《死に戻りと長チートで異世界救済 ~バチ當たりヒキニートの異世界冒険譚~》第21話『初めての攻撃魔』
門の外で意識を取り戻した俺は、すぐさま門の中にる。
《スタート地點を更新》
よし、これでゆっくり考える時間が出來たぜ。
なんとなく場所も分かったし、全力で駆けつければもうし余裕をもって助けられるはずだ。
しかし、今の俺だとどう考えても力不足なんだよな。
そりゃ何回も挑んでレベルアップを続けてりゃそのうちなんとかなるだろうけど、それは最終手段として、やらずに済むならその方がいい。
出來ればもうし効率よく行きたいよな。
そこで思いついたのが、攻撃魔。
もしかすると、攻撃魔だともっと効率よく敵を倒せるんじゃないかと思うんだわ。
そのためにも先立つものが必要だ。
俺は街を練り歩いて武屋を探しだし、カウンターに解用ミスリルナイフを置いた。
「ここ、買い取りは行ってますか?」
なんかキリッとしたイケメンが店頭に立ってた。
「ああ、やってるよ。それを売るのか?」
はい、お願いします。
解用ミスリルナイフを手にとった店員は、一目見て驚きの聲を上げた。
「これはなかなか……。ナイフもいいが、鞘がすごいな」
そういやいろんな機能がついてたな、その鞘。
「…20,000でどうだ?」
え……、マジで? そんないいくれたの?
「……クッ、わかった! 25,000だ。それ以上は出せない!!」
なんか俺が黙ってたら勝手に勘違いして値上げしてくれたわ。
「あ、はい! 大事な贈りなのでできれば手放したくはなかったのですが、その価格なら了承できます!!」
なんか予想以上に高かったから、変な言い訳しちまったぜ……。
「そうか。払いは金貨でいいか?」
「はい」
そう言うと、店員さんは金貨2枚と大銀貨5枚を置いたので、俺はそれをポケットに仕舞った。
「ありがとうございました!」
クラークさん、すまねぇ!! 後で取り戻すから!!
……いや、後でってのもおかしな話だけどさ。
**********
「攻撃魔ねぇ。最初のおすすめは『下級攻撃魔パック』かしらね。基本攻撃魔屬四種の『矢』『弾』『球』と『攻撃魔基本講座』をセットにしてなんと3,000G!!」
なるほどねぇ。
たぶん普通に覚えるとしたらこれなんだろうな。
となると、すでに覚えてる・・・・・・・ってのは後々面倒なことになりそうだ。
「例えば、上級攻撃魔ってお得なセットはありますか?」
「上級の場合は各屬の『渦』『波』セットで3萬のところ2萬というのはあるわね。下級のような屬四種パックというのはないわ」
よし、ならそのへんにしとくか。
2萬なら払えるし。
「例えばなんですけど、魔法を使えるとその分魔の威力が上がるってことはありますか?」
「どういうことかしら?」
「例えば<無魔法>を使えると<無魔>の威力が上がるとかそういうの」
「そうね。もちろん魔法を使いこなせればその分魔には反映されるわね」
よし、決まりだな。
「無屬の『上級攻撃魔パック』を覚えたいんですが」
「あら、じゃあ頑張ってお金稼いで、ランク上げないとねぇ」
ランク? もしかしてランク制限あんのか!?
「あの、上級を覚えるには……?」
「Cランク以上じゃないとダメ」
「えっと……じゃあ俺が覚えられるのは……?」
「下級までね」
くっ……、どうする? やっぱループ繰り返すか? それともあとの面倒は度外視して下級魔覚えるか。
「お金はあるのかしら?」
「ええ、まぁ……」
「何か事がありそうねぇ……。もし後でおねーさんのお願い聞いてくれるなら、特別に中級なら覚えさせてあげてもいいわよ?」
「ホントですか!?」
「ただし、覚えても使えるとはかぎらないから、その時は文句言わないでね」
「もちろんです!! ちなみにお願いというのは……?」
「ダジギリのもありがたいんだけどね。魔石も集めてほしいのよ」
魔石……あるのか。
しかし魔を解しても出てこなかったなぁ。
まあ、どこで手にれるかは後で訊こう。
「わかりました! 詳しいことは後日でいいですか?」
「ええ、いいわよ。じゃあついてらっしゃい」
「あと、訓練所も使いたいんですけど……」
「はぁ……。いろいろワケありみたいね。ま、詳しく訊くつもりはないけど、あんまり無茶しないでね」
「お気遣いありがとうございます」
魔習得施設で無屬中級攻撃魔『魔刃まじん』『魔槍まそう』を覚え、そのまま訓練場へった。
最初の方だけハリエットさんが見てくれるみたいだ。
離れた場所にある巻藁みたいなのを標的に撃てばいいらしい。
意識を集中し、まずは『魔刃』を放つ。
「……あれ?」
なんか、出そうなんだけど、えらい時間かかるな。
結局10秒ぐらいたった後に準備完了ってじがしたので、改めて放つと、無明の刃が巻藁を切斷した。
「……ショウスケちゃん、初めてよね?」
「ええ、まぁ」
「すごいわね……」
「あの、なんか発するまですげー時間かかったんですけど」
「ああ、そういえばショウスケちゃん、攻撃魔基本講座けてないんだったわね」
「はぁ」
「ある程度高度な魔になるとちょっと長めの『詠唱えいしょう』が必要になるのよ」
「詠唱……ですか」
「そ。中級攻撃魔だと、大10秒ぐらいね」
そんなにか……! あの群れを相手にこの待機時間はちょっと厳しいか?
試しに『魔槍』も撃ってみたが、やはり発までに10秒ぐらいかかった。
「ちなみに生活魔にも詠唱は必要なのよ? 『燈火』や『點火』はほとんど必要ないけど、『加熱』『冷卻』なんかは5秒ぐらい必要ね」
え? あれって単純に効果が出るまでに時間がかかってるだけだと思ってたけど、最初の5秒は詠唱だったのかよ。
そういや『収納』も軽く待機時間はあるけど、なんつーかそういう仕様なんだと思ってたわ。
っていうか、なんで呪文みたいなの唱えないのに”詠唱”っていうんだろ?
正直に言うと、カッコイイ呪文とか唱えてみたかったり……いや、まあ今はどうでもいいか。
「詠唱を短くしたり、同時に複數の魔を使ったりとかは出來ないんですか?」
「詠唱短は出來なくはないけど、かなり訓練が必要ね。こればっかりは魔を覚えるみたいに簡単には行かないわよ」
「はぁ、マジっすか……」
「多重詠唱ともなると努力だけではなんともならないわねぇ。それこそ天啓でもないと」
「天啓……」
「まぁ詠唱短効果のある杖や、魔を裝填しておける魔道なんかもあるんだけど、かなりお高いわね」
武や道は今手にれても意味ないもんなぁ。
ミスリルナイフを売ったままには出來ないし。
「さて、とりあえず『魔刃』も『魔槍』も問題なさそうだから、おねーさん行くわね」
「はい、ありがとうございました!」
あとは、天啓に頼るという手もあるが……。
とりあえずステータス畫面を開いてみる。
おお、SP6,000超え!!
結構頑張ったなぁ……。
えーっと……、あった!
<詠唱短>が20,000ptで<多重詠唱>が50,000ptか……。
……ってやっぱ無理じゃん!!
その辺の便利系スキルが高コストなのはなんとなくわかってたけどさ。
しかし、魔ってすげーな。
どう考えても『魔弾もどき』より遙かに威力も速度も程も命中度も高いのに、どっちもMP消費18だぜ?
たぶんデフォルトで20なのが、魔道講座のおかげで10%オフになってるんだろうな。
さらに<気配隠匿>を意識しながら発してみたが、特に消費MPが増えることはなかった。
あと、詠唱終了後の待機を試してみたら、維持してる間、MPが1秒に1減るじだ。
これはこれで使えるな。
多重詠唱は無理だったが、たぶんグレイウルフぐらいなら一撃で倒せるだろうし、10秒の詠唱は痛いけどなんとかやりくりするしかないか。
これでダメなら、とりあえずループしまくってレベル上げるなりSP稼ぐなりするしかないな。
魔覚えずにループを繰り返すよりは効率いいはずだ。
**********
魔士ギルドを出た俺は冒険者ギルドの寢臺にった。
出來れば森の中とかがよかったんだが、街から出るわけには行かないからな。
人目につかない場所で思いついたのがここだった。
さすがに青銅の槍で、ってのはアレなんで、鋼の短剣をレンタルした。
(自殺行為は何度もやったけど、ガチの自殺は初めてだなぁ)
「ふぅー……」
俺は大きく息を吐きだすと、鋼の短剣を頸脈あたりに當て、思い切り引いた。
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