められていた僕は召喚された世界で奈落に落ちて、力を持った俺は地上に返り咲く》第45話 最初の陥落

戦爭1日目、オルフェリアス帝國軍は3つに別れて行軍を開始。

神夜達聖魔隊はどの部隊よりも早くソルニア王國の重要拠點グランデン砦にたどり著いていた。

「グランデンは王國の食料庫と言われるほど、王都の次に食料が多く保管されている場所だ」

神夜はグランデンを見渡せる丘の上に本陣を置いていた。そしてこの軍のリーダーを務める男ヴァンジャンスと共に軍議を開いていた。

「確かに現狀の帝國軍では兵站がないですからね。ここを落として食料庫をこちら側のものにすれば基本的には解決です。」

そう、帝國軍の現狀問題。それは兵士達の食料であった。兵站が足りなく、途中で軍が死する可能があったのだ。

「しかしここは王國の重要拠點だけあって堅牢な砦です。正方形の城壁に囲まれていて高さも城壁攻めに使う梯子が屆かない高さです。」

「別にハシゴなど使わん。ヴァンジャンス。ここはお前達は100人で落とせ・・・・・・・・」

敵の重要拠點を100人で落とす。その無茶苦茶な命令にヴァンジャンスはーー

「構わないので?」

そういった。

もはややるやらないの領域ではない。

やれば直ぐに終わってしまうけど、本當にやってしまっていいのか?という質問だ。

「構わん。お前達にはその程度の力はつけたはずだ。お前の指揮で100人で落とせ。方法はなんでもいい。何かしいものがあれば俺に言え。用意してやる」

意に」

そう言ってヴァンジャンスは攻城の準備にかかった。

ヴァンジャンスが去った本陣には神夜、ステラ、ファフニール、オリエルティアの4名が殘っている。

「神夜さん。あの人たち大丈夫なんですか?」

「なんだ?オリエルティア。アイツらが心配なのか?」

「いや?別に。訓練は見てたけどどれくらい強くなったの?」

「まあ、見てろ。」

そしてヴァンジャンスによるグランデン砦攻略戦が始まった。

グランデン砦の守護を務めている城主フェルディアスは司令塔から城の周り全を見渡す。

王都からの連絡である程度事を聞いていたフェルディアスは予め警戒態勢を敷いていた。

そしてつい30分ほど前約100名のオルフェリアス軍に包囲されているとの報告がり、守備に著いたのだ。

「100人·····指揮はアホか?」

フェルディアスは敵の様子を見て改めて悩む。

ここは王國にとって王都の次に重要な場所通っても過言ではない。そのため王都から軍隊は送られており、この地を治めるフェルディアスも軍を所持している。

その數およそ3萬。敵軍の300倍の兵力差だ。

「指揮が余程の馬鹿なのか、それとも本當にここを落とせる自信があるのか。恐らくこの城の食料庫が目當てでしょうが、一どのように陣を敷きましょうか?」

の男ドッズがフェルディアスに聞く。

「通常通り行う。弓兵と魔導師は城壁の上にていつでも引ける準備をしておけ。騎兵は予め門を開けられないように塞いでおくように。それからは隨時指示をだす。」

「はっ!」

指示を全に回していく。

そしてついにオルフェリアス軍の指揮と思われる兵士から魔法による開始の合図がされた。

それと同時に兵士は城に向かってかけ出す。

「弓兵構えぇ!」

弓兵は弓に矢を番えその時を待つ。

そして弓の範囲った瞬間·····

「うてっ?!?!」

フェルディアスの顔が砕け散った。

「は?」

その場にいた者は何が起こったのかわからなかった。そしていつの間にか城壁と同じ高さの場所にそれは居た。

「お前達には恨みはないが許せ。これも仕事だ」

その兵士が剣を一閃。

剣圧により城壁が大きく破損、さらに巻き込まれた王國兵は城壁から落下したり、剣で斬られを欠損する。その一撃だけで軍に大きな破壊を産んだのだ。

各城壁の上で似たようなことが多く起こる中、城壁の下でもきがあった。

ヴァンジャンス達は合図とともに駆け出し、高速で城に接近する。そして各々の武、魔法で城門を破壊、もしくは城壁を破壊する。

その破壊したからっていくヴァンジャンス達。側から落とすために各自行を起こす。

「人間じゃ無いわね」

「そうじゃのう、普通の人間では絶対に無理じゃ。それこそ仙人級の力を持つもので無ければな。」

オリエルティアの言葉にファフニールは頷く。

「アイツらは"聖人"だ。」

そこへ神夜が補足を加えた。

「聖人?なんじゃそれは?」

「魔や魔族に進化があるように、人間にも進化というものはある。普通の人間は人族。まあ、ほんとに普通の人間だな。そして過酷な修練の果てに"仙人"へと進化する。これは各耐発的に跳ね上がり、全員がユニークスキルを獲得する。」

「"仙人級"が1人いれば、それは一般兵1萬人分に相當する。」

ステラが神夜の膝の上に座りながら話す。

「そう。そしてさらに過酷な修練の果て、まさに何萬回も死ぬような修練を積めば"聖人級"へと進化する。"聖人級"は魔法攻撃を完全に無効化。さらに"仙人級"の時よりも耐が上がり人間相手だと無効に近いな。神生命。つまり霊や天使、悪魔と同じような存在になるから、壽命もほぼ無し、睡眠も食事も必要無くなる。追加事項として全員が個人能力オリジナルスキルを獲得する。」

「なかなか強いじゃない。·····って、それが100人?!それならあんな城超簡単に落とせるじゃないの!」

「そうだ。だからあいつらだけに任せたんだ。1時間もせずに終わるぞ」

既に砦から多くの煙が上がっており、陥落寸前だ。

「周囲に敵の反応は無し。援軍の心配も問題無さそうだ。こちら側の旗があがったら俺達も行くぞ」

「あ、旗上がった。」

「はえーな。」

砦に近づいていくと、その大きさがよくわかる。ここはこの中世ヨーロッパに似たような世界だが、完全にそうかと言われればそうでは無い。この砦のように古代中國のような部分も含まれているのだ。

そしてこの砦の辺の長さは約10キロ程あるだろうか。遠くから見ても隨分な大きさだと思うが、近くで見たら正直倒れてきそうで怖い。

「今頃思ったが、あいつらよくここ落とせたな。」

「やらせた人がこれじゃあ可哀想ね。」

城壁にはヴァンジャンス達が壊したや窪みが目立つ。砦の口に來るとちょうどヴァンジャンスが迎えに來ていた。

「お待ちしておりました。降伏した者は縄で縛り、監中です。」

「そうか。ご苦労。食料庫は無事か?」

「はい。今どれほどの量があるか調べさせています。それとここを治めていた者なのですが、どうやら戦闘開始直後にアルベティに殺されたようで、統治者はいません。住民は誰も傷つけてません」

「わかった。食料の量と住人の數、降伏した兵士の數を數え終わったら俺に連絡しろ。それと死族の元に帰してやれ。葬儀もやらせていいだろう。」

「わかりました。」

「ああ、それと。お前達が壊した城壁の修理も修理しなきゃな。お前達で改良點を考えて、直せ。明日までに終わらせろ。」

意」

ヴァンジャンスが去っていき、神夜達は城主の住まいに行く。

「さすがに城主の家だけあって大きいな。」

「神夜、城主は死んだみたいだけど、その家族はどうなってるの?」

「ん?そういや聞いてねぇな。」

ちなみに都市や城の長の家族は大半が王都で暮らしている。主な理由は國の人質として集めるという理由と現場が危険だからという理由のふたつだ。

「城主宅にはその使用人と兵士しかいなかったと。人くらいは作ってそうだけど、いなかったのか。」

貴族ならそんなこともするだろうと思っていたが、どうやらここの城主は違ったご様子だ。

神夜は屋敷の城主が座る席で寛ぎながら思う。

「それよりもこれからどうするの?ここは王都からかなり近いんじゃないの?」

「そうなんだよな。他の奴らの進軍狀態を見ると完全にこの地は飛び地だ。さらに王都からかなり近い。だいたい山をひとつ超えたらすぐそこは王都だ。旅人とか冒険者だったら3、4日くらい。まあ、軍単位だったら1週間あればここにたどり著く。」

「私達だったら、殲滅すればなんの問題もないですけど?」

「オリエルティア。それじゃあダメなんだよ。いいか?この土地はのちのちアレクのものとなるわけだ。その時食料ありません、兵士はみんな死にました。さらにこの國じゃ兵士の半分くらいが兵農一致制だから農民もいなくなります。そうして國土は荒廃しました。そしたらもう反ばっかりになるだろう?それにこの國は大陸の中じゃ大國ってわけじゃないし、小國って訳でも無いビミョーな國なんだ。統一後は外國からの脅威にも備えなければならん。それには兵士がまた必要だし、金も必要、食料も必要となるわけだ。」

「たしかに大変ですね。なるほど人間の世界もなかなか面白いものですね」

「まあ、クソめんどいとこでもあるんだけどな。結局できるだけ殺さずにこちら側に寢返らせる方がのちのち得策ってわけだな。」

「なるほど、だから住民の反をできるだけ買わないようにしないといけないわけですね」

「そゆこと」

さて、これからどうしたものか。と、悩んでいるとちょうどヴァンジャンスが部屋にやってきた。

「隊長、食料の量、兵士の數が數え終わりました。食料は…その………」

「どうした?早く言え。」

「はい、食料は貯蓄量の29パーセントほどしかありませんでした」

「は?29パーセント?」

「はい、29パーセントです。この量では帝國の全軍に配れば三日も経たないうちに無くなります。」

「···············」

國の食糧庫と言われたグランデンに殘った食糧がそれだけ?

「隠されているわけじゃないんだな?」

「はい。しっかりと調べました。」

「………そうか。わかった。これについては後でどうにかする。」

(し早いがアレをやるか)

「それで殘った兵士の數は?」

「はい、敵もここまでってくることは無いと思っていたのか、3000もいませんでした。」

「そうか、3000弱か。まあ、いい。そいつ等はこれからオルフェリアス帝國の兵士になるわけだ。それで捕らえた降伏しなかった奴は?」

「捕らえたのはここを護っていた城主の副2人だけです。そのほかはどうやら死んだみたいですね。」

「そうか。尋問は?」

「リーンズに任せてますよ。そういうの好きですからね、ああいうのは」

「あいつなら大丈夫だろ。それよりもこれから軍議開くぞ。各兵長を広間に集めろ」

意に。」

神夜達も部屋を出て広間に向かった。

こうして普通の何日もかかる城攻めが一日で終わり、ここが最初の陥落地となったのだった。

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