向けて、思いっきり槍を繰り出した。

だが、槍の穂先が屆く前にソイツは橫に飛び、あっさりとかわされしまう。

そしてソイツは著地と同時に草むらから飛び出るようなかたちで俺に飛びかかってきた。

おもいっきり突きを繰り出して隙だらけになっていたところに當たりをけてしまう。

「ってぇ！」

結構な衝撃をけたが、裝備と魔のおかげで思ったほど傷みはない。

なんとか踏ん張って勢を立て直し、敵が著地した瞬間を狙って槍を繰り出した。

柄を持つ手に確かな手応えをじる。

槍の穂先がジャイアントラビットの脇腹あたりに刺さったが、致命傷じゃないのか、暴れまくっている。

「クソっ！　おい、じっとしてろ！！」

なんて俺の希なんか聞きれてくれるはずもなし。

ジャイアントラビットはひと暴れしたあげく俺の槍から逃れた。

相當な深手を與えているが、まだそこそこき回れるらしく、俺から逃げるように駆けだす。

さすが「兎のごとく」という言葉があるだけあって、逃げ足速ぇなウサ公め！

＜気配察知＞と草むらを走る音を頼りに全力でジャイアントラビットを追いかける。

この世界に飛ばされた日以來の全力疾走だが、いろいろステータスが上がってるおかげで、確実に足も速くなってるし、持久力もついてるな。

萬全の狀態のウサ公相手なら逃げられたかもしれないが、相手はそれなりに深手を負っているため、きは鈍い。

しばらく追い掛け回した結果、背後から追いついて首の裏を槍で貫き、なんとか仕留めることが出來た。

隨分騒いでしまったせいか、＜気配察知＞の範囲にジャイアントラビットはいなくなってしまったので、とりあえずコイツを解することにする。

抜きをし、蔵を取り出し、皮をはいで部位ごとに切り分ける。

続いて骨とを引き剝がして解完了。

＜解＞スキルと解用ミスリルナイフのおかげで、10分程度で解できた。

皮を剝いだり、腱を切ってバラしたりすんのがすげー楽だわ。

クラークさんありがとー！！

さて、蔵はを掘って埋めておく。

その他の部位は『製水』で洗い、皮と骨は『乾燥』。

は『冷卻』で頑張って冷凍し、まとめて『収納』。

『収納』使用時、収納庫のどの辺に置くかってのを指定できる。

庫に仕切りを作ってあるので、冷凍とその他の部位は仕分けておく。

皮と骨もとりあえず冷蔵庫の方でいいだろう。

「ふぅ。これでよし、っと」

ちょっと苦労したけど、なんとか1羽ゲット。

ただ、ジャイアントラビットは1羽で10G、解しても15Gなんだよなぁ。

まぁ供給が安定するってことは、価格も安定するってことで、その分儲けもなくなる、っと。

特にジャイアントラビットなんてほとんど冒険者が狩れるわけだから、しょうがないんだよね。

俺の場合は薬草採取の方が効率は良いんだけど、まぁこれはランクアップ試験だと思って我慢しよう。

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その後も＜気配察知＞を頼りに獲を見つけ、狩りを続けた。

出來れば不意打ちで仕留めたいんだが、どうしても寸前で気づかれるんだよな。

結局2時間ぐらいかけて、ようやくもう1羽仕留めた。

「なんとか気付かれずに済む方法は無いものかねぇ」

改めて獲を見つけた俺は、例のごとく＜気配察知＞全開で近づく。

（あ、魔力の流れってどうなってんだろ？）

ふと、そう思った。

なんとなくだが、自分の中に流れる魔力はじ取れる。

（空気中にも魔素ってのが漂ってんだよな）

いままでちゃんと意識したことはなかったが、集中すれば確かに自分の周りを漂う魔力の流れをじる事ができた。

これが魔素ってやつか。

魔士ギルドの魔素が濃い部屋では目に見えるほどだったが、普通はこれぐらいの濃度なんだな。

かなり意識しないと知できないわ。

《スキルレベルアップ》

＜魔力知＞

お、なんかスキルレベル上がった。

そうかー、＜魔力作＞のことばっか考えてたけど、＜魔力知＞も大事だよなぁ。

スキルレベルが上がったおかげで、より広い範囲の魔力の流れをじ取ることが出來る。

そうなると気になるのが、獲の魔力だ。

この世のすべてのものが魔力を有しているってんだからじれるはず。

集中しろー、集中ぅー……。

すると、まずは周りに生えてる草や転がってる石ころ、さらには地面を流れる魔力をじ取れるようになる。

《スキルレベルアップ》

＜魔力知＞

あぁ、なんか頭がぼーっとしてきた……。

いかんいかん！　集中集中！！

……お？　これがジャイアントラビットの魔力か？

＜気配察知＞とはまた違った形で獲をじることが出來た。

《スキルレベルアップ》

＜魔力知＞

おお、なんかすげー勢いでスキルレベルが上がってんな。

さてと、この狀態だと、今までよりも相手の狀態がわかるな。

今なら確実に向こうは気づいていない。

ここで細心の注意を払いつつ、近づく……あれ？

なんか俺の魔力、微妙にれてね？

れた魔力が空気中の魔素に絡んでんのがわかる。

それが風にのるように拡散していって……、獲の方にも流れていってんじゃね？

あ！　気付かれた！！　んで逃げられた！！

……なるほどねぇ。

この魔力のれをもうちょっと制できるようになったら不意打ちも出來そうだな。

「ふうぅ～……」

大きく息がれたあと、急に目の前が真っ暗になった。

なんとか意識を保とうと思ったがダメだった。

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気がつけば俺は、街の門の外にいた。