《《完結》待されてる奴隷を救った、異世界最強の龍騎士》第52話「ベルの涙」
グランドリオンを発つ前に、朝食をとることにした。
3階建ての飲食店だ。
巨大なテラスがついていて、そこで食事をとることができた。テラスの頭上には、巨木の枝が通っている。大量の外燈がぶらさがっており、龍の管と言われるチューブも垂れ下がっている。
食事はいつも、ここに來ていた。
メイド服の店員たちも、龍一郎の顔を覚えてくれていた。
龍一郎が行くと、店員がそろって「いらっしゃいませ」と頭を下げてくる。店員がそういった態度をとるのは、龍一郎のが高品質だからだった。
質値200越えは、尊敬と畏怖の目を集中させるのだった。
「今日もいつものお願いします」
「承りました。紅茶とフレンチトーストをお持ちします」
メイドたちは、すぐに用意したものを持ってきてくれた。龍一郎にとっては思い出の味だ。このフレンチトーストと紅茶によって、はじめて會ったときベルの心をほぐすことができたという手ごたえがあったのだ。
「あ、あの――」
と、ベルがフードの奧で泣きそうな顔になっている。
「ん?」
「私は構わないのです。こんなものを毎日いただくのは、怖れ多いです」
「ダメだって。ただでさえガリガリなんだから、ちゃんと食べないと」
出會った當初よりかは、がついたように思う。
太ったわけではない。
ようやく痩せている人程度の型になった、というだけだ。もうし太ってもらわないと、心配で仕方がない。
栄養失調なんかで死なれたら、最悪だ。
「ですが、こんな食べは奴隷にふさわしくありません」
遠慮しているのだろう。
ベルの青くき通った瞳は、フレンチトーストに奪われていた。
「オレの奴隷なんだから、ちゃんと言うこと聞きなさい」
冗談めかして、叱りつけるような口調で言った。
「あぅ……」
と、ベルは黙り込んでしまった。
その怯える小のような仕草が、龍一郎をウツロにさせた。
紅茶を飲むときなんか、ベルはいまだに手を震わせている。それを見るのが楽しみだった。龍一郎の悪趣味な日課のひとつだ。ベルには手に負えないものを買い與えて、困らせてやるのが楽しくて仕方がない。
以前、高価な絹のドレスを買ったときなんか、「もう、お許しくださいませ」と、泣きつかれた。
泣きつかれたといっても、本気で厭がっているわけではない。その証拠に、その絹のドレスをベルは常に持ち歩いている。布袋にいれて、大切そうに抱えている。まだ著ているところを見たことはない。
きっとそのドレスを著たベルはしいだろう――と龍一郎は夢想する。
フレンチトーストを貴重なものでも扱うかのように、ベルはすこしずつかじってゆく。浸されたミルクとバターを、一滴もこぼすまいとしている。そうやって熱心に食べるさまも、見ていると癒される。
「主さま」
「ん?」
「私は、なんだか罰が當たりそうな気がします」
「罰?」
「こんなに幸せであることが、許されても良いのでしょうか。毎日、優しくしていただいて、こんなに甘い食事を食べさせていただいて」
ベルは、ヤケドだらけの頬に涙をつたわせていた。なんてしい涙なんだろうかと思う。ブルーの瞳からこぼれる涙は、どこまでも無垢にき通っていた。
「最近、よく泣くよな」
「子供のころは悲しくて泣くことばっかりでした。でも今は、嬉しくて泣いてばっかりです」
「ベルはずっと辛い思いをしてきたんだ。これからは、幸せにならないと。幸せで溺れるぐらいにならないとな」
ベルにとって、龍一郎は主人だ。
つまり、ベルにとって龍一郎は神さまなのだ。
ベルが辛いと思うことを、すべて排除してやりたいと思っていた。それがベルの柄を引きけた主人としての責務だとも思っていた。
砕けたベルの心を優しく丁寧に、つなぎ合わせてゆく。その溶接業に龍一郎はやりがいをじている。
こうして、涙、というを表すようになったのも、溶接の果だと思いたい。
「私は、主さまに何もお返しすることができません」
「そんなことはない」
こんな可憐な生きが、そばにいてくれるだけで良い。そう思ったのだが、照れ臭くて口には出せなかった。
「主さまは、とてもすごいです。あのフィルリア姫から個人的に仕事を依頼されて」
「ベルみたいに辛い思いをしてる人たちが、この世界にはたくさんいるんだ。オレはクラウスみたいに、みんな平等に扱うべきだ――なんて言うつもりはないけどな。ある程度は仕方ないんだろうと思う。でもまぁ、こので助けられる分には、助けたいとは思ってるよ」
グランドリオンの貧民街でもそうだが、助けると謝される。すくなくとも、人から恨まれるよりかは、謝されるほうが心地が良い。
「ムリはなさらないでください」
ベルは靜かに聲をこぼした。
「わかってる」
「いただきます」
と、ベルは震える手で紅茶を飲んでいた。
夜になるとクロエイが出てくる。朝食を食べ終えたら、すぐにグランドリオンを出立しよう、と龍一郎は考えていた。
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