《外れスキルのおで最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜》第45話 夢の冒険者ギルドです(2)
「はい、書けました。」
「ありがとうございます。では、最後に、こちらの水晶に、サトシ様の魔力を注いで下さい。」
「これは何でしょうか?」
「これは、ギルドカードに魔力の波形を登録するためのです。」
「なるほど。」
ー指紋認証みたいなものか?しかし魔力を流す、か…。これ、割れたりしないよな?ー
 聡の脳裏に過ぎるのは、魔法の実力を測るために、魔力測定の水晶に魔力を全力でぶち込み、々に砕する數々の主人公達の姿である。
 創作ならば、それで良いかもしれないが、現実でそれをやると、とんでもない事になりかねない。だから聡は、おっかなびっくり手を水晶に翳して、神経をすり減らしながら魔力を放出しようとする。
 が、聡の手が水晶まで殘り10センチになった地點で、水晶が軽くを放ち始める。
「え?」
 まだ何もしていないのに、魔力が水晶に吸い込まれてるっぽい景に、聡は驚いてしまうが、エーリカもルドルフも、全然驚いた様子は無い。
「はい、終わりました。登録完了です。今、カードをお持ちしますので、々お待ちください。」
 聡がポカーンとしてる間に、エーリカは席を立って、カウンターの奧にあるドアから、事務所のような部屋にって行く。
「おう、良かったなサトシ。すんなり登録出來てよ。…?サトシ?」
「え?あ、今、何て言いましたか?」
「だから、すんなり登録出來て良かったなって言ったんだが。大丈夫か?サトシ?」
「だ、大丈夫です。」
「そうか?なら良いんだが。」
ー何もしていないのに、俺の魔力が水晶に吸い込まれた?この世界の全ての生は、生きている限り、自的に魔力がかられ出てたはずだ。つまり、俺の場合は、無限にあるMPが俺のコントロール下を離れて、勝手に大量に放出されてるって事か?…こいつは、要検証だな。ー
 周囲に大量の魔力を撒き散らす事により、何かしらの弊害が発生する可能もあるため、今後の最優先事項として、魔力のコントロールをする事に決めた聡。
ーそういえば、俺のスキルに、『魔力遮斷 Lv:1』があったな。確かあのスキルは、かられ出る魔力を、抑えることが出來たはずだ。まずは、あれを鍛えるか。ー
 魔力の扱いが上手くなる前に、取り敢えずの応急措置として、魔力が外に出ないように、抑えつける事にしたようだ。
「おい、サトシ。さっきからぼーっとして、どうしたんだ?」
「え、あ、すみません。大丈夫です。」
 再びルドルフから聲をかけられて、はっと我に返る。
「サトシ、まさかお前…。」
 そんな聡を見て、愕然とした表を浮かべるルドルフ。
 急に表を変えたルドルフに、聡はびっくりしてしまう。自分は何か、ミスをしてしまったのかと。
「え?な、なんでしょう?」
 恐る恐るルドルフに問う聡。
 するとルドルフは、そのままの表で、とんでもない事を言ってくる。
「…サトシ、エーリカに惚れたな?」
「…は?今なんて?」
 驚きのあまり、それまでの敬語を忘れ、思わず素の言葉遣いで聞き返してしまう聡。
 そんな聡に対して、ルドルフは『ウンウン』と頷きながら、ニヤリとした笑みを浮かべる。
「いや、別に恥ずかしがる事は無いんだぞ?なんてったって、俺が冒険者始めた時も、エーリカが登録擔當だったんだが、正直に言えば、惚れかけたもんだ。」
「いや、別に俺は、エーリカさんに惚れてませんが?ただ綺麗な方だな〜ぐらいにしか。」
「まぁまぁ、無理すんなって。お前ぐらいの歳なら、ちょっと綺麗なに、しのきっかけで惚れるもんだ。」
ー俺、321なんすけど?俺ぐらいの歳だと、殆どの人は枯れてると思うんだけど?ー
 絶対に外部にはらせないツッコミをれる聡。
 反論もせずに黙り込んだ聡を見て、惚れてるのは間違い無いと考えたルドルフは、更に追い討ち的に、言葉を重ねる。
「だがサトシ。エーリカはエルフだぜ?つまり、見かけ通りの歳じゃねぇって訳だ。」
「そう…ですか。」
 の年齢を、こそこそ話すのは、気が引けるなぁと思い、微妙な表を浮かべる聡。
 その表をどう捉えたのか、ルドルフはサムズアップしながら、ニカッと兇悪な笑みを浮かべて言う。
「あ、別に結婚はしてないし、彼氏が居たって話も聞かないから、安心しろよ?」
「はぁ。」
 何をどう安心すれば良いのか分からないので、気の抜けた返事をする。
 そしてルドルフは、そのまま斷の話題の、核心的部分について、語ろうとする。
「で、アイツの年齢なんだがな。何と、ひゃ「私がどうかしましたか?」うわぁ!?え、エーリカ!?いつから居たんだ!?」
「『正直に言えば、惚れかけたもんだ。』の辺りからですね?」
 綺麗な顎に、人差し指を當てながら、無表でルドルフの聲真似をして言うエーリカ。
「ほぼほぼ最初からじゃねぇか!?」
 今までの話を、全て聞かれていたと理解したルドルフは、思わず全力でツッコミをれる。その表は引き攣っている。
「で、私の歳がどうかしましたか?」
 ここまでの無表が一転、見た者全てを魅了してしまいそうな程、綺麗な笑顔を浮かべて、ルドルフに問う。
 だが、そんな笑顔を向けられたルドルフは、顔を青ざめさせて、震えるだけだった。
「…(がたがたがた)。」
 そんなルドルフに、哀れみの視線を向けてから、聡は2メートルほど距離をとって、靜観することに決める。
「で、私がどうかしましたか?」
 今度も、先程と同じような笑顔だが、離れている聡ですらも、震いしそうになるような、そんなプレッシャーを放ちながら、エーリカは問う。
「…す、すみませんでした〜!!!俺は、先程、自分が何を話そうとしていたのか、忘れてしまいました!!!」
 必死に謝るルドルフ。だが、ルドルフは知らなかった。
「…言いたい事は、それだけですか?」
 にとって、年齢の話とは、絶対の忌であるという事を。そして、それに軽々しくれた者は、どうなるのかという事を。
「え?」
  冷たく突き放すような言葉を聞き、思わず顔を上げようとしたルドルフが最後に見たものは、自の腹筋を破り、腹に突き刺さる、綺麗な白い拳であった。
 聡は後に語る。あれは、世界を狙える、右ストレートであったと。
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