《異世界冒険EX》魔王⑤
「さてと、もういいかな?」
「まだ……だ……僕は……負ける訳には……!」
「お兄ちゃん……!」
アロードの強さは傍から見ても圧倒的だった。石化剣の力によって、足元から石化していくアルフ。
強化魔法によって全ての能力が上がったアロードは、エリアテレポートよりも速くアルフの背後に回り、二人を突き刺した。
幸いにもエレナはアルフに庇われたおかげで無事だが、彼一人ではどう足掻いても厳しい。
……彼が本気を出さなければ、だが。
「アルフ、降參するんだ。それ以上無理すれば死ぬぞ」
「…………ユウト、さん」
「そうだね。降參すれば石化は解いてあげるよ?」
「だ、誰が……!」
意地を張るアルフだが、今は生き延びる事を考えてしい。俺が何とか説得の言葉を探していると、エレナがアルフへと近づく。
「……わ、私に任せて! 私が、お兄ちゃんの代わりに頑張るから! だからもう、降參して!」
エレナは必死にアルフの手を握り締め、ぶ。無口な彼には珍しい。
「エレナ……わ、わかった。降參だ」
そんな彼に圧されるように、アルフは降參を告げる。
それと同時に石化が解かれ、アルフはその場に倒れ込む。
「しばらくは後癥でけないと思うけど、命に別狀はないから。まったく無駄に意地を張るから。雑魚は雑魚らしく……ていうか、エレナちゃんってさっき戦わ――」
アロードが一度參加したエレナがもう一度戦うのを咎めようと口を開いた瞬間、世界が闇に包まれた。
「な……何、これは。僕の魔法と似てるけど……」
エレナが遂に本気を出すようだ。あまり見たいものではないが。
模擬戦で俺が唯一負けてしまった彼の本気は……はっきりいってえげつない。
「<<ダークエリア>>」
「……な、何さこんなの、魔法で――」
無駄だ。そんなこと俺だって試した。
「発……しない?」
ちょっと違う。発しているが、見えないのだ。
世界を包んだ闇。それらはアロードの目、鼻、耳から侵し、瞬時に視覚、嗅覚、聴覚を消し去る。
そして最後には脳に辿り著き、あらゆるものを消していくのだ。
記憶も、意識も、も。
死ぬことはない。が、死よりもよっぽど恐ろしい魔法だ。
「あ、ああああ? み、見えない! み、みんな! そこにいるんだよね!? ……何で誰も答えてくれないのさ!」
「落ち著け! アロード!」
「しっかりしなさい!」
誰の言葉も今のアロードには屆かない。今、アロードが出來るのは暴れまわるだけたが……。
「返事をしてよ! 位置がわからないと攻撃出來ないじゃんか!」
アロードは攻撃出來ない。見えない、聞こえない、そんな狀況では仲間を巻き込んでしまうかも知れないから。
……そうしている間にも狀況は悪化していく。
「……うう、何これ……え? ぼ、僕は……誰なの? 何で何も……見えない? わからない? スレイ……あれ? 誰だっけ?」
「おい! 降參だ! アロードはもう無理だ!」
スレイはぶが、エレナは解除しようとはしない。
「……こいつの口からは聞いていない」
「…………」
思い出すなぁ。エレナが手を抜いてるのはわかってたから、本気を出させようとアルフの分の首を飛ばしてみた。
我ながら非道だとは思ったが、どうせ分だからと軽い気持ちで。
何人もの分を殺していくに分を殺すことに躊躇いがなくなっていたんだ。
そしてブチ切れたエレナの本気は、俺の手に負えるものではなかった。
本のアルフが止めてくれなかったら、俺は異能を使うところまで追い込まれていただろう。
「ふざけるな! こんな狀況のアロードが言える訳ないだろうが!」
珍しいことにいつも無口なノードが聲を荒げる。
……不味い流れだなこれ。
「エレナ、やめろ」
「…………わかった」
俺の言葉ににっこりと嫌な笑みを浮かべたエレナは魔法を解除し、こちらに戻ってくる。
「もう終わったし」
最悪な言葉とともに。
「アロード、大丈夫か?」
「…………」
座り込んでいるアロード。
その瞳にはなく、口の端からはよだれが垂れている。
……俺は……、どうしたらいいんだ……。
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