《究極の捕食者 ~チート融合スキルで世界最強~》第33話 神造モンスターゴッドスライム
激痛から解放される。正不明の飛翔による攻撃をけた俺は、の大部分を失いながら屋敷の庭に落下した。
だが、そこで新スキル《竜》が発する。流れたがれることによって、は完全な狀態で再生するのだ。
流と掛けたオヤジギャグみたいな名前のスキルだが、有用。元々は恐竜系のモンスターから得ただが、俺自がドラゴン系に進化したことで、その再生速度は大幅に上昇しているようだ。
立ち上がる。すると、すぐ近くで銀に輝くメタリックながブニブニと振している。これは……メタルスライム?
きは無い。ここで攻撃を加えるのも良いが、カウンターが怖いな。とりあえず被害狀況を確認する。
バックステップで屋敷の方に戻りつつ、庭を見渡す。綺麗に芝が敷いてあったのだが、まるでサッカーでもした後の様にめくれ上がっている。この芝で寢転ぶのが好きだった孫リラはさぞ悲しむだろう。
「チッ、生きてやがるのか……じゃなかった、ご無事で何よりです竜帝さまー」
テラスから顔を覗かせた絶佳が手を振っている。裏表ある人は苦手だけど、両方見せてくれるとは面白いである。
見た限り、屋敷に被害はなかった。この辺りにも激突の余波が來たはずだが、どうやら絶佳が守ってくれたらしい。
口では自分が助かれば良いと言っていたが、以外とツンデレである。いや、実はそれには理由がある。
絶佳、どういう訳かイデアの事を気に掛けているのだ。本人は隠しているつもりらしいが、イデアを見る目は、俺を見るときのゴミを見る目とは、明らかに違う。
そして、丁度日が沈みきったこの時間は、イデアが森から帰って來る時間だ。イデアにもしもの事がないように、屋敷も守ってくれたのだろう。
「で、俺はすぐにバラバラにされたから解らなかったんだけどさ。アレの正ってわかる?」
俺は絶佳に尋ねる。俺の目測だとメタルスライムなのだが。
「ええ、ええ。理解しましたとも。確かに見たことの無いモンスター。ただしあのブルンブルンの狀ボディ。そしてこの嫌味なくらいにまっすぐで神聖な魔力。間違いありませんわ。アレは天から使わされた《抑止力》」
「よくしりょく……?」
どっかで聞いたワードだが……ああそうか。ルミナスドラゴンが言っていたのか。
「絶佳、解説してもらってもいいかな?」
「ええ。《抑止力》っていうのは、神が創造した人間を守る為のモンスターです。私も以前襲われた事があります。人間に脅威となる程に力をつけたモンスターを消しにくる、世界のシステムです」
ルミナスドラゴンは俺の為にその力を全てくれたのだが……いや、待てよ。
「ってことは、その《抑止力》の、一を融合してしまったせいで……」
背筋がぞくっとする。ガルムを倒す為、かつての彼の仲間のルミナスドラゴンの力をけ継ぐという的なイベントだったはずだ。しかし、それが逆に神の逆鱗にれたということか。
「どう……でしょうね。私もライオンみたいなモンスターと戦ったこともありますし、他の六柱の方々も一度は戦った事があるはず。つまり」
「誰が原因でアレが來たのかわからないってことか」
「その通りです。ですが……」
そこで絶佳は言葉を切った。もにもにと粘土の様にうねっていたメタルスライム(仮)は、その形を定めたようだ。
それは人型。小柄なの様にも年の様にも見える中的な顔立ち。但し、その顔立ちは背筋がゾッとするほどの形。
き通るような銀の髪と白い、小柄なにマントの様な白い布を巻きつけたソレは、無表でもって、ただジッと此方を見つめている。
ゴッドスライム 魔力1500000
人の営みを守る為、神の手により創造された神造モンスター。
「メタルスライムじゃなくて、ゴッドスライムね……」
《竜眼》の捕らえた報を見て、思わず笑いながら呟いた。いや、笑うしかないだろう。晴れてルミナスドラゴンを融合し、最強と言って差し支えない力を手にれたと思っていた。その矢先、これである。勘弁してほしい。こんなバトル漫畫みたいなインフレはゴメンである。インフレに置いていかれるコンボイとかに悪いとは思わないのか。
「竜帝さん。お互いに不本意ではあるでしょうが……ここは私達二人の力を合わせないと、勝つのはちょっと難しいのでは?」
「はは、奇遇だ。俺も全く同じことを考えていたよ」
目と目が合って、俺と絶佳はにやりと不敵に笑い合う。
出會いは最悪だった俺と絶佳。だが、こうして二人一緒に危機に陥ったのは、何かの運命か。互いに弾かれあい、を深めてきた俺達が、強敵を前についに結束する時が來たという事か。
守りの絶佳と攻撃の俺。バランスは申し分ない。勝てる。この勝負勝てるぜ。
「盛り上がっているところ申し訳ないんだけどさ」
しかし、突如ゴッドスライムが口を開いた。その聲はやはり中的で、年の様でありの様でもある。
「ボクの用はそこの時空帝竜だけなんだ。だから、九尾の狐は大人しくしてたら見逃してあげるよ」
「「なっ」」
コイツ、なんて恐ろしい提案をしやがる!? こんな提案をしたらこの狐は……ああやっぱり。
「ほ、おほほほほ。だ、そうです竜帝さん。大人しく粛清されてくださいまし」
「いやじゃああああああああ」
誰が死ぬか。こうなったら。
「ゴッドスライム。相談がある」
「いいよ。命乞い以外だったら、聞いてあげる。これでもボクは優しいんだ」
「そうか助かる。それじゃ、地下に移しよう」
「地下? ああ、そうかそうか。なる程ね。ヘルズゲートかぁ。あそこなら確かに戦闘の被害は出ないね」
「ああ。お互い思いっきりやれるだろう?」
「わかった。そういう事ならオーケーだよ。じゃ、移しようか」
「ああ、案するぜ」
飛び上がり跳躍し、一瞬で俺の橫に著地するゴッドスライム。俺は《人化》を発させ、一端七瀬素空の姿に戻る。そして、ゴッドスライムを伴って、屋敷の中にる。
「グズッ……逝って、らっしゃいませ……竜帝様……プークスクス」
糞みたいにイライラする泣き真似蕓で送り出してくれた絶佳を置いて、俺は屋敷の廊下を進んでいく。
そして、地下へと続く階段の近くで、ラフな格好に著替えたイデアと出會った。
「む、何やら用か? 後ろのヤツは? 見ない顔だが」
「ちょっとコイツと戦わなくちゃいけなくなった。これから地下に行って來るよ」
俺は後ろでニコニコしているゴッドスライムを指差しながら言う。するとイデアは殘念そうな顔をする。
「むぅ、今日は一緒にボルボルをやる約束だったはずだぞ」
ボルボルとはこの世界の一般的な遊びで、トランプの様なカードゲームだ。ドワーフから貢がれたにっていて、結構遊んだりしている。
そういや、今日は二人で遊ぶ約束をしていたんだっけ。さっきまで隨分とご機嫌だったし、可哀想な事をしてしまった。
「ゴメンイデア、この埋め合わせは必ず」
「フッ、良い。わがままは言わぬ。見たところその年、いや、か? 只者ではない。恐らくは命を掛けた戦いになるだろう。で、助太刀はいるか?」
し拗ねた顔をしていたイデアだったが、すぐにいつも通りのドヤ顔でそう言った。ゴッドスライムは「別にいいよ、何人加勢しても」と言うが、そうは行かない。
「いや、コイツの狙いは俺一人だ。俺一人で戦う。俺が戦っている間、屋敷の事は任せるよ」
「フッ、任せておけ」
イデアは格好良い聲でそう言いながら、しかしいそいそと近づいてきて、遠慮がちに一度抱きついてきた。數秒のハグの後、バッと離れる。
「死ぬなよ」
「當たり前だ」
イデアの頭を軽くポンと叩いて、俺は階段を進む。戦いの前に顔が見れて良かったぜ。
「いやーだね。あんな可子ちゃんを悲しませる事になるのかと思うと、ボク憂鬱だよ」
「彼じゃないんだけどね。ま、その心配は杞憂だよ。君が全くしなくて良い心配だと言っていい」
「ほう、そりゃなんでかな? ボクわかんないや」
「勝つのは俺だからだ」
「へぇ……」
途端、お互いから放たれる殺気。螺旋狀の階段を下りること約1時間。その間お互いに一言も口を聞かず、ただ黙々と足をかしていた。
やがて、白いに包まれた場所に降り立つ。地下であることを忘れてしまいそうになる程の広大な空間。地面に刻まれたには、今はただどこからか湧き出た水が流れている。
そして、俺達は距離をとって向き合う。敵は、その年の姿のままで全力の魔力を解放できる。だから俺は、《人化》を解除し、時空帝竜の姿となる。神樹の影響がほぼ無いこのヘルズゲート最深部。
ここならば、全力でこの化けと戦う事が出來る。
「オーケー。最初から本気って事だね。それじゃあ始めようか!」
巧な顔を好戦的なに染め、先に仕掛けてきたのはゴッドスライムだった。
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