《不良の俺、異世界で召喚獣になる》5章8話

「──ぁあああああッッ!! やってくれたッスねぇ『反逆霊鬼リベリオン』ッッ!!」

蹴り飛ばされたアレスが怒號を上げ、建砕しながら戦場へと戻ってきた。

「あの威力の蹴りをけてピンピンしてるとかァ……さすが『神族デウスロード』だなァ」

「あちゃ〜……『戦神アレス』もいるんだね〜♪」

「あァ。正直ィ、アレスは『蒼角』使えばどうにかなんだよォ。だがァ……厄介なのは『時神クロノス』だァ」

そう。クロノスには攻撃が通じない。

だが、さっきクロノスに顔面を摑まれた時、キョーガはクロノスの無傷のカラクリについて、気づいた事があった。

キョーガの予想が正しければ、クロノスの能力は──

「アレス、やるぞ」

「わかってるッスよ……! オイラに指図すんじゃねぇッス……!」

キレるアレスの姿に、クロノスが肩を竦すくめる。

そんな二人のやり取りを見て、キョーガは何かを確信したように目を細めた。

──あの二人は、全く連攜が取れていない。

仲が悪いのか、格が合わないのか──どちらにせよ、あの噛み合わなさは致命的だ。

「……オイサリスゥ」

「ん〜? どうしたの〜?」

「知ってたら答えろォ。クロノスの『種族能力』はどんな能力だァ?」

「相変わらず上から目線の言い方だね〜♪ ま、いいけどっ♪」

二人の神から目を逸らさず──サリスは、クロノスの『種族能力』を口にした。

「クロノスの『種族能力』は、『進む事のない時間クロノス・タイム』っ♪ 自分のと、れてるの時間を止める能力だよ〜♪」

「やっぱりなァ……」

キョーガの『焼卻角砲ホーン・ファイア』を食らっても、クロノスのには火傷1つ存在していなかった。

それ所どころか──服すら燃えていなかった。

あの現象は、クロノスが『進む事のない時間クロノス・タイム』を発して、クロノスにれている服の時間も止めていたから、炎が服に燃え移らなかったのだ。

その後、キョーガがクロノスの顔面を毆っても無傷だったのも、自の時間を止めていたから──という事か。

し落ち著け、アレス。イライラしていては、勝てる戦いも勝てなく──」

「うるっせぇって──言ってんじゃねぇッスかッ!」

「むっ──」

イライラが最高に達したのか、アレスがクロノスに蹴りを放った。

風を斬りながら迫る蹴撃を──クロノスは、そ・の・場・を・飛・び・退・く・事・で・回・避・す・る・。

「いきなり何をする。敵はあの『反逆霊鬼リベリオン』と『地獄番犬ケルベロス』だろう」

「るっせぇんスよ……! どいつもこいつも、オイラをバカにしやがって……! オイラをバカにする奴はッ、一人殘らずッ、ぶっ殺してやるッス……ッ!」

「……あァ……?」

……何故、避・け・た・?

アレスの一撃を避けたクロノスを見て、キョーガは首を傾げた。

クロノスの『種族能力』ならば、自の時間を止めてアレスの蹴りを防ぐ事ができたであろうに……?

いや……常に『進む事のない時間クロノス・タイム』を発していれば、いちいち『種族能力』を発する必要もないんじゃ──

「まさかァ……」

クロノスの『種族能力』は、連発して使用できない? もしくは、何らかの制限が存在する?

報が足りない。アルマがいれば、クロノスの『種族能力』について詳しく教えてくれたのかも知れないが……アルマにはリリアナの保護を任せている。文句は言えない。

「キョーちゃん、どうしよっか〜♪」

「……とりあえず、アレスを先にぶっ殺すぞォ。クロノスの相手は、無敵のカラクリを解いてからだァ」

「りょうか〜い♪」

「……く、ははっ……はっははははははははははははははははははッ!」

いきなり笑い始めたアレスに、キョーガとサリスが素早く構える。

「オイラを先にぶっ殺す? さっきから聞いてりゃ、まだオイラの本・気・も見てないのに希ばっかり見やがって──オイラを舐めんじゃねぇッスよ、三下召喚獣共が」

「なっ──待てアレス!」

「『戦神の加護アレス・ブレス』」

そう言って、アレスが大きく両腕を広げた──瞬間。

──ゾクッと、キョーガとサリスの背筋に寒気が走る。

「あ、は……♪ 『種族能力』、『戦神の加護アレス・ブレス』……♪」

「……そりゃ、どういう能力なんだァ?」

「……自分の壽命を減らす代わりに、絶大な力を得る能力だよ〜……♪ 力の増加量は、減らした壽命に比例するって聞くけど〜……このじだと、かなりの量を消費したんじゃないかな〜……♪」

「貴様、何をしているアレス?!」

「うるっせぇッスよクロノス……アイツを殺すのは、ゼウス様からの命令。であれば、全力を盡くすのは當然ッスよ」

アレスの左半に、緋の模様が浮かび上がっている。

その模様を睨み付け、クロノスがさらにんだ。

「その模様の量……貴様、余命の半分は消費したなッ?!」

「あーもううるさいッス……長くは維持できねぇッスから、早く終わらせるッスよ」

アレスが拳を握り、キョーガを真っ直ぐに見據えた。

──來る。

的に『蒼角』を生やし、迎撃の姿勢を取り──

「は──」

──眼前に拳が迫っている。

そう認識した次の瞬間、キョーガの頭部にアレスの拳が叩き込まれ──

──パァンッッ!!

「ぁ……へ……?」

ビシャッ! と辺りにが飛び散った。

自分の顔に飛んできたに手を當て、サリスがキョーガのいた方へと視線を向け──

──そこに、頭部を失ったキョーガがいた。

「──っ、っ────あああああああああああッッ!!」

「これも再生するんスね……」

瞬く間に頭部を再生したキョーガが、『蒼角』と『付屬魔力エンチャント』で強化した拳撃を放った。

それに対し、アレスは軽く叩くようにしてキョーガの右拳をはたき落とし──

「が、あッ……?!」

グシャッ、と──キョーガの右腕が、飛沫となって消えた。

「くッ──そがァあああああああッッ!!」

キョーガが思い切り地面を踏み込み──地面が割れ、辺りを砂煙が包み込む。

そのままキョーガとサリスは大きく後ろに飛び、もうもうと立ち込める砂煙を睨み付けた。

「なんっだよアイツゥ……?! 『種族能力』使うだけでッ、こんな強くなるもんなのかァ……?!」

右腕を再生させ、キョーガが困の聲を上げる。

「こ、れは……本っ當〜に……まずいかもね〜……♪ ……キョーちゃん♪」

「あァ?!」

「ここは、とりあえず逃げよっか♪」

サリスの言葉に、キョーガがポカンと口を開く。

「はっ──あァ?! 俺に尾巻いて逃げろってかァ?! せめて片方はぶっ潰さねェと気ィ済まねェぞォッ?!」

「ん〜……♪ それができたら苦労はしないんだけどさっ♪ 今のままじゃ、負けるのも時間の問題だよ〜? それより、アレスの『種族能力』が切れるまで逃げ回った方が得策じゃないかな〜?」

「それをアイツらが見逃すかよォ……!」

「ま、その通りッスね。大人しく殺され──」

そこまで言って──ふと、その場にいた全員が、何者かの気配をじ取った。

その直後──ドオオオオンンッッ!! という発音と共に、アレスのいた所に何・者・かが降ってきた。

「──おっと。け止められたか」

空から降ってきた者が踵落としを放っていたが──アレスはそれを片手でけ止めている。

空いている方の足でアレスを蹴って距離を取り、ソ・イ・ツ・はキョーガに視線を向けた。

「いやぁ、戦いの邪魔して悪いなぁ。つっても、俺にも事があるから許してくれよな?」

「……てめェ、何者だァ?」

突如として現れたソイツに、キョーガは警戒心を剝き出しにする。

薄紫の髪に、濃い紫紺の瞳。中でも特に目を引くのは──額から生える二本の『黒角』だろう。

キョーガの知っている限り、角を持つ召喚獣は三種類存在する。

『反逆霊鬼リベリオン』と『悪鬼羅剎ワストデモン』、そして──

「黒の角……アンタ、『鬼夜叉デモニア』ッスね?」

「お。その通りだ」

『黒角』の年が獰猛に笑い、聲高々に名乗りを上げた。

「俺っちは『鬼夜叉デモニア』のヘルムート。ワケあってこの『反逆霊鬼リベリオン』の助太刀にきたぜ」

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