｢おぉ…。ここが冒険者ギルド…。｣

 大きな3階建て位の高さの建を見上げ、嘆の聲をあげる聡。

 冒険者ギルドは、大通りを街の中心部へと歩いて行き、外からも見えた塔の元から、數百メートル離れた位置にあった。

 ここまで宿から10分ほどである。

 道はかなり混んでいたが、この街に慣れているルドルフと、もっと酷い混み合を知っている聡は、するすると人混みを抜け、苦もなく辿り著いたのだった。

｢さて、してるところ悪いが、さっさとろうぜ。｣

｢おっと、すみません。｣

 ルドルフに聲をかけられて、聡は再起を果たす。

｢では、りましょうか。｣

｢おう。｣

 気を取り直して、開け放たれたままのドアから、ギルドへとる。

 中にると、朝だというのに、凄い熱気がじられるほど、人が大勢屯っていた。

 建の奧の方が付、口から見て右手側が、教室3個分くらいの広さの酒場、左手側が依頼書をり付けるボードといった構造になっている。

 ルドルフの話によると、酒場は24時間営業だそうで、満席とはいかないものの、朝から酒を酌みわしている男達が、ちらほら見けられた。

｢ほれ、行くぞ。｣

｢あ、はい。｣

 またしても見慣れない景に、ぼーっとしてしまった聡を、ルドルフが促して、付へと向かう。

｢お、エーリカが居るな。あそこにしよう。｣

 重厚な長機に3人の付嬢が座っていたが、その中にルドルフの馴染みが居たのか、嬉しそうな表を浮かべる。

｢おはよう、エーリカ！｣

 ルドルフが兇悪な笑顔で、右端に座っていたエルフ族の、エーリカに挨拶をする。

｢あら、ルドルフさん。おはようございます。今日は、どういったご要件でしょうか？｣

 エーリカは、金髪碧眼の、これぞエルフといったじのであり、座っているため正確な長は分からないが、155センチくらいの格で、一部分がなだらか曲線を描いている以外は、理想的なの型なのでは無いだろうか。

 聡は、自が他種族に対して、興味を持ちすぎている事を自覚しているため、チラッと見るに留めて、その後は失禮にならないように視線を軽く下に向けて、大人しく待機する。

 因みに、現在の聡の格好は、例の灰のローブ姿である。

｢今日は、コイツをギルドに登録させたいんだが、頼めるか？｣

｢はい、畏まりました。では、まずこちらの書類の記をお願いします。字は書けますか？｣

｢はい、問題ありません。これは全部を埋める必要がありますか？｣

｢名前と出地だけ記して頂ければ、あとは自由で大丈夫です。｣

｢そうですか。分かりました。｣

 エーリカから用紙とペンをけ取り、サラサラと必要事項を記していく。

名前:サトシ

年齢:21

種族:人間族

別:男

レベル:

出地:○○(勇者により、日本という地名が幅広く知られている為、聡が元々住んでた地名を記)

所持スキル:気配察知、剣、短剣、槍

アピールポイント:片手剣、短剣、槍等がそこそこ使えます。魔法もそこそこです。

 と、記した。聡は、スキルで『武 Lv:9』を所持しているが、これはありとあらゆる武やを、達人級に使いこなせる者のみが持つスキルであり、剣、短剣、槍などの武を扱うためのスキルの上位互換である。

｢はい、書き終わりました。｣

｢はい、サトシ様ですね。出地は…聞いた事がありませんね。他大陸なのですか？｣

｢はい、そうなります。｣

ｰ他大陸どころか、異世界なんすけどね。ｰ

 心の中でツッコミをれる。

｢レベルは記載しなくて良いのですか？｣

｢えぇ、まぁ。｣

｢…珍しい方ですね。それに、々な武が使えるんですね。更に魔法も…。｣

｢あはは。用貧乏ってやつですよ。1つの道を、極限まで突き詰めた、本の達人には敵いませんから。｣

 聡の多蕓さに、驚きの表を浮かべるエーリカ。

 『々な武を使えるのが、そんなに珍しいのだろうか？』と疑問にじるだろうが、自の命を賭けて、魔と戦って金銭を得る、冒険者という職業では、1つの武、もしくは魔法を集中的に鍛えて、生存率をあげようとするのが普通である。そんな中で、聡という存在は、異質であった。

｢そうですか。…では次に、こちらの誓約書に同意のサインお願いします。｣

｢はい、分かりました。｣

 誓約書に目を通すと、次の事が書いてあった。

･以下を冒険者ギルドの規約とする

･犯罪行為をするな

･依頼書に、クエストの條件が書いてあるから、しっかり読んでから注しろ

･正當防衛以外の場合は、ギルド、及び人の居住域では武を使用するな。魔法の使用についても同様とする

･魔の大量発生の際、これの殲滅に協力しろ

･魔族との戦いにおいても、これに協力しろ

･規約違反の場合、冒険者資格の剝奪、又は罰金を科す

 細々としたものがあと複數あったが、大これらに注意していれば、問題無く冒険者活が出來そうだった。

 一応、隅々まで頭にれた聡は、特に質問も無かったので、サインしてからエーリカに渡した。