＜薔薇の戦士連隊・隊員任命権＞がどうやら攻略の鍵になりそうだ。

コンちゃんを攻略する上で重要なのは、やはりダンジョンコアの停止だろう。

そのための布石を出來るだけ打っておかないとな。

まずはダンジョンを有する州の州牧あたりか。

心當たりのある俺は、エムゼタに行き冒険者ギルドのメンバー募集記事を見ていく。

「ゴードン……たぶん、これだな」

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前衛・後衛・斥候急募！！

當方剣士2人（Fランク長剣＋Fランク細剣）とCランク魔士の3人パーティー

前衛職で防に長けた方、弓や投擲、魔で後衛を務められる方、斥候として罠の解除や索敵を行ってくれる方を募集してます

Eランク以上希

Fランク以下でもやる気のある方は大歓迎です！

最終的には5～6人パーティーでダンジョン制覇を目指しています

まずは一度エムゼタシンテ・ダンジョン淺層を一緒に探索してみませんか？

當方もまだまだ冒険者としては未ですので、一流の冒険者を目指して頑張りましょう！！

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……なんだこのアマチュアバンドのメン募みたいなのは。

まぁいいや。

たぶんこれがエカナ州牧のお孫さん、ゴードン君のパーティーだろう。

剣士のの細剣使いはジータさんに違いあるまい。

「あのー、この人たちと連絡取りたいんですけど」

というわけで、俺はその募集記事をギルド付に提出した。

2日後、さっそくエムゼタシンテ・ダンジョンにってみよう、ということで午前中の早い時間に現地集合となる。

なんか「とりあえずスタジオってみましょうか」っていうアマチュアバンドのノリだよな、これ。

「はじめまして。Fランク冒険者のゴードンです」

まずは屋臺で合流し、簡単な自己紹介を済ませる。

「えっと……なぜSランクのお二人が僕らなんかと？　いや、僕らとしては凄く嬉しいんですが……」

ここは正直に話しておこうか。

それで斷られたら別の方法を考えよう。

「ゴードンさんに対しては失禮な申し出かもしれませんが、俺たちは州牧とのコネを作りたいと思っています」

そこでゴードンくんと魔士のじいさんんが険しい表になる。

ジータさんは困しているようだな。

「……そのために僕を利用しようと？　そのような申し出を僕がけるとでも？」

「見返りとして、ダンジョン探索と、そして強くなるためのお手伝いは出來るかと」

「強く……？」

ゴードンくんの目に興味を示すが燈る。

じいさんの方は複雑な表だ。

俺たちがどこの馬の骨とも知れぬ有象無象なら一喝して終わりなのだろうが、一応Sランク冒険者であり、俺たち『ヤマオカズ』が皇帝に謁見したことも、このじいさんなら知っているだろう。

権威主義者なじいさんとしては、俺たちの背後に見えるものがあまりにも大きすぎるので、どう接していいかわからないんだろうな。

もちろんゴードンくんに危害を加えるようなことになればしっかりくとは思うけどね。

「俺が薔薇の戦士連隊の連隊長代理だということはご存知で？」

「……ええ、まぁ」

「皇帝陛下と冒険者ギルド本部ギルドマスター、そして相國しょうこく閣下が隊されたのも？」

「ええ……」

ちなみに相國ってのはあの宰相っぽい人の役職。

政務だけでなく軍務も取り仕切ってるすげー人らしいわ。

頑張り過ぎて壊しちゃいけないので、＜HP自回復＞を追加しといたよ。

ちょっとでも疲れがとれますように……。

「どうです？　ゴードンさんも薔薇の戦士連隊に隊されては？」

「え？」

そこからは手八丁口八丁で説得し、連隊への隊と、共にダンジョンを探索することを了承させた。

こんな事もあろうかと＜渉＞を習得し、最大レベルまで上げてあったのだ。

ゴードンくんだけでなく、ジータさんと魔士のじいさんにも隊してもらう。

ゴードンくんは＜長剣＞、ジータさんは＜細剣＞、じいさんは＜詠唱短＞のレベルをそれぞれ上げ、余ったSPで全員の＜魔力作＞も上げておく。

隊直後に天啓が降りたことに、3人は驚いているようだった。

簡単な打ち合わせを終えてダンジョンへ挑む。

俺とデルフィは事前に10階層までを攻略しており、ほかの3人に合わせて転移陣を使うことに。

どうやらすでに5階層は攻略しているらしいので、5階層再アタックからのスタート。

俺とデルフィが同行する場合に限っては階層規制を行わないことにしてもらった。

ダンジョン攻略は基本的にゴードンくんら3人を中心に行ってもらい、俺とデルフィは補佐に回る。

隊してもらった以上、彼らには経験値とSPを稼いでもらいたいからね。

SPが貯まるごとに適宜スキルを習得させたりスキルレベルをアップさせたりしていくと、3人とも面白いように強くなっていったよ。

特にじいさんのはしゃぎっぷりは凄かったな。

自は魔士としての限界に達していたと思っており、今回も足手まといになりそうだと判斷したらパーティーから外れるつもりだったらしい。

ところがバンバン天啓が降りてどんどん魔の腕が上がっていくもんだから、楽しくってしょうがないみたいだ。

＜魔力作＞＜詠唱短＞＜多重詠唱＞＜MP消費軽減＞のレベルを上げていけば、魔の腕は面白いように上がるからね。

剣士の2人も各剣スキルだけでなく、＜魔力作＞を上げ、あとは俺が適宜アドバイスすることで、魔力を作して能力を上げることも出來るようになったし。

一週間で一気に20階層まで攻略。

21階層からの荒廃エリアはさすがに『聖』魔がないと厳しいので、エムゼタに行ってもらった。

前衛二人には『聖纏剣』等の魔剣と魔紋のった裝備を揃えてもらい、魔士のじいさんには『聖』屬の攻撃魔を一通り覚えてもらう。

そしてさらに一週間をかけてダンジョンを完全攻略した。

さすがに最後のドラゴンはちょっとお手伝いしたけどね。

そこで俺たちは、ダンジョンコアである真島裕太と再會。

ダンジョン制覇の実績を得たお三方には先にお帰り願い、俺は真島と対峙する。

「やあ、久しぶり……かな？」

「うん。前回は散々な目にあったみたいで」

「いやホント、大変だったよー。最終的に倒してくれてありがとね」

「あー、前回は俺がやったわけじゃないけど」

「はは、そうだったね。で、今回は君が僕を倒してくれるのかな？」

「いや、今回は殘念ながらお預けだ。一応聞くけど、DP貯まってる？」

「うん、すごい勢いでね」

「まあ、出來るだけ使わずに貯めこんどいてよ」

「わかったよ。次は期待していいんだよね？」

「おう」

余談だが、このダンジョン制覇の実績で、ゴードンくんとジータさんはBランク冒険者に、じいさんもBランク魔士となった。

ちゃんと実力も伴ってるから3人だけでも充分活できると思うし、実績のおかげで仲間も集めやすくなるだろう。

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「ショウスケ殿、孫が大変お世話になったようで。禮を言わせてもらおう」

で、俺は當初の目論見通りエカナ州の州牧とコネが出來た。

＜渉＞LvMaxを利用した手八丁口八丁で、薔薇の戦士連隊へ隊してもらう。

なんだかんだで皇帝と相國が隊したってのがデカいな。

そこから俺は『友達の友達はみな友達だ。みんなで作ろう友達の』作戦と稱し、コネを広げていろんな州や國、機関の偉いさんを口説いていく。

深淵のダンジョンとタバトシンテ・ダンジョンを有するトウェンニーザ州の州牧はし不機嫌だった。

深淵のダンジョンを制覇したことに対しては凄く謝してくれていたのだが、皇帝との謁見のあと、てっきり自分のところにも挨拶に來ると思っていたのに、なぜかエカナ州牧の元を先に訪れ、しかも薔薇の戦士連隊へ隊させてしまった、ということでヘソを曲げてしまったらしい。

これに関しては完全に俺のミスだが、思わぬ所に解決の糸口があった。

州軍総大將がラザフォード男爵といい、前回基礎戦闘訓練で1日だけ一緒だったあのダリル・ラザフォードの父親だったのだ。

とりあえずダリルの居所を探し當て、ゴードンくんと同じように口説いて隊させる。

あとは活を手伝いつつスキルを上げてやればすぐに懐いてくれたので、そこからラザフォード男爵を口説き、トウェンニーザ州牧に辿り著いた。

會って話さえ出來れば手八丁口八丁で口説くのは簡単だ。

奇縁はさらに続く。

あの駄犬ことアルダベルトの奧さん、フェドーラさんの父親が、國際ダンジョン協會のお偉いさんらしいのだ。

ダリルもアルダベルト夫妻も今回は初対面なのだが、俺的には一度會ったことがあるってことで、赤の他人よりは隨分と接しやすかったよ。

アルダベルト夫妻も同じように隊してもらい、そこからダンジョン協會の偉いさんを數名口説き落とした。

これはかなりでかいな。

さらにヘグサオスク共和國の評議員や、前回も回った獣人の國、鬼人の島、竜人の國でも同じように、権力者や周りに影響のある名士なんかをどんどん隊させていく。

もちろん、そのついでに未発見のダンジョンを再攻略。

若くて小規模なダンジョンはダンジョンコアの復活も早いらしく、復活の度に訪れては停止していく。

魔石の採取にくる冒険者もいないので、出來るだけDPを貯めこむようお願いしておいた。

あと、今回もネサ樹海でデルフィのご両親に挨拶をしたが、ご両親に関してはデルフィの希で隊させなかった。

いろいろ思うところはあるんだろう。

ただ、親父さんの紹介で、ネサ樹海の偉い人を數名紹介してもらい、隊してもらったけどね。

結果、我が薔薇の戦士連隊は100名以上の隊員を得ることに功。

その大半は各國の皇帝や國王等の最高権力者を始めとする、大人たちだった。

あ、それから前回お世話になったガンドルフォさんパーティーやクロードさん、カーリー教、フランツさん、フレデリックさん、ハリエットさん、トセマ冒険者ギルドのフェデーレさんとエレナさん等々、その辺りの人たちも隊してもらってる。

あと、せっかくくっついていいじになってるヘクター夫妻に、二人の事を忘れると面倒なので『魔の館』のママ、それから、あんまお世話にはなってないけど開始直後に事説明が必要なトセマの門番のアディソンさんもついでに隊してもらった。

そして俺たちは2度目の百鬼夜行を迎えることになる。