《最強家族のまったりライフ》53話 震えて眠りなさい
大変お待たせ致しました……
《終わりました~》
ノイントのスキル改造が終わるまでカリスに先ほどのイリス様との會話の容を話したり勇者たちのマナーのなっていない食事風景を見たりしていると、ノイントから聲がかかった。
お疲れ様、だいたい10分くらいかな?
《そのくらいですね~。スキルを使うこと自は難しくないんですけど魔力を込め続けないといけないところが大変でしたよ~》
そうだったんだ。
《早速効果を見てみましょうよ~。ティオ、お願い~》
『了解しました。こちらが変更後の効果になります』
・主神ヴェーニャの加護(偽裝)………下級神ヴェーニャが偽裝して與えた加護。
:信託Lv.1
・信託………このスキルの所持者は信仰心の強さによってこのスキルを與えた神に痛みを與える。効果はレベルによって変化する。
おお、ちゃんと変わっているね。
『こんなあっさりと変わってしまうのか……』
本命勇者君の方を見てみるが、何かに気が付いた様子もなく周りの子たちと楽し気に食事をしている。
確かにノイントが敵に回ったらと思うと恐ろしいよね……。
《も~ボクがそんなことするわけないじゃないですか~!》
あはは、分かってるよ。あ、そうだ。イリス様に報告しないと。神託スキルを発してと、
『ご來店中のお客様に、迷子のお知らせです。白の法を著た、銀の髪に綺麗な紫の瞳の12歳ぐらいのの子が、サービスカウンターにてお連れ様をお待ちです。お心當たりのあるお客様は、1階サービスカウンターまでお越しくださいませ。繰り返し、迷子のお知らせを致します。白の法を著た、銀の髪にきれ───』
『ちょっと!誰が迷子よ!』
あ、繋がった。
『繋がったじゃないわよ!何で私が迷子に──』
『はいはーい!お連れ様來たネ!』
え!?この神託ってリョウセン様にも繋がるの!?
『神託なら他の神とも気軽に會話できるのネ』
神託になると通信機能も上がるんだ……。
『なに私をスルーしてるのよ!』
すみません。悪ふざけです。
『開き直られても困るわよ!』
『でも迷子のイリスを鮮明に思い浮かべられるくらいにはしっくりきてたネ』
『しっくりこなくていいわよっ!……はあ、はあ』
怒濤のツッコミをしたせいでイリス様が息切れを起こしてしまった。
『イリス、大丈夫ネ?』
大変そうですね。
『誰のせいだと。この前の分も含めてあとでたっぷり仕返ししてやるわ……』
あ……やばい、やらかした。
《完全に自業自得ですね~》
『何で自ら罪を重ねていくんですか……』
『クルス、強く生きるネ』
え?リョウセン様まで?
『リョウセン?あなたにも言ってるのよ?』
ほらやっぱり……。
『そ、そういえば、クルスは何で神託を発したのネ!?』
骨な話題転換ですね……。
『……はあ、今は見逃してあげるわ。仕返しの日までせいぜい今を楽しんでおくことね』
イリス様のセリフが完全に悪役のそれなんだけど……。
『それで、連絡してきたってことはスキル改造エディトは……効果説明を見る限りうまくいったみたいね』
『一イリス達は何をしていたのネ?』
矛先が自に向くのを防ぐために咄嗟に話題転換を謀ったのは見え見えだったが、その実、俺たちのしていたことが気になっていたようだ。
ええと、簡単に説明すると、ヴェーニャが召喚されたそこの本命勇者君に主神を騙った加護を與えていたのでノイントのスキルで効果を改悪してやりました。
『なるほ……うん?』
結構簡単にまとめられたと思ったが、リョウセン様はよくわからなかったようだ。
ヴェーニャが召喚された本命勇者君に主───
『いや、聞き取れなかったわけじゃないネ!報量が多すぎるネ!』
ええ?そうですか?
『そうネ!一つ一つ説明するネ!まずなんでクルスはそんな勇者がいるところにいるのネ!?』
『それは私も気になってたわ』
ええと……偵察……いや観?だと思います。
『いや偵察と観って完全に目的が別じゃない……』
『観だったらなんで王城に潛してるのネ……』
俺にもよくわからないです……。
『…まあ、クルスがそこにいる理由は分かったネ。いや分かってはないネ……』
どっちなんだろう……?
『とにかく次の質問ネ。ヴェーニャってあの下界に逃げた下級神のことネ?あいつが主神を騙るってどういうことネ?』
『そのままの意味よ。あいつ、偽裝を施して主神ヴェーニャとして加護を與えたみたい』
説明している間にまたふつふつと怒りが湧いてきたのか、イリス様は徐々に聲のトーンを落としながら説明した。
『うわあ……主神を騙るのは下界に干渉するよりも重罪じゃなかったネ?』
え?
『ええ、そうよ……下界への干渉は神をり切らすまでの幽閉だけど、主神を騙るのは即消滅させられてもおかしくない重罪よ』
ええ!?というかさらっと言ったけど下界への干渉に対しての罰もかなり重いんだけど……。なるほど、イリス様がキレるわけだ。
『……もう一刻も早くあいつ消滅させた方が良くないネ?』
『私もそう思ってるわ。今度、樞神以上で神卓會議を開くからその時に改めて伝えるつもりよ』
『イリスも本気なのネ。分かったネ、私からも他の神に伝えておくネ』
神卓會議が何なのか知らないけど、ヴェーニャの命日が近いみたい……。
『二つ目も分かったのネ。じゃあ最後ネ。ノイントのスキルって何ネ?』
スキル改造エディトっていうユニークスキルです。々制限はありますが、スキルを書き換えられるんです。
『……それマジネ?』
……マジです。あそこの勇者君についてるヴェーニャの加護の詳細を見ればわかりますよ。
『……うえっ、信託スキルがえげつない効果に変わってるネ。そのスキルヤバいネ……』
リョウセン様も勇者君の改悪された加護を見てノイントのスキルにドン引きしているようだ。
俺もそう思います……。
『……はあ、詳しく聞いてみたけどやっぱり報量が多いのネ……』
あれ?勇者君のことは聞かないんですか?
『ん?ああ、別に興味はないのネ。勇者召喚なんて飽きるほど見てるのネ』
一度もリョウセン様が勇者君たちのことに言及しなかったので自分から聞いてみたが、返ってきたのは驚くほど冷めた返答だった。
そっか、長く生きてる神様にとっては勇者召喚ってあんまり珍しいものじゃないのか。
『それに人間が勇者召喚をする理由なんて大抵くだらないから、いちいち見る価値もないネ』
ああ、そういうことですか。
『まあ、何はともあれクルス達のやっていることが分かったし、そろそろ私はお暇するネ』
『あなた、結局何しに來たのよ……』
『え?ただクルスの茶番に乗っかろうと思って來ただけネ』
『本當に何しに來たのよ……』
『それじゃあまたなのネ~!』
リョウセン様の聲は別れの挨拶が終わるとそれっきり聞こえなくなってしまった。
『はあ、とんだ邪魔がったわね』
あ、あはは~……。
……神託越しに睨みつけるような視線をじるが気のせいだろう。
『さて、嫌がらせの準備は完了したし、あとは効果に期待しましょうか』
《効果なんて分かるんですか~?》
『ヴェーニャに何かあれば教會が騒がしくなるじゃない』
《あ、なるほど~!》
『そうなると教會を視ておく必要があるわね……うん、そうね。戦乙ヴァルキリーにでも監視させておけばいいかしら』
おおう、なんか結構階級が高そうな名前が出てきたよ……
『戦乙ヴァルキリーとは神の遣いである天使の中でも鋭中の鋭がなることができる役職です。主に樞神以上の命令でき、その実力は下級神にも迫るほどのものです』
主神ともなると神様に迫るほどの天使に気軽に雑用頼めちゃうのか~……。
『んっふっふ~、もっと敬意を払ってくれてもいいのよ?』
俺が改めて主神という存在の大きさを実していると、イリス様が得意げに、それはもう得意げに話しかけてきた。
……確かに、イリス様の言う通り敬意を払って態度を改めた方がいいのかもしれない。
『そうでしょそうでし……え?本気?』
俺が本當に聞きれるとは思っていなかったようで數瞬間を置いて聞き返してきた。
呼び方も馴れ馴れしかったかもしれないから変えよう。主神様?それとも麗しの神様と呼んだ方がいいかな?
『え、ちょっと……』
麗しの我が神様、いかがなさいましたか?
『へっ!?ね、ねえ、いきなりどうしたのよ?』
いえ、麗しの神様のおっしゃる通り、敬意を払った方が良いと思いましたので。
『いや、確かに言ったけど……あれはその……ああもうっ!やっぱりいつも通りにしてっ!』
分かりました。
『切り替え早っ!?』
『マスター……』
《も~ご主人様は~……》
いや、ちょっと楽しくなっちゃって。
『……あっ!からかったわね!』
さすがにイリス様も冗談だと気が付いたようだ。
『クルス~……あなた本當に覚悟しておきなさい!絶対に泣かせてやるわっ!』
うわあ……本気で怒らせちゃったかも。
『これはマスターが悪いですね』
《反省してくださいね~》
はい……。
『とりあえず目的は達できたから神託も終わるわね。クルス、震えて眠りなさい』
イリス様の不穏な臺詞を最後に神託のスキルが途切れる覚がした。
……ちょっと鍛えておいた方がいいかな?
『3歳児のでそんなことしても無駄です。そもそも主神相手に一朝一夕の鍛錬など無に等しいです。諦めてください』
酷い言われよう……。
《ボクにとばっちりがくるのだけは防いでくださいよ~》
なんだかノイントが強かになってる気がする。気のせいだよね?
『む?終わったか?』
俺達の念話から神託が終わったことを見計らってカリスが話しかけてきた。
ごめんねカリス、ずっと蚊帳の外にしちゃって。
『別に構わないぞ。主神様に私が會っても話すことなんてないからな』
カリスは特に気にしていないようであっけらかんと答えた。
うーん、そう?
『うむ。……ああ、ただ、気が向いた時でいいから話の容を聞かせてもらえないか?神々と気軽に會話ができる者など出會ったことがなかったからな。どんな話をするのか興味があるのだ』
うん、もちろんいいよ。それに、気が向いた時になんて気を遣わなくていいからね。全部聞かせてあげるよ。
『い、いいのか?私としては嬉しいが』
俺の気持ちを素直に伝えるとカリスは喜びを抑えるように俺の肩の上でピョンピョンと小さく跳ねた。
うん。俺としてはカリスのことは家族のように思っているから遠慮なんてしなくていいんだよ。
『そ、そうか。家族……家族か……ふふっ』
カリスは俺の言葉を反芻するとし笑って気持ちを表現するように俺の顔にスリスリとをすり寄せてきた。カリスの気持ちとカリス自の溫をじて、俺はポカポカとした気持ちになった。
かわいいなあもう。
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