《勇者の孫、パーティーを追放される~杖を握れば最強なのに勇者やらされてました~》第十一話 『プロテクト』
「今日は魔王軍幹部を討伐するって決めたのに、どうして俺は教會に居るんだろう……」
教會の高い天井を見上げてそっと呟く。
目の前にはエリザが橫たわっている。
お家蕓の戦闘不能だ。
事の始まりは宿を出た瞬間。
戯れる子供たちが魔法遊びで氷結魔法アイスボールを打ちらしたのに気付き「避けろ!」とんだ時には遅かった。
運悪くエリザが流れ弾に當たったのだった。
「やっぱりエリザっちには何か対策が必要だねー」
神父が復活の呪文を唱えている間、ミカはエリザのおっぱいをぽよんぽよんと叩きながら言った。
おい、この子は何セクハラしてるんだ。
エリザをミカのセクハラから守るため、杖を振って魔法を唱える。
「護まもりたまえ!」
詠唱が一言で済む簡単な防魔法プロテクトという魔法だ。
「うわっ、エリザっちのおっぱい急に弾力が増したよー。なんか弾かれちゃうくらい」
嬉しそうに俺に報告するミカ。
違う、それは弾力が増したんじゃなくて俺の魔法の効果だ。
「――は!? わたしは一何を!?」
エリザが目覚めて、もう何度目かになる決まり文句を言う。
「もしかしてわたし、ヘルスライムにやられてしまいましたか!?」
「殘念だがエリザ……お前は町の子供の魔法遊びの流れ弾でやられたんだよ」
「えっ!? なんですかそれ!? モンスターですらないんですか……」
単なる事故で戦闘不能になってしまったことでしょげてしまったエリザ。
「誰にでも失敗はある。その失敗をいかして次の功に繋げるのが賢者への道だぞ」
エリザを勵まそうと聲をかける俺。
「……すみません。何か言いましたか? 泣いてて聞こえませんでした」
くっ、人が真面目にアドバイスしてやってるのに。
「プププ~。アルフかっこ悪~い」
冷やかしてくるのはミカだ。
「こら~! ミカ、お前にだって言えることなんだぞ。この前依頼の報酬ドブに落としてダメにしたこと忘れたのか」
「ひぁぅ! そのことは言わない約束でしょー」
恥ずかしそうに手で顔を覆うミカ。
「まあいい、もう一度ヘルスライム討伐に出発するぞ!」
「次こそは頑張りますっ!」
「……うちも頑張るよー」
出鼻をくじかれる形にはなったが町を出発した。
今度こそヘルスライム討伐ができると信じて。
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