《死に戻りと長チートで異世界救済 ~バチ當たりヒキニートの異世界冒険譚~》第40話『新兵』
「じゃあ、俺はそろそろダンジョンに戻りますわ」
面倒な依頼に巻き込まれたが、1,000Gの報酬はデカいな。
ハリエットさんには會えなかったが、結果的にはトセマに戻って正解だったわ。
「あの! 私も……」
「はい?」
ギルドを出ようと踵を返したところでデルフィーヌさんに呼び止められる。
「ショウスケくんさぁ、せっかくパーティー組んだんだから、ダンジョン探索も一緒にやったらいいんじゃない?」
何言ってんだこの詐欺トカゲは。
「いやいや、パーティーっつっても今回だけの臨時パーティーでしょ? 依頼が終わったら解散ってことでいいと思うんだけど」
「え……」
ええー!? なんかデルフィーヌさん泣きそうな顔してる―!!
いやいや、ソロのほうが気楽だって前言ってたじゃん。
……ってかその泣きそうな顔もいいなぁ、ってそんなこと考えてる場合じゃねぇわ。
「いやあのさ」
「ダンジョン!」
「はい?」
急に大聲出すんだよなこの人。
「私も、ダンジョン……行きたいんだけど」
「はぁ」
「Fランクだから……」
「……一緒に連れてけと?」
「……お願いします」
深々と頭を下げられた。
そうまでされると斷りにくいなぁ。
「えーっと、そうですねぇ……。とりあえず10階層まではソロで攻略するようカーリー教に言われてるんで、それが終わってからでいいですか?」
「うん、いい! ありがとう!!」
なんか満面の笑みで言われた。
あれ、この人のこんな笑顔みたの初めてかも。
……やばい、すげー可い。
「……ショウスケくん、10階層までソロって本気で言ってんの?」
「はい。カーリー教からの試験というかそんなじで、10階層までソロで攻略出來たらDランク昇格試験をやってくれると」
「なるほど……。つまりカーリーさんは君ならそれが出來ると見たわけだ」
そういうと、フェデーレさんは一冊の本を取り出した。
表紙には『エムゼタシンテ・ダンジョン完全攻略ガイド』と書いてある。
ゲームの攻略本かよ。
「2人とも、これ見てみな」
ペラペラとページをめくっていたフェデーレさんに呼ばれ、俺とデルフィーヌさんは本を覗き込む。
そこには半人半牛のモンスターがいた。
「これがエムゼタシンテ・ダンジョン10階層のボス、ミノタウロス」
おおう、マジか。
めっちゃ強そうだな。
「ちなみにDランクね」
「じゃあEランクの俺では厳しいと?」
「さて、どうだろうね。ちなみここでいうDランクってのは4人以上のDランクパーティーなら倒せるよ、って目安だから、ソロだとCランク相當だね」
「Cランク?」
おいおい大丈夫かよ。
「ショウスケくん、いま何階層?」
「えっと、5階層のボス倒したんで、次は規制解除後にもう一回5階層からです」
「……2日で5階層まで行ったの? ソロで?」
「ええ、まぁ」
フェデーレさんが難しそうな表で黙りこむ。
デルフィーヌさんは狀況がよく把握できていないのか、俺とフェデーレさんの顔を互に見ている。
「デルフィーヌちゃん、キミ足手まといだわ」
「え……!?」
デルフィーヌさん、また泣きそうな顔になってる。
可いなぁ……、っていかんいかん。
今朝の寢起き姿見てから妙に意識してしまうなぁ。
しかし、デルフィーヌさんには悪いけど、フェデーレさんの言うとおりなんだよな。
グレイウルフの群れごときにやられるようじゃダメダメなんだよね。
あれから強くなってるならいいけど、この人薬草採取メインだもんね。
「デルフィーヌちゃん、武は何が使えるの?」
「弓なら……結構得意」
お、さすがエルフ。
でも弓はなぁ……、矢が消耗品だからなぁ。
「弓は……矢の調達が大変だねぇ」
「う……」
デルフィーヌさん、俯いちゃったね。
「魔はどんなじ?」
「えっと、生活魔と回復魔の冒険者基本パックとか下級攻撃魔パック……あ、あと『聖』屬の下級攻撃魔は使える」
って、最後なんで恨めしそうにこっち見るの?
借金背負わせたのはアレだけど、大いに役立ったじゃん!
俺の『聖纏剣』の方が今のところ無駄になってるよー!!
「よし! じゃあデルフィーヌちゃん、そんなアタナに”魔弓まきゅう”をオススメ!!」
そう言ってフェデーレさんは短弓を取り出した。
「これはね、下級攻撃魔の『矢』系魔を撃てる弓なんだよ」
おお、そんなものがあるのか!
「デルフィーヌちゃんは懐に余裕はなくても魔力に余裕はありそうだもんね」
「ちょ、うるさい!」
デルフィーヌさんが顔真っ赤にして抗議する。
流石にそれは言いすぎだと俺も思う。
「ごめんごめん。あとこういうのもあるよ」
フェデーレさんが取り出したもうひとつの武に、俺の目はくぎ付けになる。
「な……、これ!?」
「これは『弾』系魔を撃てる”魔筒まづつ”ね」
「じゅ……じゅ……銃やないですかこれ!?」
「銃? ああ、そういやそういう呼び方もあったね」
フェデーレさんが取り出したのはまさしく拳銃だった。
し古くさい型だが、立派なリボルバー式だ。
「元々は火薬を使って金屬の弾を飛ばす武だったらしいんだけど、威力が弱くてね。大昔に何処かから伝わったものの結局品としての価値ぐらいしか無いものだったんだよ」
まあ、魔なんてものがあったり、魔力や強化で能力を上げることが出來るんなら、火薬の量や口徑で威力が決まる銃より、弓矢のほうが強かったりするんだろうな、この世界じゃ。
「ところが魔と魔道の発達で見直されるようになってね。この魔筒には本に魔を込めて使うこともできるし、魔石をれて使うことも可能なんだ」
「へええ。魔石をシリンダーにれるの?」
「そ。特殊な形に加工しないといけないけどね。うちのは空魔石いれてて、そこに魔を裝填するタイプ」
本來魔石というのは、魔道なんかの力として使うとだんだん小さくなっていき、最終的には消滅するんだが、魔石の中の魔力だけを抜き取って、魔を出しれできるような特殊な加工を施したものを”空魔石からませき”という。
「どうやって魔を込めるんです?」
「それを持った狀態で『弾』系魔を使えば、詠唱終了後に裝填されるよ。で、そこの引き金を引くと発」
「これって事前に6発準備出來るの?」
「そうだよ。それがこの魔筒の特徴だね」
「へええ」
「隨分熱心に見てるねぇ。よかったら訓練場行く? 試だけなら無料でいいよ?」
「行きます!」
「わ、私も!」
**********
訓練場にはフェデーレさんもついてくることになった。
さすがに無料で貸す以上、放ったらかしってわけにもいかないようだ。
だだっ広い訓練場の片隅にある撃場に到著。
ここは弓や弩の訓練に使われる場所で、通常の的の他に、自修復機能を持つ人型のゴーレムなんかも置いてある。
幸いこの日は俺達以外人はいなかったので、思う存分試出來る。
まずはデルフィーヌさんが魔弓を構える。
矢をつがえず弦を引くと、そのきをなぞるように炎の矢が現れる。
『炎矢』を使ったのだろう。
なんだか惚れ惚れするほど堂にったきだ。
そして次の瞬間、炎の矢が放たれると、その線上にあった巖のゴーレムが散した。
「「え……?」」
俺とフェデーレさんは同時にマヌケな聲を出してしまう。
見事ゴーレムを撃ちぬいたデルフィーヌさんは、嬉しそうにこちらを向いたが、俺たち2人のマヌケな顔を見てし不機嫌な表を見せた。
「あの、私一応ハイエルフなんだけど?」
「ホントに!? いや、てっきり僕は普通のエルフか下手すりゃハーフなんじゃないかと」
今度はフェデーレさんが1人で驚く。
ハイエルフと普通のエルフの違いってなんでしょね?
でもハーフエルフ呼ばわりはまずいんじゃね?
なんかハーフエルフってエルフからは忌避されてるってのがファンタジーものの定番なんだけど……。
「失禮ね」
って言う割にはそんな怒ってないな、デルフィーヌさん。
「いや、だって、ハイエルフって魔法とかバンバン使えるイメージあるんだけどさ。デルフィーヌちゃんわざわざ魔覚えてるから」
「いつの時代の話をしてんのよ。ここまで魔が発達してるのよ? 今時のエルフはわざわざ魔法なんて覚えないわよ。例えハイエルフであってもね」
「ええ~、なんかガッカリ」
「勝手に期待して勝手に落ち込まないでよ。その分今時のエルフは樹海にいる間弓の修行に時間を費やすのよ。あの時だって弓矢さえあれば……」
と、こちらを見るデルフィーヌさん。
なるほど、弓矢さえあればあの程度の窮地はせたってことね。
いや、いまの景見たら納得だわ。
魔弓ってのは、『矢』系魔に弓の威力が上乗せされるらしい。
ただの『炎矢』じゃあ巖製のゴーレムに當たっても表面をちょっと焦がして削るぐらいだろう。
それが散だぜ?
溜めが結構あったからおそらく『火矢』へ魔力を上乗せしてるんだろうけど、それを差し引いても弓の腕は大したもんだと思う。
その後、フェデーレさんがなんかコントロールパネルみたいなところ作すると、ゴーレムがき出した。
結構素早くいていたたんだが、デルフィーヌさんは『氷矢』『雷矢』『魔矢』『聖矢』をそれぞれゴーレムに放ち、全弾命中の上、例外なくオーバーキルとなる。
これなら非常に頼りがいのある戦力になるわ。
続けて俺が魔筒の試を行ったんだが……、こりゃ実戦で使うのはどうなんだろうね。
最初は「拳銃だー!」ってテンション撃ちまくってたんだけど、冷靜に考えたら『弾』系しか撃てないって不便じゃね?
それに魔弓と違って、個人の能力に依る威力補正もあんまないし、空魔石の容量の関係で魔力の上乗せも出來ないし、命中率に関してはむしろ下がってるんだよね。
それは俺の銃の腕が悪いからだけどさ。
まあ6発事前準備できるから、連できるのはありがたいけどね。
まあ、銃を撃つ行為ってのは的みたいで楽しいから撃ちまくったけどさ。
《スキル習得》
<撃>
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