《死に戻りと長チートで異世界救済 ~バチ當たりヒキニートの異世界冒険譚~》第36話『パーティーのおい』
2階層のボスを1分足らずで倒した俺はともに訓練をけたジータさんの勇姿を思い出していたわけだが、ついつい思い出に浸りすぎたせいでいつの間にか3階層に転移し、グレイウルフの群れに囲まれてしまった。
3階層からは5匹以上の群れも出現する。
転移直後にグレイウルフの群れが出るってことは、第4ポイントだな。
<気配察知>で數えてみると、なんと8匹。
あの時と同じだね。
ダンジョンモンスターは野生の魔より強いらしいけど、俺だってあの頃よりは強くなってるんだぜ?
せっかくだから中級攻撃魔はナシで相手してやんよ。
多數で1人を包囲している余裕からか、グレイウルフ達はゆっくりと包囲網を狹めている。
おいおい、そんな余裕かましてて大丈夫かね?
こっちは魔道剣士なんだぜ?
ってことで向こうが余裕かましてるうちに詠唱が終わり、正面の奴めがけて『雷弾』を撃つ。
一瞬自分が狙われたことには気づいたようだがかわすまでのことは出來ず、の下辺りに命中。
弾丸はに深くり、そこで雷撃をけたグレイウルフはその場でバチン!と飛び上がるように跳ねた後、消滅した。
こいつらのダメなところは先制攻撃食らって仲間がやられると、とりあえずビビって全員がそっちを見ること。
その隙に俺はちゃっかりレイピアを抜き、いま倒した奴の隣にいた奴を突き殺す。
充分間合いを取ってたつもりかもしれんが、<細剣Lv5>の踏み込みは甘くねぇよ?
包囲網に踏み込んだ俺は、さらに手近にいた奴の首を斬り裂き、別の1匹に『雷矢』を撃つ。
レイピアが刺突に特化しているといっても斬れないわけじゃない。
骨を斷つのは難しいが、グレイウルフ程度の皮と脈、ある程度の筋ぐらいはスパっと切れる。
首を切り裂かれたグレイウルフは頸脈からを吹き出し、そのまま消滅した。
『雷弾』がオーバーキルっぽかったので『雷矢』に切り替えたが、これまた一撃。
眉間に『雷矢』をけたグレイウルフは、ヨダレを撒き散らしながら頭を痙攣させた後消滅した。
何気に<雷魔>は追加効果の雷撃がえげつないな。
一何ボルトの電流が流れてんだか。
……いや、電流はアンペアか。
むしろ電力のワットで考えたほうがいいのか?
……どうでもいいか。
さて、グレイウルフの群れも半分に減ったわけだが、こうなるとこいつらもうダメダメなんだよな。
向かってくる気配が一気に無くなるんだが、かといって逃げるわけでもない。
なんかオロオロし始めて「お前いけよ」「いや、お前が先いけよ」みたいなじになる。
こうなると魔をつかうまでもないので、1匹ずつ丁寧にレイピアで仕留めて行く。
以前は何回もループして苦労した相手だったけど、もう勝負にすらならんな。
この階層は他にもホブゴブリンが雑魚として現れる。
それでも2階層のボスより弱いわけで、なんの苦もなくボスエリアに到著。
ここは歯ブラシでお世話になってる半人半豚のオークがボスだった。
5のオークの群れだったが、特に苦戦することなく勝利を収め、4階層へ。
4階層になると、オークやコボルトが雑魚で出てくる。
コボルトってのは半人半犬のモンスターね。
いま目の前にいるのはその”コボルト”と呼ばれる、人のに犬の頭が乗っかった奴なんだが、もともとコイツは”ワードッグ”って呼ばれてたらしい。
本來のコボルトは”犬みたいな頭”だけど、全が爬蟲類風の鱗に覆われた竜族の端くれなんだわ。
しかし「狗頭のモンスター=コボルト」って認識が広まってからは、みんながみんなワードッグをみてコボルトと呼ぶようになったので、今はこいつらがコボルトってことで落ち著いてる。
じゃあ元祖コボルトはどうなったかというと、”リザードコボルト”と呼ばれるようになったんだとさ。
ちなみに元祖ことリザードコボルトのほうが、圧倒的に強かったりする。
なので、目の前にいる3匹の偽コボルトの群れなんぞは魔を使うまでもなく、サクサクっと倒せちゃうんだな。
順調に魔石を集め、4階層ボスエリアに到著する頃には木箱山盛りの魔石を得ることが出來た。
りきらない魔石は取りあえず冷蔵庫に。
4階層のボスは、ハイオークが率いるオークの群れ。
ハイオークってのは名前から分かる通りオークの上位種だね。
そのハイオークセイバーが1と、いろんな武持ったオークが6の計7。
特に苦戦することもなく勝利し、いよいよ5階層へ。
朝からぶっ通しで探索してるからかなり疲れてはきたものの、苦戦することはないので5階層の攻略は終わらせておきたいところだ。
一応『下級自己回復』で筋痛や疲労なんかはし軽減できるから、問題ないだろう。
5階層になるとフレイムハウンド、マッドタートル、アクアフロッグといった屬を持ちモンスターが現れる。
こいつらはその屬に応じた能力やショボい魔法を使ってくるんだが、かわすなり魔で相殺するなりして問題なく対処。
適度に魔石を集めつつボスエリアへ。
5階層のボスは各種ハイオーク3とフレイムハウンド3匹の混パーティー。
流石にここまでぶっ通しでダンジョン走り回ってると疲労も限界だったので、申し訳ないけど『魔刃』と『魔槍』フル活用でサクッと退治。
そのまま階層制限を利用してダンジョンを出た。
**********
結局なんやかんやで8時間ほどダンジョンに潛っていたらしい。
まだ日は高いが今日はもう仕事やめよう。
まずは魔石の買い取り所へ。
「おお、山盛りだねぇ」
俺が出した魔石りの箱を見て嬉しそうに聲を上げる付のおっさん。
「すんません、まだありますんで」
「おおう、そうか。じゃあこっちに出してくれや」
と、付卓に空の木箱を用意してくれたので、収納庫からその木箱へ魔石を移。
「ほうほう、なかなかのもんだ。よっこいせっと」
魔石の計量が終わり、結果18kg採取していたことがわかった。
ドロップアイテムと合わせて本日237Gの果。
「じゃあ、またよろしくな」
「どもっす」
稼ぎとしては悪くない。
もっと深く潛ればもっと効率よく魔石を採れるだろうし、まだまだ戦闘で苦労するレベルじゃないから、ダンジョン探索を活のメインにしてもいいかもな。
稼ぎの面以外でも、経験値とSPが格段に違うわ。
今日だけでレベルは3も上がったし、SPは12,000ぐらい稼げた。
世界を救うってのがなんなのかわからんが、強いほうがいいはずだ。
さて、魔石10kgの課題もクリアしたし、一度魔師ギルドに行こうと思う。
ここからだとエムゼタが圧倒的に近いんだが、ハリエットさんに會いたいのでトセマへ行くことにした。
ここからトセマへ直通の寢臺馬車があるらしく、出発は十刻(午後8時)。
現在八刻(午後4時)ちょっと前。
とりあえず浄化施設が使える一番安い休憩プランで30Gってのがあったので、それを利用する。
裝備をつけたまま『浄化』をけ、防を外した後、ジャケットを掛け布団代わりにして雑魚寢スペースで仮眠。
この時間はほとんど人がいないから、結構快適。
九刻(午後6時)ごろ、空腹で目が覚める。
そういや朝メシ以降何も食ってねぇや。
<空腹耐>は意識しないと発しないからね。
**********
屋臺の集まるフードコートみたいなところがあるので、2つ3つ屋臺をハシゴして適當にメシを確保した後、開いているスペースに座る。
串焼き3本とラーメンみたいなものを食べる。
味いなぁ。
……と、そんなじで気分よく飯食ってると、ジータさんがやってきた。
なぜか手にはグラスが2つ。
「ここ、いいですか?」
「え? ああ、どうぞ」
ジータさんがテーブルを挾んだ向かいに座る。
「ショウスケさん、ビールは飲まれます?」
「ええ、まぁ」
「よかった。じゃ、これどうぞ」
と一方のグラスを俺に差し出す。
「えーっと」
「同門の再會と、今朝のお詫びということで、け取っていただけると嬉しいです」
ま、そういうことなら斷るのも失禮か。
「じゃ、遠慮無く」
「では、再會を祝して」
ジータさんがグラスを向けてきたので、こちらもグラスを合わせる。
木製のグラス同士が「コツン」と間抜けな音をたてたあと、とりあえず2口ほどビールをあおる。
「改めまして、今朝はすいませんでした」
ジータさんが軽く頭を下げる。
「いやいや、俺の方こそ途中で切り上げちゃってごめんね。あの後大丈夫だった?」
実はちょっと気になってたんだよね。
「ええ。1分ほどでボスエリアにれましたので、特に問題はなかったですよ」
「そう、よかった。ところでジータさん、なんであの2人と行してんの?」
これも気になってたんだよね。
知り合いとかかな?
「私は訓練のあとしばらくしてエムゼタに行ったんですよ」
ジータさんいわく、彼はパーティーを組みたくてメンバーを集めようと思ったのだが、細剣ってのはとにかく人気がない。
トセマじゃ話にならんと思ったジータさんは州都エムゼタに向かい、そこで剣士募集の記事に片っ端から応募した結果、採用してくれたのがあの2人だったんだと。
っていうか、細剣使いってそんな人気無いのな。
俺はソロだからあんま関係ないけどさ。
「ところでショウスケさん、パーティーにるつもりはありませんか?」
「はい? パーティー?」
「ええ。単刀直に言いますが、私達のパーティーにってもらえませんか?」
……なんですと?
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