《死に戻りと長チートで異世界救済 ~バチ當たりヒキニートの異世界冒険譚~》第33話『初めてのダンジョン探索』
《スタート地點を更新》
り口手前でスタート地點が更新されることを確認し、石造りの砦のような建にる。
中は10人ぐらいは並んで歩けるような広い通路が続いている。
通路を進むと奧に中庭みたいなものがあり、そこに大きな魔法陣が2つあった。
たぶんこの魔方陣を囲う形でこの砦みたいなのが後から建てられたんだろうな。
2つの魔法陣はそれぞれダンジョンに通じる転移陣で、一方は1階層へ、他方は階層を指定して転移できる。
1度でも攻略すれば、その階層へ一気に飛べるようになってるみたいだな。
俺はもちろん1階層行きの転移陣に乗る。
そして乗った瞬間景が変わった。
そこは薄暗い森の中。
シェリジュの森に雰囲気が似ているな。
見上げれば空はあるし、太も見える。
ダンジョンは小さな異世界といったが、つまりはこういうことだ。
エムゼタシンテ・ダンジョンは30階層からなり、1~10階層まではここみたいな森林エリアになっている。
転移陣から飛ばされる先は各層ごとに10箇所ほどあり、どこに飛ばされるかは完全にランダムだ。
「えーっと、正面に頂上が平らな山を見つつ左手に巨木がある場合は……第2ポイントだな」
ちなみにいま目印にした山は、あくまで景として存在しているだけで、たどり著くことは出來ないらしい。
とりあえず俺はマップを頼りに階層の中心を目指す。
2分ほど歩いたところで、早速初めてのダンジョンモンスターを発見。
といってもジャイアントラビットなんだけどね。
姿形は同じだけど、ダンジョンモンスターの方がし強いらしい。
死角から不意打ち食らわせたかったが、気付かれたようだ。
ジャイアントラビットはこちらを見つつ、逃げるべきか襲うべきか迷っているように見える。
レイピアは鞘に収めたままだが、いつでも魔を撃てるよう、杖は左手に持ったまま歩いていた。
というわけで、優不斷なラビット君に向けて『魔矢』発。
杖から放たれた『魔矢』はジャイアントラビットの眉間を正確に捉え、撃ちぬくと同時にそいつはの粒子となって消えた。
「おお、ホントに消えるんだな」
その様子にちょっとだけしつつ、ジャイアントラビットがいたあたりを探すと、小指の先程度の大きさの、いびつな形をした黒い塊を見つけた。
「これが魔石か……」
重さは同じ大きさの小石程度。
これを10kg集めるとなると、ジャイアントラビットレベルの魔倒してたんじゃいつまでたっても終わらんな。
拾った魔石は即『収納』。
収納庫の中に”一杯になるとだいたい魔石10kg分”という魔士ギルド推奨の木箱を設置し、その中にれていく。
その後しばらくはジャイアントラビットが続いたので『魔矢』で倒して魔石を拾っていく。
1階層は中心へ向かうにつれ森が深くなっていく。
木の上になんとなく不穏な気配を察知した俺は、し離れた位置から狙いをつけて『魔弾』を撃つ。
すると、木の上からドサッと何かが落ちてきた。
多分コイツは、序盤に俺を毒殺した蛇だな。
たしかシンマスネークとかいったか。
地面に落ちたシンマスネークは、ほどなくの粒子となった。
「リベンジ完了っと」
親指の先程度の魔石を拾って『収納』する。
さらに中央へ向かうと、ホーンラビットやジャイアントボア、単のグレイウルフ等お馴染みの連中が現れるようになる。
向かってくるものはレイピアで、逃げるものは魔で仕留めていく。
ホーンラビットが落とす魔石は、シンマスネークと同程度。
ジャイアントボアとグレイウルフが落とす魔石は赤ん坊の拳ぐらいかな。
しかし教からもらったこのレイピア、すげー切れ味だわ。
例えばジャイアントボアってのはかなり皮が頑丈なんだ。
もガッチガッチにくて、角度が悪ければ斬撃なんかは簡単にはじかれてしまう。
「で、今俺の目の前にいるこいつも、その頑丈な皮を持ったジャイアントボアなわけだが」
今にも突進しようと前足で大地を何度もかいているジャイアントボアの正面で、俺はレイピアを構えて軽く腰を落としている。
準備完了とばかりに「フンス!」と勢い良く鼻息を吹き出したジャイアントボアが、その巨からは想像できないような速度で俺に向かって突進してくる。
しかしいくら速かろうとこちらにまっすぐ突き進むだけなので、タイミングよくを翻して橫によける。
そしてガラ空きの首を、橫から突くわけだが……、これが驚くほどあっさり通るんだわ。
走り抜けるジャイアントボアの首に剣をサクッと刺してスッと抜くだけで致命傷を與えることが出來る。
突進をかわされたと悟ったジャイアントボアが急停止し、反転してこちらに向き直る。
怒りをわに俺を見つつまたも前足で大地をかきはじめるが、首からはドバドバとが流れ落ち、ひとかきごとに前足のきは弱まっていく。
やがて自の重を支える力を失い、ジャイアントボアは「ドスン!」と大地に倒れた。
恨めしそうな視線を向ける目からも徐々に生気が抜けていき、やがての粒子となって消えた。
剣に絡みついてたジャイアントボアのもそれと同時に消滅する。
「それでも振りはやめられない、ってね」
綺麗にの跡が消えたにも関わらず、俺はレイピアをヒュッと一振りして鞘に納める。
別に格好をつけているわけではなく、例えダンジョンモンスター相手で必要がなくとも振りのクセは抜けないようにしておけ、とカーリー教から教えられていたのだ。
その後さらに雑魚モンスターを倒しつつ進んでいくと、何度目かに倒したホーンラビットが魔石以外のを殘した。
「お、ホーンラビットの角」
ダンジョンモンスターは倒せば魔石だけを殘して消えるが、時々素材を殘していくことがある。
それは”ドロップアイテム”と呼ばれ、解無しで手にる上、野生の魔から取れるものより上質な素材なのだ。
ただドロップ率はそれほど高くないので、単純な素材集めであれば野生の魔を狩った方が早いんだけどね。
ドロップアイテムはあくまでオマケみたいなもんだな。
「さて、そろそろボスエリアのはずなんだが」
ダンジョンの各階層には”階層ボス”というのが存在する。
その階層ボスがいる場所を”ボスエリア”という。
階層ボスを倒すことで次の階層に進めるってわけ。
森はどんどん深くなり、生い茂る草木で夜のように暗くなったあたりで、目の前を完全に塞ぐように丈の高い草が生い茂っている場所が現れた。
これだけ高い木々があり、が屆かない森のなかで、これほど丈の高い草が生い茂ることなど通常ありえない。
「この草むらの先がボスエリアだな」
そう思って俺が草をかき分けようとすると、ポケットから「ビッ!」という警告音がなった。
どうやらポケットにれていたダンジョンカードが鳴らした音らしい。
カードを取り出すと、表面に文字が浮かんでいた。
《ただいまボスエリア戦中 現在 3 パーティー待機中》
おおっと、他のパーティーが階層ボスと闘っているようだ。
試しに草をかき分けようとしたが、びくともしない。
しかたがないので、時間つぶしに魔石集めをすることにした。
**********
30分ほど雑魚モンスターを倒していると、待機中パーティーが1になったので元の場所に戻る。
たしかあの警告音が鳴った時點で順番予約ができているはずなので、もうすぐボスエリアにれるはずだ。
「お、終わったみたいだな」
カードの待機パーティー數が0になると、今までびくともしなかったが草むらがガサガサと音を立て始めたので、かき分けてみるとあっさり通れた。
「うおっ、まぶしっ!」
草むらを越えた先は小學校の運場ぐらいの広場になっており、さっきまで頭上を覆っていた木々が消えが降り注いでいる。
だだっ広い草原には何もなかったが、中央へ歩いて行くと、やがてどこからともなく現れたの粒子が集まり、人型を形し始めた。
「おっとゴブリン」
現れたのは緑のを持つ人型のモンスター、ゴブリンだった。
子どもぐらいの背丈だが、その背丈に似合わぬ筋質なを持っている。
現れたゴブリンは3。
1は手ぶら、1は剣を持ち、1は弓を持ち矢筒を背負っている。
「えーと、ただのゴブリンとゴブリンセイバーとゴブリンアーチャーね」
何勝手にカッコつけて名づけてんだと思われるかもしれないが、今言ったのはこいつらの正式名稱だ。
例えばこれが外の世界で、こいつらが野生のゴブリンだったら、ただ単に”剣を持ったゴブリン”、”弓矢を持ったゴブリン”ということになる。
野生のゴブリンは一つで生まれ、奪うなり拾うなり仲間から貰うなりして武を裝備するんだが、ダンジョンモンスターとなると話は変わる。
たとえば目の前にいるゴブリンセイバーは、剣を裝備した狀態で発生する。
そして発生した時點である程度剣を使える狀態なのだ。
それは他の武の場合でも、そしてゴブリン以外のオークやコボルト等でも同じことが言えるので、武を裝備しているダンジョンモンスターは、その武を含めて分類される。
剣と弓以外に、槍だとランサー、棒や槌だとアタッカー、杖を持って攻撃魔法を使う場合はメイジ、回復や補助魔法を使う場合はヒーラーと呼ばれる。
ちなみに魔を使えるのはエルフやドワーフ、獣人やヒト等を含む人間だけなので、魔やモンスターが使うのは固有能力か魔法だ。
今回は手ぶらのゴブリンと、剣を持ったゴブリンセイバー、弓矢を裝備したゴブリンアーチャーの3。
発生と同時にこちらに気づき、ゴブリンとゴブリンセイバーが「ゲギャゲギャ」言いながら走ってくる。
ゴブリンアーチャーはその場で矢をつがえ、狙いをつけて放ってきた。
流石に飛んでくる矢を目視して避けられるような達人ではないので、放たれるタイミングを見て線から離れる。
矢は俺がいた場所を正確に通って行ったが、それほどの威力はなさそうだ。
甲はもちろん、鎖帷子でも止めれそうだな。
ちなみにアーチャー系モンスターの矢は一定時間で復活するので矢切れを待つということは出來ない。
鬱陶しいのでアーチャーに向けて『魔弾』を放つ。
先ほどゴブリンアーチャーから放たれた矢よりも遙かに速い弾丸が眉間を打ち抜き、「グギャッ!」と短い悲鳴を上げた後ゴブリンアーチャーは消滅する。
仲間の悲鳴に反応し2匹が振り返ったところへ、レイピアを抜きながら踏み込む。
2匹とも間合いに捕らえた俺は、2回連続で突きを放つ。
「ウギッ……!」「ゴゲ……!」
意味不明な悲鳴を上げたゴブリンとゴブリンセイバーは、首から鮮を巻き上げながら倒れ、地面に著く前に消滅した。
「ま、階層ボスっつっても1階層じゃこんなもんか」
殘された魔石は大人の拳程度の大きさだった。
素手のゴブリンのものだけ心なしか小さいような気がした。
剣聖の幼馴染がパワハラで俺につらく當たるので、絶縁して辺境で魔剣士として出直すことにした。(WEB版)【書籍化&コミカライズ化】【本編・外伝完結済】
※書籍版全五巻発売中(完結しました) シリーズ累計15萬部ありがとうございます! ※コミカライズの原作はMノベルス様から発売されている書籍版となっております。WEB版とは展開が違いますのでお間違えないように。 ※コミカライズ、マンガがうがう様、がうがうモンスター様、ニコニコ靜畫で配信開始いたしました。 ※コミカライズ第3巻モンスターコミックス様より発売中です。 ※本編・外伝完結しました。 ※WEB版と書籍版はけっこう內容が違いますのでよろしくお願いします。 同じ年で一緒に育って、一緒に冒険者になった、戀人で幼馴染であるアルフィーネからのパワハラがつらい。 絶世の美女であり、剣聖の稱號を持つ彼女は剣の女神と言われるほどの有名人であり、その功績が認められ王國から騎士として認められ貴族になったできる女であった。 一方、俺はそのできる女アルフィーネの付屬物として扱われ、彼女から浴びせられる罵詈雑言、パワハラ発言の數々で冒険者として、男として、人としての尊厳を失い、戀人とは名ばかりの世話係の地位に甘んじて日々を過ごしていた。 けれど、そんな日々も変化が訪れる。 王國の騎士として忙しくなったアルフィーネが冒険に出られなくなることが多くなり、俺は一人で依頼を受けることが増え、失っていた尊厳を取り戻していったのだ。 それでやっと自分の置かれている狀況が異常であると自覚できた。 そして、俺は自分を取り戻すため、パワハラを繰り返す彼女を捨てる決意をした。 それまでにもらった裝備一式のほか、冒険者になった時にお互いに贈った剣を彼女に突き返すと別れを告げ、足早にその場を立ち去った 俺の人生これからは辺境で名も容姿も変え自由気ままに生きよう。 そう決意した途端、何もかも上手くいくようになり、気づけば俺は周囲の人々から賞賛を浴びて、辺境一の大冒険者になっていた。 しかも、辺境伯の令嬢で冒険者をしていた女の人からの求婚もされる始末。 ※カクヨム様、ハーメルン様にも転載してます。 ※舊題 剣聖の幼馴染がパワハラで俺につらく當たるので、絶縁して辺境で出直すことにした。
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