《外れスキルのおで最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜》第30話 平和的解決?(1)

 翌日、聡は朗らかな表で、マリウス達と朝食を囲んでいた。

「さ、サトシ?確か、今日中には変態貴族が來るんじゃなかったのか?」

 昨日、『調査しました!』と言って、その報をもたらした當の本人が、のほほんと何のもなく過ごしているため、心配してマリウスが聲を掛ける。

 すると聡は、自信満々に告げる。

「大丈夫ですよ。昨日のうちに、しっかりと手を打っておきましたので。あ、これ味しいですね。」

「え、おい…。」

 超重要事項を話し合っているのにも関わらず、何の気負いも無い聡に、更に表を曇らせるマリウス。

 だが、エマやイルマも何故か落ち著いている。

「あら、ありがとう。そう言って貰えると、作った甲斐があったわ。」

 と、聡の賛辭を、心の底から嬉しそうにしているエマ。

「將來、所帯を持つなら、エマさんみたいな方を奧さんにしたいですね。」

「えっと、さ、サトシさんは、お料理が出來るがタイプ何ですか?」

 そんなエマに対する冗談めかした世辭に、馬鹿正直に反応するイルマ。

「お前ら…。はぁ、こうなったら素直にサトシを信じるしかないか…。」

 『直』のスキルにより、確かにマリウスは聡の実力や人柄に何の疑いも持っていないが、村長としてはこの村の安全を、己の勘では無く、しっかりとした事実に基いて、ハッキリさせたかったのだ。

 だがエマやイルマの様子を見ていると、無理に神経を張り詰めさせようとしている自分がアホらしくなってきた。

「あ、そうだ、マリウスさん。」

「ん?何だ?」

「アノマリーですがね、予定通り、晝前にこちらに到著するみたいですよ。例のアレ・・・・が、酷使し過ぎてもう無いから、補給をするために、寢ているアノマリーを無理矢理馬車に詰めて、部下が勝手に連れて來てるみたいですね。」

「あ、アレの補給だと?…まさか。」

 聡の口調から、アレが何を指すのか思い至ったマリウスは青ざめる。

「えぇ、アレです。…しかしまぁ、村人には指一本れさせませんので、安心下さい。」

「ふぇ!?」

 いきなり、隣に座っているイルマの頭をでながら、聡は真面目な顔で言う。

 因みに聡がイルマの頭をでているのは、ほぼ無意識での行だ。

「さ、サトシさん?」

「え…あ!ごめん!」

 イルマが困半分、照れ半分の表で聲をかけると、聡は漸く自分の行に気付き、平謝りする。

「サトシ!まさかお前、やっぱりイルマを狙っているのか!?」

「い、いえ!そんな事は!何か妹を思い出すといいますか、それでつい…。」

  聡は慌てるあまり、話すつもりのなかったプロフィールを暴してしまう。

「妹?」

「え、えぇ。えっと、まぁ、妹が居たんですけど、もう會う事はないでしょうね…。」

 『こっちに來てから、300年経ってるし』と心の中で茶々をれながら、顔をし伏せる。家族については、100年以上前に既に踏ん切りはついている。しかし々と突っ込まれるのは面倒であるので、何も言えない雰囲気を醸し出すことにしたようだ。

「「「…。」」」

「あ、気にしなくて大丈夫ですよ。もう踏ん切りはつきましたので。」

 案の定『良い人』である3人は、何とも言えない表で、掛ける聲を思案していたようであったため、助け舟を出す。

「そ、そうか。…両親はどうなんだ?」

「あなた!」

「お父さん!」

 聡の言葉に戸いつつも納得したマリウスは、この際だからか、腹を決めたような表で、更なる弾を追加してくる。

 そんなマリウスに、エマとイルマの2人は、咎めるような厳しい聲を上げる。

「いえ、大丈夫ですよ。両親についても同様です。今のところ會える知り合いは、マリウスさん、エマさん、イルマの3人くらいですかね。」

 だが聡は何の気なしに、更に追加報を告げる。

 -そういえば、この世界でまともに話したのは、4人しか居ないのか。ホント、300年も何してたのやら。-

 自の數奇な経験に、聡は自嘲気味に笑う。通常の異世界転移の語であれば、んな人と知り合い、何なら人の1人、2人など、半年もあれば出來そうなものであるからだ。

 だがそんな自嘲を、々なモノを守れなかった自分を責めるものであると勘違いしたマリウス一家が、慌て始める。

「さ、サトシ!えっと、その、だな、これからもよろしくな!」

「サトシ君!私たちを家族と思って、辛い事があったら、何時でも頼って良いんだからね!」

「サトシさん!ほ、本の家族になら、私が何時でもなれるから、その…。」

 口々に聡への勵ましの言葉を告げる3人。若干1名、やらかしたがあるが、スルーする事に決めた聡。

「え、えっと?いきなりどうしたんですか?そんなに一遍に話しかけられても、聞き取れませんよ?」

 勿論噓だが、セリフの最後が消えりそうだった者への救済措置として、聞こえなかったフリをするようだ。

「あ、そうだ。そろそろアノマリー一行が到著なされる頃合いです。門の前で、お出迎えをしましょうか。」

 ニッコリと笑いながら言う聡。

「何!?もうそんな時間か!」

  惚けたついでに、超重要な報を告げる聡。このまま、自が可哀想な子扱いされる、居た堪れない空気を払拭するつもりのようだ。

-アノマリーには謝をしないとだな。丁度良くやって來てくれたおで、イルマの弾発言ともとれる、謎の言い回しを有耶無耶に出來たんだから。まぁ、だからといって、手加減はしないがな…。-

 こうして聡は直接、アノマリー達に立ち向かうことになったのだった。

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