「おざーっす」

「お、おはよう」

早朝、駅でデルフィーヌさんと合流する。

昨日の件もあって、ついつい視線が下半にいってしまったところ、デルフィーヌさんに見咎められた。

「殘念だけど」

そういうと、何を思ったかデルフィーヌさんは自らスカートをたくし上げた。

「ドロワーズ履いてるから……！」

……まったく、これだからというやつは度し難い。

なんてことを言うといろんな人に怒られそうだが、とにかくは男の覚を理解できていないと言わざるをえない。

スパッツを履いてるから大丈夫、水著だから大丈夫、見せパンだから大丈夫……。

まったくもってわかっていない。

男という生きは”スカートの中が見える”という現象にエロスとロマンをじるのであって、”中に何を履いているのか”というのは二の次なのである。

さらに、その”スカートの中が見える”という現象がいかにして起こるか、というところも重要だろう。

風に吹かれて、ちょっとした作の合間に、絶妙な角度から等々……。

どういうシチュエーションが至高かという點では好みが別れるところであろう。

ちなみに私ワタクシ、ショウスケ・ヤマオカがもっとも好むのは”本人が恥ずかしげ・・・・・に自分の意志でスカートをたくし上げる”というシチュエーションである。

先ほど、デルフィーヌ史は何事も無く平然にスカートを上げたようなフリを裝っていたが、明らかに頬を染めていたし、今そのスカートを下ろした後も、勢いで取ってしまった自分の行を後悔するかのような、なんとも言えない絶妙な表を浮かべており、これもまた私ワタクシが大いに好むところである。

そして先ほど”二の次”といったスカートの中だが、あくまで”二の次”であって”どうでもいい”ワケではない。

重要度は低いものの、スカートの中もまたエロスとロマンをじるそれなりに重要なファクターなのである。

確かにデルフィーヌ史はドロワーズ、即ちかぼちゃパンツを履いており、出部分はなかったが、そもそも出部分は多ければいいというものではない、ということを男諸兄の多くには同意いただけるものと思っている。

彼はドロワーズを履いていた。

その裾からびる太ももは、付けを隠されてるからそこドロワーズの裾と素との境界線にそこはかとないエロスをじることが出來る。

そしてそれ以上に重要なのは反対側の境界線。

即ちウェスト部分である。

彼が今日履いているスカートは、しウェストが高い位置にある。

ここまで語れば一部の明敏なる男諸兄にはある程度察しがついたのではなかろうか。

ドロワーズのウェスト部分の境界線と、比較的に高い位置にあるスカートのウェスト、その間にはなにがあるか？

そう、ロマンである。

ほんの僅かではあるが、確かにヘソが見えたのだ。

長々と語ってきたが、つまるところ私ワタクシが何を言いたいのかというと……

「ごちそうさまでした」

俺は瞑目し手を合わせた。

「ば、馬鹿じゃないの！？」

自分がやらかしたことの重大さをごまかすかのような罵聲を殘し、彼は馬車に乗り込んでいった。

お嬢さん、それもまたご褒なのですよ。

この変態紳士にとってはね！

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

今日の馬車代は俺持ちだ。

つまり、馬車の座席を手配したのも俺だ。

基本的に高速馬車の座席は全席指定だ。

こちらから希を伝えればそれにそった座席を用意してくれるが、俺は面倒なので先方に任せるようにしている。

同じ人間が2席とって特に指定がなければ、座席は隣同士になるわな。

というわけで俺とデルフィーヌさんは仲良く隣同士の席に座っている。

先ほどのこともあってか、向こうからは話しかけづらいようだ。

ここは空気を読めないふりをして俺から話しかけるしかあるまい。

「そういやさ、なんであの時弓矢持ってなかったの？」

「え！？　あの時？　……ああ、あの時……」

せっかくなので気になることを訊いておく。

あの時というのはもちろん彼がグレイウルフの群れに襲われた時のことだ。

あれほど弓の腕があるなら、それなりの弓矢を持っていればグレイウルフごときに遅れは取らなかったと思うんだよな。

「お金が……なかったのよ……」

デルフィーヌさんは消えりそうな聲でそう答えた。

いや、俺もお金では苦労してるからその気持わかるわー。

いまも借金結構あるもんなぁ。

「そっかー。そういやさ、昨日ギルドの宿泊施設で見かけなかったけど、どこに泊まったの？」

そうそう、昨日はデルフィーヌさんいなかったんだよね。

またあの寢ぼけ姿見たかったんだけどな。

「自分の部屋に決まってるでしょ」

「え！　お金ないのに！？」

「うるさいわね！！」

「あ……ごめん」

つい反で応えてしまったけど、今のはちょっと失禮だったな。

うーん、しかし優先順位がおかしいよね。

部屋借りる金があるんならそっち削って弓矢を用意すればいいのに……って思うけど、そこはやっぱ特有のこだわりがあるんだろうなぁ。

「あ、気になってたんだけど、エルフとハイエルフの違いって何？」

そう、これもちょっと気になってたんだよね。

昨日のクロードさんはどうやら普通のエルフらしい。

対してデルフィーヌさんはハイエルフ。

違いがいまいちわからんのだよね。

「えーっと、エルフはエルフ同士の夫婦の母親から生まれるんだけど、ハイエルフは木に生なるの」

「は？　木に？」

なんでもハイエルフというのは、エルフの夫婦の間にできた卵を白木はくぼくという木にに宿すことによって生るらしい。

ただ、その白木ってのは滅多にない上に、ハイエルフを1人実らせたら枯れるんだと。

その上エルフってのは長命なせいか妊娠しづらく、希な白木を見つけてもその時卵を宿している夫婦がおらず、白木が普通に実をつけるともうその時點でアウト。

白木ってのはとにかく一度実をつけると枯れてしまうらしい。

しかも厄介なことに、その実から採れる種を植えたところで白木は芽を出さない。

白木がどのようにして発生しているのかというのは依然謎だそうな。

次にハイエルフの特徴だがハイエルフはエルフに比べて魔力が高く、代わりに能力は低い。

だったらやっぱ魔法を覚えたほうがいいじゃね？　って思うけど、いまエルフの里である”ネサ樹海”では魔法を覚えるのはダサいらしい。

うーん、よくわからん。

ちなみにダークエルフというのも存在する。

そっちは黒木こくぼくという木に生るんだとか。

ダークエルフはハイエルフとは逆に、魔力が低い代わりに能力が高い。

ただ、この能力の高低についてはあくまでエルフ基準で、ハイエルフの能力はヒトと変わらんし、ダークエルフの魔力はヒトとは比べにならないほど高い。

それ以外にもハイエルフは『』屬に適応があり、ダークエルフは『闇』屬に適応があるという特徴もあるが、魔が主流となった昨今、あまり意味がないらしい。

……聞けば聞くほど魔法を習得したほうがいいと思うんだけどなぁ。

「やっぱダークエルフとハイエルフって仲悪いの？」

「なんで？　同じエルフ同士仲いいに決まってるじゃない」

「あれ？　じゃあハーフエルフって嫌われたりする？」

「同じエルフのが流れる仲間でしょ？　なんで嫌うのよ」

おやおや、俺が知ってるじじゃないな。

なんかいろいろイメージ崩れてがっかりする部分はあったけど、まあ差別とかそういうのがないってのはいいことだよね。

「そういやデルフィーヌさんはなんでトセマにいたの？」

「デルフィ！」

「はい？」

「……って呼んでいいわよ」

「えーっと……」

「毎回毎回デルフィーヌさんじゃ呼びづらいでしょ。だから……」

「いや……別に」

「まだ長い？　じゃあフィーヌは？　なんならデラでもエラでも呼びやすいように呼んでくれていいわよ！」

いや、別に”デルフィーヌさん”でも全然問題ないんだけど、それは選択肢にないんだろうなぁ。

「ああ、うん、じゃあデルフィで」

歐米系のニックネームってよくわからんけど、日本人的覚だとそれが一番しっくりくるので。

「デルフィはなんでトセマに？」

エルフってのは100歳で人を迎えると、とりあえず樹海を出るらしい。

で、そこからは好きに生きていいんだと。

ただ、樹海を出たエルフは外界で知り合った人たちが壽命を迎えて死に始めると、なんか寂しくなって樹海に帰ることが多いんだとか。

そのままずっと樹海に引きこもる人もいれば、しばらくして外に出る人もいる。

もちろん樹海に帰らず外界で過ごす人もいる。

デルフィは1年ほど前に樹海を出て、いろいろ放浪しているに蓄えが盡きたのでたまたま訪れていたトセマに腰を落ち著けたらしい。

特に目的があってあそこにいたわけじゃないみたい。

とまあいろいろと喋ってたけど、そんな仲いい訳じゃないからすぐに話題も盡きるわけで。

會話が減ってくると眠気が増えてくるのもまた必然ってやつでね。

気がつけば寢てたわ。

途中目が覚めてデルフィの方見たら、口半開きでヨダレ垂らしながら寢てた。

普通ならマヌケな表でも、人だと絵になるもんだねぇ。

さてと、眠気はなくなったものの同行者はアホ面で寢てるし、やることないから暇つぶしがてらステータス確認しとくか。

－－－－－－－－－－

名前：山岡勝介

職業：魔道剣士

レベル：19

HP：978

MP：1829

攻：C+(C+)

魔攻：B（B）

防：D+(D)

魔防：D+(D+)

力：C-

神力：C-

魔力：C+

賢さ：D+

素早さ：E+(E+)

用さ：E+

運：E

【所持金】

現金：165G

カード：288G

【裝備】

革のベスト(ゴブリン)：防G /魔防G-

革のジャケット(オーク)：防F- /魔防G+

革のズボン(ゴブリン)：防G+ /魔防G-

蜘蛛糸のシャツ(Gスパイダー)：防G /魔防G

革のショートブーツ(Gボア)：攻G- /防G /魔防G- /素早さDOWN

【所持アイテム】

革の巾著

歯ブラシ

洗口

傷用膏

タオル

枯霊木の杖：攻G- /魔攻F /魔効率UP /魔詠唱短

【稱號】

Eランク冒険者

Eランク魔士

Fランク治療士

エムゼタシンテ・ダンジョン5階層制覇

薬草採取士：薬草判別効率UP /薬草採取効率UP

魔道士：魔効率UP /魔法効率UP /魔攻UP /魔力UP

魔道剣士：攻撃系戦闘付與魔効率UP

解講座修了者：解効率UP

基礎魔道講座修了者：魔効率UP

攻撃魔基本講座修了者：攻撃魔効率UP /攻撃魔詠唱短

基礎戦闘訓練修了者：戦闘系スキル習得率UP /戦闘系スキル長率UP

【スキル】SP：25,642

稲荷の加護

言語理解

細剣：Lv6

撃：Lv1

無魔法：Lv3

炎魔：Lv2

氷魔Lv:2

雷魔：Lv2

無魔：Lv4

聖魔：Lv3

生活魔：Lv3

魔力知：Lv5

魔力作：Lv5

気配察知：Lv5

気配隠匿：Lv4

採取：Lv3

草刈鎌：Lv2

野鋏：Lv2

掬鋤：Lv2

解：Lv5

恐怖耐：Lv2

毒耐：Lv1

気絶耐：Lv2

酔い耐：Lv1

空腹耐：Lv1

【スタート地點】

トマセの街　北門前

572/08/09

03:010:35

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うん、順調にレベル上がってんね。

金は借金返済してるから全然貯まんねーけど。

ちなみに武防は収納庫にしまってます。

しかしあれだね、魔系のスキルはいくら使ってもスキルレベル上がらんね。

どうやら魔系のスキルレベルは習得魔數で決まってるらしく、SP使っても上げらんねぇみたい。

SPはだいぶ貯まってきたな。

たぶん10階層到達前には目標達できそうだわ。

おっと、そろそろ乗り換えだな。

「デルフィ……デルフィ……！」

「……んぁ」

「乗り換えだよ、起きな」

「うーん……」

揺すったり軽くほっぺた叩いたりしてもちょっと唸るだけで全く起きる気配がない。

引っ張り起こしてみたらとりあえず立ち上がるには立ち上がったが、目は半分閉じたまま。

「なぁに……？　どこ……？」

「乗り換え。行くよ？」

「ん……」

まだ寢ぼけてるようだが引っ張ればヨタヨタと歩くようなのでとりあえず手を取り歩いて行く。

くそ……、やっぱ寢起き可いな。

あと、手が溫あったかくてらけぇや。