《最強家族のまったりライフ》39話 魔王っぽいこと
「今日の朝食は濃麥のパン、禍々鶏のベーコンエッグ、武裝人參ウェポンキャロットと斷食キャベツのコールスロー、裂豚ボルケーノポークの冷製スープとなります。どうぞお召し上がりくださいませ」
「ではいただこうか」
父さんがそう言ったのを皮切りに皆食事を始めた。俺は最初に冷製スープから手をつけた。スープはボルケーノポークのブイヨンがよく出ていてコクの深い味わいだった。
「ご主人様~、このスープ味しいですね~」
ノイントも冷製スープが味しかったようで夢中で食べている。
『クルス、私はスープの中にっているが食べたいぞ』
「裂豚ボルケーノポークだっけ?はい、どうぞ」
『うむ、味いな』
「そうだ。ちょうどいいから伝えておくぞ。話があるから朝食が終わったら全員俺の仕事部屋に來るように。ここにいない奴らにも後で伝えておいてくれ」
朝食を食べていると父さんが唐突に話を切り出した。
仕事部屋って、あの魔王が出てきそうな場所のことかな?
「あの、カレイド様」
「なんだ?」
「それは私達メイドや執事全員ということでしょうか?」
「ああそうだ。全員に伝えておいてくれ」
「畏まりました」
控えていたメイドは父さんに確認をとるとすぐに元の位置に戻った。
「お父さん、話って何なの?」
「それは後でな」
「ぶぅ」
レレナ姉さんは話の容が気になるようだが、はぐらかされたことで不満そうに顔を背けた。
「カレイド、別にここで言ってもいいんじゃないの?」
「いや、俺も一応魔王なんだから、魔王っぽく玉座に座って配下に伝えた方がいいと思ってさ」
「そんなくだらない理由だったの………」
母さんは父さんが皆を集める理由を聞いて呆れていた。
「んんっ。くだらないかどうかはともかく………そういうわけだから朝食を食べ終わったら俺の仕事部屋に來るようにな」
そう言うと父さんはあっという間に完食し、食堂を出ていった。母さん達も父さんが出ていった後、すぐに完食してしまった。
俺も早めに食べ終わった方がいいのかな?
「そんなに焦らなくても大丈夫よ。朝食後っていっても執事やメイドが朝食を食べる時間も設けてあるはずだし。私達はもう行くけれど遅れてもカレイドだって怒らないでしょうから、クルス君はクルス君のペースで食べなさい」
皆完食してしまったことで慌てている俺を見て、レスティアお母さんが優しく宥めてくれた。
「ありがとうレスティアお母さん」
「いいのよ。………もしこんなことでカレイドが可いクルス君を怒りでもしたら私達で袋叩きにして締め上げてやる」
俺が安心したようにお禮を言うと、レスティアお母さんは笑顔の裏で何か決意したようでぶつぶつと呟いていた。
「じゃあクルス、頑張って食べてね」
「クルス、また後でね………」
「待ってるからねクルス!」
「先に行っているぞクルス」
「うん。また後でね、母さん、ルーナ姉さん、レレナ姉さん、兄さん」
皆が出ていき、自分のペースで食べようと思っていると、控えていたメイドが近づいてきた。
「あの………クルス坊っちゃま。皆様がいなくなったようなので、私達も朝食をご一緒してもよろしいでしょうか?」
近づいてきたメイドは遠慮がちにそう聞いてきた。
「うん!勿論いいよ!」
斷る理由なんてないのですぐさま承諾する。
「ありがとうございます!それでは朝食を持ってまいります!」
すると、聞いてきたメイドも控えていた他のメイドや執事達も嬉しそうに朝食を取りに行った。數分すると朝食を取りに行ったメイド達が戻ってきて各々席に著いて食べ始めた。
あれ?増えてる?まあいいか。あっ、シェーラだ。こっち見た!うわっ、すごいスピードで俺の隣の席に座った!めちゃくちゃ笑顔でこっち見てくる。
「それにしてもカレイド様が自ら全員を集めて伝えることって何でしょうね?」
シェーラの行に驚いていると、メイドのアウルが父さんが言ったことについて気になるようで他のメイド達に問いかけていた。
「アウル、何のこと?」
食堂に居らず聞いていなかったメイドの一人がアウルに聞いた。
「この際だからここにいる人達に伝えておきますね。カレイド様からの言伝てです。朝食が終わったら話があるのでカレイド様の執務室に集まるようにとのことです。ですので朝食が終わった後は仕事より先にカレイド様の執務室へ行くようにお願いします」
「「「「「はい」」」」」
「「「「「了解しました」」」」」
アウルが食堂にいなかった面々へ父さんの言ったことを伝えると、皆揃って了承した。このような何気ない所作からもこの家のメイドや執事がどれだけ洗練されているかがわかるというものだ。
「それで、話に戻りますけどカレイド様が全員を集める理由、何だと思いますか?」
「うーん、前に集められたときは確か、バカな國が戦爭を吹っ掛けてきたから誰が躙しに行くかっていう容でしたよね?」
「ブッ!」
アウル達の話に耳を傾けてたのだが、あまりに騒な容にお茶を吹いてしまった。
「坊っちゃま!?大丈夫ですか?」
「う、うん。ごめん、大丈夫」
シェーラが心配して俺を介抱してくれる。 
どう戦うかじゃなくて誰が躙・・しに行くかって………。戦いにすらならないんだ。それに"誰が"だからおそらく一人で躙しに行ったんだよね。恐ろしい恐ろしい………。
「あのときはクジで決めたのだったな」
執事の人が當時を思い出しながら語る。
そんな大事なことをクジで決めないでよ………。
「それでルーナお嬢様が行くことになったんでしたっけ?」
「ええ。でも面倒くさいからって私達に押し付けようとしてたわね」
ルーナ姉さん……いやなんでもない。
「その前はお嬢様方が生まれる前でしたね。カレイド様が自ら我々のメイド、執事としての仕事ぶりを一人一人評価していくという容でしたね」
なんだ、平和な容もあるんだ。
「あの頃のシェーラは仕事も真面目に取り組んでいて、カレイド様からの評価も高かったのにね」
シェーラに真面目な時代があったとは!
その頃のシェーラを思い出しているのか全員が遠い目になった。
「なんですか!?その今はダメダメみたいな言い方は!」
「いや、実際そうでしょう。貴が仕事をサボった分、誰が代わりにやっていると思ってるんですか?」 
「ギクッ」
メイド達はよっぽど鬱憤が溜まっているのかここぞとばかりにシェーラを責め立てた。シェーラは自分の不利を悟ってか、助けを求めるように俺の方を見た。
「シェーラ、お仕事はしっかりやろ?ね?」
だが俺も心を鬼にしてシェーラを叱る。3歳児が大人のを叱る構図はどうなんだと思うが今は気にしない。
「うっ。で、ですが!それでは坊っちゃまといる時間がなくなってしまいます!」
「そこまで俺と一緒にいようと思ってくれて嬉しいよ」
「坊っちゃま………」
「でも俺は、仕事をサボってコソコソと會いに來るシェーラよりも仕事をきっちりこなして堂々と會いに來るシェーラの方が好きだな。この前の、徹夜で屋敷全を箒一本で掃除し終わったときのシェーラなんか、やりきったじが出ててものすごくかっこよかったよ」
「ううっ、坊っちゃまぁ………」
「だからシェーラには、仕事をきっちりこなして會いに來てくれる、俺の好きなシェーラでいてしいな」
「う゛わ゛ーん!ごめ゛んな゛ざい゛坊っぢゃま゛ーーー!」
俺がそう締めくくると、シェーラは號泣して俺に抱き著いてきた。俺は泣いているシェーラを宥めながら周りを見回してみると、ハンカチを目に當ててもらい泣きしている執事や同僚のメイドから借りたハンカチで鼻をかんでしまっているメイドや、涙ぐみながら微笑ましそうにシェーラと俺を眺めているメイドと、まあ々すごいことになっていた。
「ご主人様がまたやっちゃいましたね~」
ノイントにもこの景を作り出したことでからかわれた。
またって何さ………。
「ありがとうございます坊っちゃま。私達ではシェーラを反省させることは出來なかったでしょう」
そんな中、俺達を微笑ましそうに眺めていたメイドがお禮を言ってきた。
「気にしないで。シェーラが真面目に働いてくれるのは俺も嬉しいから。あっ、もう皆朝食は食べ終わってたんだね。じゃあ父さんの仕事部屋に行かないとね」
「そうですね。ですがシェーラが落ち著くまでは………」
「えへへー。坊っちゃまー」
「………大丈夫そうだね。シェーラ、今から父さんの仕事部屋に行くよ」
「えへへー、畏まりましたー」
シェーラは泣き止んだ途端、ゆるっゆるの笑顔になり俺の言ったことに素直に応じた。
「………ええと、だから離してもらえると嬉しいんだけど。」
「嫌でーす。カレイド様の執務室までは私が坊っちゃまを連れてきまーす」
だがいつまでたっても俺を離さず、俺を抱き上げて食堂を出てしまった。その様子を數人のメイド達がハンカチを噛みしめ、先ほどとはまた別の意味で涙を流しながら眺めているようだった。
俺達が食堂を出ると他のメイドと執事も付いてきたので一緒に父さんの仕事部屋に向かうことにした。
俺は歩いてないけど………。
どうせ下ろすよう暴れても、シェーラ化けに敵うわけがないので既に俺は諦めている。ちなみにノイントは歩くよりも浮いて移する方が楽だそうで実化を解いていた。
「それにしてもシェーラとクルス坊っちゃまって、こうして見ると瞳の以外では本當に親子にしか見えないわね~」
父さんの仕事部屋に向かう途中、シェーラの隣に來たメイドがしみじみと呟いた。
「やっぱりそう見えますよね!そうですよね!うふふ、坊っちゃまと親子………」
シェーラはその言葉が琴線にれたのかどこか遠いところにトリップしてしまった。
確かに俺とシェーラの髪は同じプラチナブロンドで、どちらもは白いので知らない人が見ればほとんどの人が俺達を親子だと思うだろう。
「ふふふ、坊っちゃま………親子…………坊っちゃま…………よしっ!坊っちゃま、本當に親子になりましょう!」
「なんでそうなるの!?」
「私と坊っちゃまのこの髪!これはもう親子になれと神が定めた運命なのです!」
あー、またシェーラの暴走が始まった………。神が定めた運命ってことはイリス様が決めたことになるよ?………いや、あの駄神ならむしろあり得るか。
『マスター、さらっと主神を貶さないで下さい………』
だって事実だし………。ティオも実は思ってるんじゃないの?
『………』
認めちゃうの!?
「あっ、カレイド様の執務室が近づいてきましたよ」
「本當だ。シェーラ、著いたから下ろして」
「うー、私の至福の時間がー」
シェーラに下ろすように言うと、名殘惜しそうにしながらも渋々下ろしてくれた。
これ、ノックとかした方がいいのかな?
コンコンコン
「誰だ?」
俺がノックをすると中から父さんの聲が聞こえた。
「クルスだよ。父さん、ってもいい?あとメイド達もいるけど」
「そうか、れ」
ドアを開けると既に食堂にいなかったメイド達が揃っていた。前に來たときと変わらず、この部屋はRPGで勇者が攻めてきそうなイメージが浮かぶ。父さんは部屋にって真正面にある玉座に座っており、その隣には初老の文の服を著た側近の人が立っている。この部屋の雰囲気に合わせてなのか、父さんがいつもより威圧的にじる。母さん達はと周りを見回すとと、メイド達の最前列に立っていた。母さん達は俺がってくるとこちらに手を振ってくれた。
「おお、これはまた結構な大所帯で來たんだな。というか、なんでクルス以外はそんな泣き晴らしたような顔をしているんだ?」
父さんは一緒に部屋にってきたメイドと執事の人數に驚き、俺以外の全員に泣き跡がついていることに首をかしげた。メイド達はそのことに今さらながら気付き、顔を赤らめながらバッと一斉に顔を逸らした。
「まあいい。それより、隨分と遅かったな、クルス。何をしていたんだ?」
「ご、ごめんなさい!朝食をゆっくり食べてたら遅くなっちゃって………」
俺は父さんに怒られると思い、咄嗟に謝って理由をすぼみになりながら答えた。すると、俺の謝罪を聞いた母さん達がピクリと震えた。
「………カレイド?あれだけクルス君は自分のペースで食べているから遅くなっても仕方がないって言ったわよね………?」
レスティアお母さん、俺に言ったこと、父さんにも言ってくれたんだ。
「い、いや別に怒ってるわけじゃないぞ?ただし遅いなと思っただけで………」
父さんはレスティアお母さんの怒気にあてられ、しどろもどろになりながら答える。
「ねえカレイド。クルスはまだ3歳なのよ?食事も人一倍苦労して食べているのよ?いつも頑張って食べているのをあなたも知っているでしょ?そんなクルスの頑張りを遅いと切って捨てるわけ………?」
だがその答えが今度は母さんの逆鱗にれたようで母さんにも責められる。
「べ、別にそういう意味で言ったんじゃ………」
「お父さん、最低………」
「クルスだって遅れないように必死に食べてたのに!」
「父よ、先ほどの発言は兄としていただけないぞ」
「グフッ!」
そして自分の子供達からの連続コンボにより遂に父さんはノックアウトしてしまった。
「す、すまなかったクルス………」
あの後、母さん達によって徹底的に絞られた父さんは最初の威厳はどこへやら、やつれた雰囲気を漂わせながら俺に謝ってきた。
「別に大丈夫だよ父さん。俺が遅れたのが悪いんだし」
「そう言ってもらえるとありがたい………」
俺が許したことで母さん達の父さんを見る目からはいくらか険がとれた。
「そ、それで、話がだいぶ逸れたというか話にすらってなかったが、これで全員集まったようだな」
父さんは仕切り直すようにこの場の全員に確認をとる。
「誰のせいで逸れたと思ってるのよ」
「うぐっ、それは、すまなかった……」
だが母さんの痛烈な一言で仕切り直した場はまたもや崩れる。だがなんとか持ちこたえ本題を切り出す。
「………えーとそれで本題だが………西の軍事國家ダンコーツで勇者召喚が行われた」
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