められていた僕は召喚された世界で奈落に落ちて、力を持った俺は地上に返り咲く》第47話 シャール將軍

私はつい先月アレクサンデル皇帝陛下から將軍の座に任命されたシャール・オルゴールという。

元々は王國騎士団の辺境で他國から國を守る為に戦う砦で指揮をしていたが、アルステッド辺境伯様の推薦で帝國軍の將軍へと任命されたのだ。

「よし、見えてきたな。」

私は皇帝陛下から授かった1萬の軍を率いてまず第1の目標である城へと向かった。

ガッスル総大將からの話では西側から回る我々で1番の難関と言われた。

その理由は自分達もその場を見てすぐに理解させられた。

「これは··········」

その城の名はゼーティア城塞。

はるか昔にソルニア王國が大國の1人として名を連ねていた頃使われていた軍事拠點のひとつだ。ゼーティア城塞はし小さめの山をくり抜き、そこに軍用の城を作ったものだ。

口は正面のひとつしか無く、その口も高い城壁がはられており、侵は難しい。

周りは山をくり抜いているので自然の壁と言っても過言ではない。

「どうしたものか·····」

「やはり兵糧攻めでしょうか?」

戦略を練るために呼んだ部下のひとりがそう言った。

しかし、実際兵糧攻めはあまり効果をなさないと思われる。ここは過去に何度も攻められているが一度も落ちたことはなく、その実力から何度か遷都されたこともある場所だ。兵糧は貯蓄してあると考えて良いだろう。

「まだ戦爭は始まったばかりだ。できるだけ兵は失いたくないが、ここで詰まると全きに影響が出てしまう。」

「では毒などはいかがでしょう。あの城塞の中では周囲の山から流れる水を用いていると聞いたことがあります。それに毒を混ぜ、中の者にダメージを與えるのです」

「むぅ·····あまり好きなやり方では無いな·····。···············では、これでどうだ?城壁が邪魔なら壊してしまおう。乗り越えたりするのはとても困難極まる。梯子も屆かないからな。だから壊してしまう。」

「しかし一どうやってやるのです?兵が壁を壊しているうちも敵は壁の上から矢をって來ますし、敵が攻めてこないとも限りません。」

「だから大規模では攻めん。數人·····5人から10人ほどで一組とし、そのうち數名が大盾を上に向けて構える。そしてそのうちに他のものが壁を削る。これなら矢に対しても対処が可能だ」

「しかし、敵兵が攻めてきたらどうするのです?數名では軍を相手に太刀打ち出來ませんが·····」

「そうだったな·····うぅぅぅ、なんと厄介な城壁なのだ!」

バンッ!と機を叩いたその時、1人の兵士がテントの中にってくる。

「伝令です!聖魔隊がグランデン砦を落としたとの連絡です!」

「なんだと?!」

早すぎる!

まだ侵攻し始めてから3日しかたってないんだぞ!

その後、話を聞くと初日には落とし終え、現在砦を占領し、他軍への援軍を送ったところらしい。

「その報は本當なんですか?グランデン砦と言えば王國の食料庫。警備も軍隊レベルで行っているはずです。それに王都からかなり近い場所にあるはず。」

「はい、事実だと思われます。聖魔隊の隊長ヴァンジャンス様からの伝令ですので」

「そうか·····」

(なんという速さだ·····一日で王都圏まで侵し、數時間で敵の重要拠點を落とすとは·····あのノワールとかいう男。そこまでの男なのか?!)

「それと、援軍が既に到著しました。約20名」

「20名?」

(一どういうつもりだ?たったの20人だと?それじゃあ軍隊に遠く及ばないぞ。20人來ただけで戦況が変わるとでも思ってるのか?一軍事顧問は何を考えてるんだ。)

「わかった、とりあえず援軍の指揮を案してくれ。軍議を続けよう。」

「はっ 」

そしてその援軍のリーダーという男がってきた。

「聖魔隊第7班の班長フィンラル・ゼノダクトと申します。援軍の代表として軍議に參加させていただきます。」

「オルフェリアス帝國將軍シャール・オルゴールだ。早速で悪いが、そちらの意図をお聞かせ願いたい。我々は聖魔隊のことをよくわかっていない。貴殿らがどんな組織で、援軍にたったの20人で現れる理由は一何なのだ?」

「確かに我々の存在をご存じないのもい方がありませんね。何せ開戦直前に組織された部隊ですから。聖魔隊は大隊長を除く100名の”聖人”で構された完全獨立遊軍です。」

「たったの100人だと?」

「はい。あなた方は”聖人”を知っていますか?」

「聖人?」

「知りませんな。”仙人”ならば聞いたことはあるが」

「知ってるか?」

誰も知らないテントの中一人知っている軍人がいた。

その男は軍人ではあるが武に優れているのではなく、軍略などの智に優れた男だった。

「一度だけ文獻で見たことがある。我々は基本的に人族という種族だが稀に過酷な修練の果てに進化するものがいる。それが”仙人”と呼ばれ魔力量や武力が大幅に上昇し、ユニークスキルを獲得するそうです。」

「それなら我々も知っているぞ。それが人族の果てだといわれている。実際、過去たった一人の”仙人”により一群が壊滅したという記録がある。」

「はい。私もそう思っていますが、過去に一度だけ見た文獻では、本當はさらにその上の進化がある。それが”聖人”だと……私も気になって調べてみたのですが、いかんせん數百年まえの文獻のため他のを見つけられず諦めた容ですが…その”聖人”がどうかしたのでしょうか?」

「”聖人”の特徴は”仙人”よりもさらに多くの魔力量、耐各種が大幅に上昇。人族の攻撃ならば、能力によっては完全に無効化することができます。”仙人”も壽命が大きくびますが、”聖人”はさらに壽命を持ちます。不老に近いものです。さすがに不死ではありませんが。睡眠、食事、排泄などの必要がなくなります。そしてもっともの特徴は個人能力オリジナルスキルを得ることです。ユニークスキルは強力ですが、その力は知れたものです。オリジナルは完全にその人自の能力です。そしてその力は”仙人”や人族が手を出せないような理の力です。別名として”魔人”とも呼ばれることもありますが、あまり好まれない呼ばれ方ですので通常”聖人”と呼ばれます」

「そんなに強力ななのか、その”聖人”というのは。ん?ちょっとまて。貴殿らは先程……」

「お気づきになられましたか。そう我々聖魔隊は”聖人”100名により構された最強の部隊です。聖魔隊の聖魔は”聖人”の聖と”魔人”の魔から取られた名です。」

「な、なんということだ…そんなことが許されるというのか?!それでは貴殿ら100名だけで戦爭を終わらせることができるということなのか?!」

「…やろうと思えば可能です。」

「ではなぜやらない!!それだけで味方の犠牲はなくなるというのに!我々軍人が戦う意味などないではないか!そんな軍があるならばなぜこの戦爭を終わらせない!」

「そうだ!これまでどれだけの人間がを流し!命を落とし!爭ったと思っている!貴様らのような存在は我々の存在を否定するものだぞ!」

「…………確かにそうかもしれません。しかし今の聖魔隊は個人能力オリジナルスキルを使うことは軍規と魂の契約により止されています。」

「なんだと?どういうことだ?」

「そのままのことです。能力は皇帝陛下と大隊長により定められた聖魔隊特別軍規によりじられているのです。そして保険として魂の契約により例外を除いて皇帝陛下か大隊長の許可なく使うことはできないのです。じている理由は単純で世界にとって強すぎる力だからです。強すぎる力は個人だけでなく周りを巻き込んで破滅を齎します。それを恐れた陛下により定められたのです。」

「それでは貴殿の言う通り今は使うことができないということか…」

「はい。さらに許可はそう簡単に降りるものではないのです。というか基本的におりません」

「それでは例外とは何なのだ?」

「人によってはその力の一部を解放することを許可された者もいます。さらに戦闘中において自分と同じく”聖人”、もしくは”仙人”、”勇者”と戦闘にった場合、許可なしに使うことができます。ほかにも本當に命の危機にさらされている者は許可なしに使うことができます。その代わり、絶対の勝利が義務付けられ、その後理由をしっかりと説明する必要があります。」

「そうなのか…確かにたった一つに集約された力に頼りすぎるのはだめだ。勝利は我々自の手で勝ち取らなくてはならない。他のものもそれで構わないな?」

「もちろんです!」

「やってやりましょう!將軍!」

部下の人達の目に力が戻り、活気が溢れる。

その様子を見て、フィンラルは微笑み話し出す。

「大丈夫なようですね。」

「うむ、先程は失禮なことを言って済まない。よろしく頼む。」

「はい、それでは作戦を立てましょう。」

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