《異世界冒険EX》悠斗と茜⑨
「仮に悠斗君の能力を復元だと仮定すると……茜の能力の詳しい所がわかりそうね」
お姉さんは、俺のけ皿から自分のけ皿に移させたケーキを貪る茜を見ながら、呟く。
「詳しい所、ですか?」
「ええ。例えば茜の能力で何故死ぬのか、実はわかってないのよ。外傷も無ければ、病気にするわけでもない」
お姉さんはそこまで言うと、別のメモ帳を取り出す。
どうやらそれに茜の能力について書いてあるようだ。
「最初は死という概念をそのまま、押し付け殺しているのかと思ったのだけれど、それだと即死じゃないとおかしいのよ」
「そうてすね」
よくわからないが頷いておこう。……小學生にする話じゃないとは思うが。
「結局、試す訳にもいかないから謎だったんだけど、悠斗君の復元の能力で無効化出來るのなら、やはり何かを壊して殺していることがわかるわ」
「……なるほど」
「……そこで一つお願いがあるのだけれど……」
「何ですか?」
結構注文が多いな。お姉さん。やるけど痛いのは嫌だなぁ。
「…………」
お姉さんはしだけ悲しそうな顔して、立ち上がり茜の方を見る。
「茜もついて來て」
「え? ……わかった」
そう言ってお姉さんはリビングから出ていく。
俺と茜もその後に続く。
お姉さんが向かったのは二階の奧の部屋だった。
俺としてはいま橫にある茜の部屋の方が気になるんだけれど。
「……って」
先にったお姉さんが顔だけだして、俺たちを呼ぶ。
「茜もったことないのか?」
「うん。ったら寢てる間に耳にムカデをれるって脅されてたから」
「えげつねえな……」
そんなのされた日には髪のも真っ白になりそうだ。……ちょっと見てみたいなぁ。
だが、そこまでにするからには何かあるんだろう。
俗に言う開かずの間と言うやつか。汚部屋だったり、妖怪が封じられてたりするのだろうか……。
「こっちがお父さんで、こっちがお母さん」
待っていたのは二つの壺だった。
飾り気のない、殺風景な部屋に置かれた二つの壺。
「…………あ、それはご愁傷さまです。線香、あげさせて貰って良いですか?」
もー……だから、壺とか出てこないか聞いたじゃん。いや、予想外すぎる現れ方だけど。
「ありがとう。でも、そういうのはここにはないの。ただ、この壺の中にはね……二人の骨がってるの。いつか生き返らせる為に……。だって、人を殺す力があるんだもの、生き返らせる力もあっていいと思わない?」
「そう、ですね……」
なるほど。その為か、その為に俺の能力が知りたかったのか……。
「お姉ちゃん……」
「茜……。あんたは覚えてる? 両親の顔」
「……うん」
「そっか……」
二人の間に微妙な空気が流れている。俺の知らぬ何かがあるのだろう。
「それで、俺は何をすれば……」
「まずは二人のを復元して貰える? その後に茜が消している何かを……」
うーん……本當にそれで生き返るのだろうか。
……それにまさか、死んだ人の骨にることになるなんて……。
「じゃあ、これ」
お姉さんは壺の中から、どこの骨かわからない骨を渡してくる。
俺はそれをけ取る。が、めっちゃ怖い。
「……やるしかないか……戻れ!」
覚悟を決めて神を集中し、一心不に戻るように願う。
「……っ!」
すると、骨が浮きあがり激しく震えだす。
「…………」
お姉さんは真剣な表でそれを見ている。茜はどこが不安そうな表をしている。
だが
「っ!?」
しばらく震えていた骨が急に止まり、ポトリと床に落ちる。
「……なるほどね」
お姉さんは納得したように頷く。俺は全く意味がわからないのだけれど……。
「流石に元の形がわからないと復元も出來ないか……」
「あ、そうか。確かに」
戻そうにも元の形がわからない以上、戻せないか。
當然と言えば當然だ。
「これは難しいわね……。寫真や映像はあるけれど……それで上手くいくとは思えないわ」
「そうですね。二次元の形で三次元の形を把握出來るとは思えないです……」
というか、どの程度把握出來ていないと戻せないのかわからない。
例えば俺は茜に何かを消されてるはずだが、俺はそれが何かわからないのに復元しているはずだ。
これは自の知らないところで理解できているという事なのだろうか。……わからない。
「……とりあえず、発している以上、復元なのは確定かしら」
お姉さんはそう言って、メモ帳に丸をつける。
「じゃあ、これで俺は平気なのが証明されましたよね?」
「……うーん……、茜に消されてるものが何なのかわからない以上、駄目じゃないかしら?」
「えー!? そんなぁ……」
確かにわかんないけれど……。
ていうかそんなのわかるわけないじゃん。もうこうなったら……。
「……わかりました。とりあえず、もう良いですか? 祭りの為に準備があるので」
「……そうね。また、今度頼むかも知れないけれど……」
「わかりました。じゃあ、お疲れ様です。夜もまたお願いします! 茜、またね!」
「……わかったわ」
「うん。またね」
俺は階段を駆け下り、急いで家に帰る。
そして、中島に電話をかける。
「中島! やっぱり昨日頼んだ通りにお願い!」
『マジか……』
「うん」
『でもなぁ……俺にメリット無くない?』
ふーん……友人にメリットを求めるか……そうか。
「……千恵ちゃんって可いよね?」
『わかった。やめろ』
中島の好みはわからんが、好きな子は知っているのだ。
ちょっとぽっちゃりだが、元気で笑顔が可いの子だ。
『マジで千恵にはちょっかい出すなよ!』
「わかってるって。じゃ、協力よろしく!」
これでよしっと。
後は茜にどうやって伝えるかだね。
まあ、いつものあれでいいか。うん。
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