意識がブラックアウトした後、目を覚ますと既にイリス様の姿はなく俺の視界にはどこかの天井が映っていた。 周りは木の柵で覆われており、背中のから察するに俺は今赤ちゃん用のベッドの上にいるのだろう。

これは、転生したってことでいいんだよね？

『はい、マスターがこの世界に來てちょうど一週間です』

うわっ。ってなんだティオか……。

そうだった。イリス様が、生まれて一週間は俺の意識が芽生えないようにしてくれたんだっけ。

それはそうと、ここはどこだろう？

『ここはエルフの國、フォルスティン王國の郊外です。マスターはフォルスティン王國のレグサンド伯爵家の次男として生まれました』

説明ありがとう、ティオ。

『いえ、私はマスターのお役に立てることが最上の喜びですので、お気になさらないでください』

お、おお……なんだかすごい忠誠心だ。それにしても伯爵ってことは、貴族の中では上の方だから、生活には困らなそうで良かった。そういえば種族設定でエルフにしたんだっけ。ん？違うか。ハイエルフか。……なんか悪目立ちしそうで怖いな。ティオ、ハイエルフってこの世界にどのくらいいるの？

『ハイエルフの割合をエルフと比較すると、0.1:99.9程です』

ええ！？めちゃくちゃないじゃん。ハイエルフ絶滅するんじゃない？

『はい。ですが希が高いぶん壽命の面でも力の面でもハイエルフは通常のエルフとでは圧倒的な差があるのでハイエルフが滅びることはまずありません。ちなみに、ハイエルフとエルフは別の種族というわけではなく、先祖返りのようなものなので萬が一今生きているハイエルフが滅びたとしてもエルフが滅びない限り絶滅することはありませんよ』

先祖返りのようなものなら俺は普通のエルフが親なのかな？それと、希が高いってことはやっぱり目立つんじゃないの？

『それはもうどうしようもありません。諦めてください』

やっぱりか……。まあそれは今考えても仕方ないか。その時はその時だ。

そうだ、イリス様にもらったスキルとかってどうやって見るんだろう？

『ステータスと念じるだけで見れますよ』

そうなんだ。じゃあ早速……

 ステータス！

クルス・レグサンド :男    0歳

種族:高位森人族ハイエルフ

狀態:健康

Lv . 1 

耐久力   10/10

魔力      5/5

攻撃  5

防  5

俊敏  5

用  5

運     85

《スキル》

剣Lv . 1・強化Lv . 1 ・気配察知Lv . 1 ・気配遮斷Lv . 1 ・魔力作Lv . 1 ・魔力探知Lv . 1 ・隠蔽Lv . 1 

・調教Lv . 1 ・加速Lv . 1 

・長倍加Lv ―・神の導き手ガイドマスターLv . 1 

・スキルクリエイトLv . ―(0P)

《加護》

主神イリスの加護、魔王の加護

《稱號》

転生者、神の加護をけし者、 

魔王の息子

良かった…別は男のままだ。名前はクルスか。

俺が作ったスキルはスキルクリエイトっていうんだね。早く使ってみたいなあ。あ、でも魔倒さないとポイントがもらえないんだっけ。イリス様の加護もちゃんとあるね。

あれ？見慣れない加護と稱號がある。魔王の息子？こんなのもらった覚えはないけど……まあ後でいいか。

力とかのステータスがあるけどこの世界の平均ってどのくらいなの？

『この世界での人族の人男のステータスの平均は100～150程度です。ちなみにエルフの人男の平均は800～1000程です。運のステータスだけは別で最高が100で生まれた時についていた數値のままです』

運の上限が100なら俺の運の數値はかなり高いのだろう。それにしても人族とエルフの平均的なステータスの差が凄まじい。

『一つ補足しておきますが、この人族の平均のステータスは戦闘をしない一般的な男のステータスです。冒険者などの戦闘を専門にしている方々はエルフにもひけをとらないステータスを持っています』

職業によってはエルフと同じくらいのステータスになるのか。凄いな人族。

『同様にこのエルフの平均ステータスも戦闘を専門にしていない一般の男のステータスですので、戦闘を専門にしているエルフと人族とではまたステータスに差が開きます』

一般のエルフが人族の中の強い人たちと同じって……これはイリス様が他の種族を勧めるわけだ。

ドンマイ、人族……。

ガチャッ

自分のステータスを確認していると、ドアの開く音がしてそちらから二人のの聲が聞こえてきた。

「奧様、お待ち下さい。坊っちゃまの世話は私達メイドが致しますので……というか私がしたいです！」

「何を言ってるのよ。我が子の世話を母親がしないでどうするの…………それに、そう言って口実を作れば仕事もサボれるじゃない！」

「我が子をダシに仕事をサボらないでください！とにかく、奧様は早く仕事に戻ってください！そうすれば私が坊っちゃまと二人っきりになることができて、坊っちゃまのお世話を付きっきりでできるのですから！そうしていくうちにだんだんと坊っちゃまは私を母親だと思い込み、の繋がった母親よりも私を求めるようになりやがては───あいたっ！」

「よくも実の母親の前で堂々とそんなことを言えたものね！他の所だったら即刻クビよ！……っと、あらあらクルスちゃん、起きたのね～」

二人のはどちらも殘念な言い分を掲げて言い爭っていたが、俺が目を覚ましていることに気が付くと即座に言い爭いをやめて俺のいる赤ちゃん用のベッドに近づいてきた。

俺の視界に映った二人のはどちらも18～20歳ぐらいにしか見えないほどに若く綺麗だった。

一人はメイド服を著たプラチナブロンドのストレートの長髪にピンクの瞳をしただった。白で小顔なキリッとしたじの人さんだ。もう一人は仕立ての良さそうな服を著ていてウェーブがかかった金髪に碧眼の瞳をしただった。こちらは白でおっとりとしたじの人さんだ。背は金髪のの方が高かった。

先ほどの二人の會話から察するに、金髪のおっとり人のが俺の母親でキリッとした人のがメイドということになるだろう。

え、でもそうするとこの金髪おっとり人が俺の母親！？若すぎない！？

『エルフは人を迎えると長が止まりますので』

ああ、なるほど。どうりで若いわけだ。

「クルスちゃんもちょうど起きたし、ミルクをあげちゃいましょう」

「いえ、奧様！私がやります！」

「これは私がすることよ！というかあなた出ないでしょうが！」

「そんなもの坊っちゃまへのでどうにでもなります！！」

ん？ミルク？ミルクってつまり………母か！そうだ、忘れてた！こうなるからイリス様にどうにかしてもらおうと思ってたのに！ああああなんで忘れるの！俺のバカーー！

俺はこれから起こるであろう事を予想して心の中で自分の迂闊さを悔やんだ。そんなことをしている間にも時間は刻々と過ぎていくわけで、いつの間にか言い爭いを終わらせた金髪のが俺を抱きかかえると、金髪の…俺の母親はを出し、俺を自分のに近づけさせた。

もう逃げられないと悟った俺は恥心の一切を捨てて、母親のにしゃぶりついた。